「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

新システムは、まだオプションの域 〔練習試合 ザスパクサツ群馬戦〕 (藤井雅彦)

 

 

[練習試合 ザスパクサツ群馬(J2)戦 リザルト]
時間:2月15日11時~
形式:45分×2本
スコア:2-1(1-0、1-1)
得点者:11分マルキーニョス(マリノス)、51分夛田凌輔(群馬)85分ジョン・ドンホ(マリノス)

 

【1本目】 【2本目】

 

4-3-1-2のテスト

樋口靖洋監督が前日に示唆していたとおり、ザスパクサツ群馬との練習試合のスタメンは[4-3-1-2]で配置されていた。藤田祥史がマルキーニョスと2トップを組み、その下には中村俊輔。注目のトリプルボランチは左から兵藤慎剛、富澤清太郎、中町公祐という並びでボランチの有力候補の一人である小椋祥平は控え組主体の2本目に回った。最終ラインは不動の4選手で、GKには榎本哲也が入っている。

この新布陣の評価は難しい。例えば、同じ2トップでも中盤がボックス型の[4-4-2]であれば藤田とマルキーニョスの見方は大きく変わる。またどういった狙いでトリプルボランチを敷いているかも大きなポイントとなる。ゲーム終盤に逃げ切る際の採用であれば『守備的な布陣』と断定しても間違いではないかもしれない。ただ、この日のようにスタートからトリプルボランチで臨む場合は、その狙いも含めて考えなければいけない。『後ろの枚数が多いから守備的』といった論調はあまりにも短絡的だ。

注目の2トップのパフォーマンスだが、1本目の得点は相手のバックパスをさらったマルキーニョスの1得点のみ。藤田は時折、体を張ったキープを見せたものの、相手ゴールを脅かすプレーを見せたとは言い難い。腰痛からの病み上がりであるというコンディション面を差し引いて考える必要があるとはいえ、周囲とのコンビネーションに不安を残した。樋口監督は「動きそのものは悪くない。裏へ動き出した場面でも、全体が慎重になってボールを入れない場面があった」と彼をフォロー。裏返して言えば、藤田はもっとボールを要求する必要がある。キャンプから現在に至るまでに足りなかった自己顕示欲を見せなければ、システムに関係なく地位を確立できない。

藤井雅彦も執筆協力「サッカーダイジェスト選手名鑑」

藤田単体のパフォーマンスではなく、2トップの可能性という点では今後も試す価値がある。単純に相手ゴール前での迫力が増し、クロスに対するターゲットも増える。1本目途中からは藤田に代わって端戸仁が入ったように選択肢もいくつかある。端戸に関しては群馬戦の1本目37分からのわずかな時間しか主力組に混ざってプレーしておらず評価を与えるのは難しいが、今後も可能性を探っていきたい選手と前線の形だ。

一方のトリプルボランチはというと、早くもいくつかの課題が浮き彫りとなった。「奪いどころがいつもと違う。ワイドな位置にボールを展開されたときに誰がボールへ出て行くかはっきりしなかった」(樋口監督)。ボールと同サイドで守備を完結できた際は問題にならないが、プレスをかいくぐられてサイドを変えられたときにプレッシャーがかからない。そのため最終ラインは下がらざるをえず、「いつもよりも全体のゾーンが10メートルくらい下がった」(樋口監督)。

攻守の切り替えをベースにしたプレスはいまのマリノスの生命線だ。この日も対戦相手の選手から「マリノスは切り替えがものすごく早かった」という感嘆の声が漏れており、主力組はそれを自然に体現できる。逆に、前記したようにボールに対するファーストディフェンスが決まらない場合

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