「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

明日のチーム始動日から石垣島キャンプ、そして宮崎キャンプと、ヨコハマ・エクスプレスはその全日程をレポート [2018シーズン始動に向けて]


[お知らせ] ヨコハマ・エクスプレスは、明日のチーム始動日から石垣島キャンプ、さらに宮崎キャンプの全日程をレポートでお伝えしてまいります。ヨコハマ・エクスプレスだけのシーズン前のキャンプのフルカバー取材をお楽しみください。


 

 

 

 

14日の新体制発表会にて、アイザックドルスポーティングダイレクター(以下、SD)が初めて公の場で言葉を発した。自身も認めていたように決してパーフェクトとは言えない日本語は、実はこの日最大の不安要素だった。話を聞いた方ならお分かりいただけると思うが、あの日本語能力では微妙なニュアンスを伝えることが困難。細かい話をしようとすれば微妙な齟齬が起こるのも無理はないだろう。

 

 

一方で、演説さながらの立ち居振る舞いにはパッション(情熱)があった。身振り手振りを加えた熱弁で周囲の意識を引きつけ、たまに小ボケを挟んでくるセンスも披露。やはり只者ではない。時として拙い言葉だから伝わる場面もあるのだろう。最後は「一丸となって、優勝を信じてサポートお願いします」とメッセージを送り、壇上から去る際には声援に応えるように力強く手を振る。アイザック・ドルSD投入という采配は結果的に吉と出た。

注目の編成と背番号だが、現状では30人の選手が登録されている。新加入は新卒選手5人に大津祐樹とユン・イルロクを加えた7人で、すでに発表されていた仲川輝人と和田昌士がレンタルバックとなった。背番号の変更はミロシュ・デゲネクが34番から2番へ、イッペイ・シノヅカが37番から26番へ、そして18番だった遠藤渓太が念願の11番を手に入れた。

 

 

この背番号決定には明確な意図がある。ミロシュや遠藤、あるいは大津が9番になるなど、小さな数字をある程度埋めようという意思が感じられる。高卒ルーキーたちが大きな数字からのスタートになったのは当然といえば当然だが、それができていない年度もあるのだから進歩だろう。期限付き移籍の富樫敬真と高野遼のために彼らの背番号(17番と28番)を空席にしているのも、地味ではあるがファインプレーとして高く評価できる。選手たちはさまざまな局面で扱われ方を見ているし、気にするタイプもいるのが事実だ。

 

 

また、本編終了後の監督就任記者会見で今オフの補強についても言及。アイザック・ドルSDは「1月の終わりまでまだ時間があるので、残っている1日、1時間、1分をチームのレベルアップのために使いたいと考えている」と追加補強の可能性を示唆。指揮を執るアンジェ・ポステコグルー監督は「外国人枠の残り1枠は攻撃的な選手がいい。チームに違いを生み出す選手が見つかって、選手としても人としてもチームのプラスになるのであれば獲得したい」と具体的にコメントしている。ウインドーが開いている限りは可能性を追い求め、条件に適したオフェンスプレーヤーがいた場合は本腰を入れるというスタンスのようだ。

 

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編成に目を向けると、今季は陣容刷新の年ではない。昨季の主力が中心となり、移籍で抜けた選手の穴を埋める最小限補強にとどまった。もっとも、残り1枠の外国籍選手の質次第で補強の評価は大きく変わるのだが、このタイミングでアジア枠を含めた5枠すべてを使うことにはリスクも生じる。シーズン途中で補強に動く、いわば“余力”の必要性をどう考えるか。また、契約を残り2年残しているカイケの去就に目処が立たない限りは新規選手の加入には動けず、そこでレンタルフィーの補填など身銭を切らなければいけないのならば予算編成にも変化が起きる。

レギュラー格で抜けたのが攻撃の中核を担っていた両翼なのだから、主にそのポジションで起用されるであろう大津とユン・イルロクへの期待値は高い。前者はコンディションさえ整えば日本人代表選手にも引けを取らないポテンシャルがある。後者にも代表歴があり、右利きながら左サイドで見せるスキルフルなプレーに期待がかかる。両選手合わせて最低でも20得点に絡むくらいの数字(ゴール+アシスト)が必要で、いずれにせよチームとして昨季とは違うオフェンススタイルを構築する必要がありそうだ。

 

 

そして監督就任記者会見でアタッキングフットボールを標榜したアンジェ・ポステコグルー監督が、どのような手腕を見せるか。明日のチーム始動日から石垣島キャンプ、そして宮崎キャンプと、ヨコハマ・エクスプレスではその全日程をレポートでお伝えしていく予定だ。

 

 

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