「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

カップ戦でのメンバー総入れ替えはこういった総力戦の場面で効力を発揮する [J16節 神戸戦プレビュー]

 

試合2日前の練習で負傷した栗原勇蔵は試合前日の練習に姿を現さず。検査結果の詳細こそ明らかになっていないが、明日のヴィッセル神戸戦出場は不可能となった。

誰よりも悔しいのは栗原自身だ。一昨年途中からベンチを温める機会が増え、昨年もファビオにポジションを譲ってレギュラーと呼べる存在ではなかった。今年に入ってからは鉄人・中澤佑二と新加入のミロシュ・デゲネクが開幕からコンビを組み、ベンチを温める日々が続く。プレシーズン中に復帰してからは負傷することなくフルメニューをこなしていただけに、ようやく出番がめぐってきて結果を出した直後の負傷離脱は、悲し過ぎる出来事だった。

 3連勝中のチームとしても穏やかではいられない。中澤こそ健在だが、ミロシュ・デゲネクと栗原を同時に失ってしまった。言わば2番手と3番手のCBが同時に不在となる緊急事態で、守備力の低下が懸念されるのは仕方のないこと。代役となる選手は奮闘も欠かせないが、チーム全体で耐久力を保ちたい。3連勝中の最近2連勝はいずれも無失点勝利で、マリノスらしさが久しぶりに復活したのだから。

背番号4の離脱によって先発のチャンスを得るのは2年目のパク・ジョンスになりそうだ。栗原同様に今季は不遇をかこっているが、その度合いは栗原以上かもしれない。ポテンシャルに疑いの余地はないが、外国籍選手枠の問題でベンチにも入れない日々が続いていた。ウーゴ・ヴィエイラ、マルティノス、ダビド・バブンスキーが外国人枠で、ミロシュ・デゲネクがアジア枠。パク・ジョンスは5番目の助っ人であり、誰かがいない状況になければ試合出場はおろかベンチにすら入る権利がなかった。

 

 

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 前節のFC東京戦で今季初めてベンチ入りを果たしたが出番はなかった。したがって今節が今季初出場となる。常に堂々とした振る舞いで慌てる素振りを見せない選手だけに心配不要だろうが、周囲とのコンビネーションに関しては準備不足が否めない。それでもルヴァンカップで左SB山中亮輔と横関係でプレーし、扇原貴宏と縦関係を築いている。カップ戦でのメンバー総入れ替えはこういった場面で効力を発揮するのだろう。

チームとしてはリーグ戦4連勝を狙う大事な一戦となる。この試合と次の大宮アルディージャ戦が終わると全34試合中の半分を消化し、さらに次のサンフレッチェ広島戦が終わるとブレイク期間に入る。以前から述べているように、その時点でどの位置にいるか。先発復帰してからの2試合でチームが2連勝している中町公祐は「シンプルに順位が上がることで具体的に上が見えてくる。上に近づくというのは順位もそうだけど勝ち点の差が近づいてきているということ。勝ち点3の意味が大きくなるのは良いこと」とモチベーションを上げていた。

ここへきて負傷者が増えており、総力戦を余儀なくされている。しかし、だからこそチーム力が問われているとも言えるだろう。策士・ネルシーニョ監督が率いるヴィッセル神戸は何とも不気味な相手だが、前向きな内容以上に勝ち点3を得るための90分にしたい。

 

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