「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

拮抗した展開になればセットプレーの重要度は増す。仙台戦でのキッカーは天野だろう [J12節 仙台戦プレビュー]

 

ヴァンフォーレ甲府との接戦を制し、明日のベガルタ仙台戦で2連勝を狙う。前節の甲府戦と、今節の仙台戦、そして次節の清水エスパルス戦で3連勝して勝ち点9を上積みする。それがマリノスの描く青写真だ。実力的にリーグ上位にはカテゴライズされない3チームから、しっかり勝ち点3を奪いたい。

もっともマリノスも決して上位とはいえず、相変わらず中位付近を推移している。「シーズンの最初にうまくいって、それが年間を通して続かないことはわかっていた」と齋藤学。いまのチーム状態はおそらく“底”にある。これからどれだけ成長できるか、だ。

 先発に大幅な入れ替えはないが、唯一の変更はトップ下に前田直輝が入る点である。今週のトレーニングでは扇原貴宏をボランチに据えて天野純が一列上がる布陣も試していたが、試合前日のトレーニングでは一貫して前田を起用していた。前田の4試合ぶり先発が濃厚だ。

エリク・モンバエルツ監督曰く「ダビド(バブンスキー)はボールを持った時に良いプレーをする。(前田)直輝はボールがないところでの動きによってモビリティを出せる」。つまりボールを持っていない場面での背番号25に注目。運動量豊富に動き、相手守備陣の間でボールを受けるレシーバー役を託したい。

ポイントはどれだけ伊藤翔の近くでプレーできるか。そしてインサイドに入ってきた齋藤学との絡み、あるいは後方から追い越してくる天野純とのコンビネーション。それらが噛み合わなければ仙台のブロックディフェンスをこじ開けられない。

 

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また、仙台とは拮抗した展開になるケースが多く、そうなればセットプレーの重要度は増す。仙台戦でのキッカーは天野だろう。直接FKがなかなか壁を越えないが、トレーニング中の軌道は悪くない。タイミング一つでゴールネットが揺れるはずで、中澤佑二やミロシュ・デゲネクをターゲットとするボールにも期待したい。

 先週は富樫敬真が合流し、今週は中町公祐が復帰した。下平匠も元気にフルメニューをこなしている。U-20日本代表に招集されている遠藤渓太を除く全選手が練習を行い、ここから再び競争が始まる。いずれも万全の状態ならレギュラークラスの選手で、当該ポジションの選手はうかうかしていられない。

甲府戦の勝利はきっかけでしかない。内容面、特に遅攻での課題を解消し、主体的なオフェンスでゴールを目指す。そこに選手選択というバリエーションが加わり、チーム力が上がっていく。リーグ中盤戦に入り、マリノスが再始動の一歩を踏み出す。

 

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