2017年05月30日 18時33分　
カテゴリ： プレビュー

ルヴァンカップのグループステージ最終節を迎えた。2連敗スタートで暗雲立ち込めたスタートから一転、その後の3連勝でグループBの3位に順位を押し上げた。自動的にノックアウトステージに進出できる1位になる可能性こそ消えているが、今季からグループ2位と3位はプレーオフに進める。そして最終節の相手は現在4位のサンフレッチェ広島。勝ち点2差という状況で、マリノスは引き分け以上の結果で3位以内を確保できる。前節のサガン鳥栖戦を勝利したことで、有利な状況を作り出したというわけだ。

　これまでのゲームとは毛色が異なり、普段のリーグ戦とも違う。カップ戦ならではの状況で、グループステージの最終節やノックアウトステージに入ってからのホーム＆アウェイでしか見られない現象だ。今回の場合は他会場の結果を気にする必要があまりない。マリノスの勝利を前提に、現在2位のヴィッセル神戸が破れた場合は2位浮上の芽も残されているが、得失点差を考えると難しいかもしれない。そして2位も3位もプレーオフに進むことに変わりはない。目の前の一戦に注力するスタンスでいいだろう。

そんな重要度の高いゲームでも、エリク・モンバエルツ監督のマネジメントには一切ブレがない。3-1で勝利を収めた清水エスパルスとのリーグ戦から先発を総入れ替え。ここまでルヴァンカップを戦ってきた面々でグループステージを戦い抜く方針だ。

スタメンについて触れると、中町公祐と富樫敬真の先発復帰は大きなトピックである。中町は先週の鳥栖戦で試運転を完了しており、順当に先発に名を連ねる。富樫については鳥栖戦で途中出場する予定だったが、チーム状況が変わったために出番は訪れなかった。だが全体練習に合流してからは時間が経過している。「不安を抱えずにプレーする」という言葉とともに、ゴールを期待したい。

また、ベンチにはベガルタ仙台戦で右足かかと付近を痛めた齋藤学も控える。痛みが完全に消えたわけではないようだが、今週に入ってからのトレーニングの大部分を消化している。試合の状況や展開次第ではあるものの、途中出場した場合は目が離せない存在だろう。リーグ戦ではマルティノスが左サイドに入って独自色を出した。カップ戦だとしても結果が喉から手が出るほどほしいはずだ。

　ちなみに鳥栖戦で約11ヵ月ぶりに先発復帰した下平匠は、この試合をパスする。負傷による再離脱ではなく、個別調整でコンディションを上げていく方針とのこと。ようやく戦線復帰できたのに、ここで無理をしてふりだしに戻すわけにはいかない。存在価値は鳥栖戦を見れば明らかなだけに、マイペース調整で状態を上げていけばいい。

繰り返しになるが、引き分け以上でプレーオフ進出が決まる。指揮官の采配も大きなポイントになりそうだが、モンバエルツ監督は「けがから戻ってきた選手たちのプレータイムは慎重に考えたい」と相変わらずの姿勢を貫く。この言葉を額面通り受け取るならば、中町や富樫は途中交代する可能性が高いのだろう。この時点で交代枠の2つを戦術以外の理由で使うことが決まっている。残り1つの交代枠については、負傷などのアクシデントに備えて慎重に使う傾向にあるため、実質的には中町と富樫に代えて誰を投入するかで戦術的な交代が終わる。

プレーオフとその先にあるノックアウトステージに進むために、そしてここまでのルヴァンカップを無駄にしないために、広島戦で成功体験をつかみ取る。勝負がかかったシビアな状況下で結果を出してこそ、評価の対象になるとも言えるだろう。