【サッカー人気3位】「立て続けの主力の移籍を選手はどう感じ…

「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

0-5! パーフェクトゲームの事実は揺るがない [J第2節清水戦レビュー] (藤井雅彦)

開始4分、中村俊輔の左CKからファーサイドで待ち構えていた栗原勇蔵がジャンプ一番狙いすましたヘディングシュートを放つ。完全なゾーンディフェンスの清水守備陣の手が回らないところで、シュートこそバーを直撃したがセットプレーからチャンスを作れることが分かった瞬間だった。

「あれで勢いづいたと勝手に思っている」と栗原が茶目っ気たっぷりのコメントを残したのはともかくとして、中村のボールフィーリングの良さと清水ディフェンスの甘さは明らか。最高の立ち上がりから清水を押し込み、栗原のヘディングから4分後の2本目のCKで先制に成功する。記録上は中村のゴールとなったが、ニアサイドのストーン役となっていたバレーの頭をかすめたため実質的にはオウンゴールである。

湘南ベルマーレ戦に続いて幸運な形から先制点を挙げた。いずれもシュートを狙ったわけではない中村のキックが結果的にゴールとなった。キック精度の高さは誰もが認めるところだが、ゴールしたという事実に関しては偶発的な要素が大きい。一方で「狙っていないのが入っちゃうから、またデカい」(中村)という見方も正しい。サポーターも含めて自然と士気が上がり、こうしてチームは勢いに乗るものだ。前記した栗原のコメントも説得力がないわけではないのだ。

素晴らしかったのはその後、「押し込まれた時間帯」(兵藤慎剛)をチーム全体でしっかり耐えしのいだ点だ。自陣左サイドに起点を作られ、苦しいシーンもあった。ドゥトラと兵藤のマークの受け渡しがわずかながらズレた場面もあり、高木俊幸のキープ力に手を焼いた。それでも前半に許したシュートはわずかに2本。最終的にゴール前に立ちはだかったのは中澤佑二と栗原勇蔵で、決定機を一度も許していない。

ここでの我慢が兵藤のビューティフルゴールの呼び水となる。アシストした富澤清太郎と兵藤は相思相愛のコメントで振り返った。「兵藤とはタイミングが合う」と出し手が言えば、受け手は「カンペーさん(富澤)のパスが最高だった」と感謝する。二人のイメージが見事にシンクロした瞬間で、富澤のパス精度、そして兵藤のトラップ&ループシュートのすべてがパーフェクトだった。まさに「GKが絶対に取れないシュート」(兵藤)だ。押し込まれたあとの時間であり、前半の終わりが近づいたタイミングでの追加点が持つ価値はただの1点にはとどまらない。

2点を追う清水が後半から瀬沼優司を投入して2トップに変更してきたのもマリノスにとっては好都合だったか。「まだ時間帯が早いこともあって、2トップになったけど相手はあまりハイボールを放り込んでこなかった」(栗原)。形式的にバレーと瀬沼が前線に並んだが、その駒を生かす術が皆無に等しかった。中盤でまったくボールを動かせず、サイドの高木や石毛秀樹も消えた。清水は守備面でも前半からまったくボールサイドにプレッシャーをかけられないため中村を筆頭にマリノスの中盤は自由を謳歌した。

逆にいまのマリノスはさらにギアチェンジする術を持っている。開幕戦で1ゴール1アシストと逆転勝利の立役者となった齋藤学は、この清水戦でも途中出場ながら2アシストを記録。得意のドリブルで局面打開できるだけでなく、スペースへの飛び出しも冴えている。相手が前がかりになった状況ではさらに有効で、いくらでもチャンスを作れる雰囲気がある。

そういった展開でハットトリックを達成したマルキーニョスの決定力はさすがの一言。いずれも難易度の高いゴールではないが、ストライカーがきっちり決めることに意味がある。「1試合で3点取るのはなかなか難しい」と本人が語るように、来日してからハットトリックは2度目と意外なほど少ない。マルキーニョスほどの選手でもやっと2回目を達成したハットトリックという離れ業の難しさをあらためて述べる必要はないだろうが、訪れた決定機すべてでゴールを射抜く集中力は36歳になってもなお健在だ。

また、このゲームでの樋口靖洋監督は、終盤に足がつった兵藤に代わって小椋祥平をそのまま右MFで起用する意外性ある采配を見せた。清水に対して高い位置からしっかりプレッシャーをかけるために策だったようで、小椋は短い時間ながらボール奪取能力とこれまた珍しい裏への飛び出しを披露。富澤&中町公祐が絶対的な存在になりつつある中盤の底だが、チームに上積みをもたらす存在として小椋というカードを有効活用しなければならない。セーフティーリードを奪ったあとにデビューを飾った佐藤優平にも同じことが言えるだろう。

2試合連続大量得点による合計9得点は「調子の悪いチームと当たっただけ」(中澤)。開幕戦後の繰り返しになるが、次も大量得点できると思ったら大間違いだ。それでも開幕から連勝を飾った事実は揺るがない。しかも開幕戦で綻びを見せた守備面を修正しつつ、効果的に得点を重ねたのだから申し分ない。

第2節を終えた時点での順位は、もちろん首位である。

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