「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

中村俊輔のブロックにヘディングシュートを阻まれた栗原は「試合中なのに笑ってしまった、決めさせてくれよって」と苦笑い[天皇杯準々決勝 磐田戦レビュー]

 

想定していたとおりの難しい試合になった。マリノスのパフォーマンスや対戦相手の力量に関係なく、トーナメント戦のベスト8はどの試合も簡単には勝てない。さらにこの試合は「前半は両チームともに守備が機能して、堅いゲームだった」という展開に。ともにチャンスとピンチの両方があったが、全体的には守備陣の奮闘が目立つゲームとなった。

試合を決めたのは、鹿島アントラーズ戦に続いて遠藤渓太だった。ダビド・バブンスキーのサイドチェンジに走り込んでダイレクトで折り返すと、このボールが相手GKとDFに当たってゴールネットを揺らす。オウンゴールという半ばラッキーなゴールだったが、バブンスキーの正確な技術と遠藤の思い切りがゴールを呼び込んだ。

両チームともに日曜日のリーグ戦を見据えての戦いだった感は否めない。マリノスはリーグ戦から先発を7選手入れ替え、対するジュビロ磐田も6選手を変更。出場しなかった選手のほとんどはリーグ戦に備えていると考えるのが普通で、それはつまり主力選手の温存とも言い換えられる。そういった中でもしっかり勝ち切って準決勝に駒を進めたことに価値を見出すべきだろう。

それから、このカードは『対中村俊輔』という視点がどうしても存在してしまう。実際は中村俊輔ではなく磐田と戦うのだが、周囲はそれを許してくれない。駆け付けた報道陣も少なからずそういった思考を持っていたはずだ。

では実際にプレーしていた選手はどうだったのか。

 

 

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飯倉大樹は「久しぶりにシュートを受けて、やっぱりすごいと思った」と感嘆の息を上げた。さまざまなシチュエーションでシュートを受け、少し懐かしい気持ちになったのだろう。

 栗原勇蔵はCKから決定的なヘディングシュートを放ったが、あろうことか中村俊輔のブロックに阻まれた。これには「試合中なのに笑ってしまった、決めさせてくれよって」と苦笑い。今は敵味方に分かれているが、長い年月を共に過ごした仲間なのは変わらない。

そして中3日で再びサックスブルーと対峙する。相手がどのような陣容になるのかは分からないが、ここで中村俊輔が出場しないというケースは考えにくい。これにはたまらず飯倉も「日曜日の対戦はもういらない」と笑うしかなかった。

リーグ戦と対ジュビロという、それぞれにとっての2連勝を狙うゲームは、またしてもタフな内容になりそうだ。

 

 

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