「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

【榎本哲也ロングインタビュー1】「シュートを止めることがいいGKだと思っているけど、オレはそう思わない」(2,822文字)

 


SPECIAL INTERVIEW /GK 1 榎本 哲也

――開幕からの2試合連続でゴールマウスを守っているけど、自分を絶対的な存在だと思う?

「絶対的の意味がよく分からないけど、まったく思わない。というか、どうでもいい。レギュラーとかどうでもよくて、試合に出ているから頑張るだけ。もう驕ることもない」

――若いときは『レギュラー』という言葉を意識した?

「それは、やっぱり気にしていたね(笑)。まぁ、レギュラーだから試合に出るんだけど、今回は本当にどちらでもいいと思ったかな。しっかり練習して準備することだけ考えていたし、今も同じ気持ち」

――正直、直前まで誰が開幕戦のゴールマウスを守るのか見えなかった。こうして激しくポジション争いしているチームはあまりないような気がする。

「ひと昔前のレッズみたいだよね。当時は山岸さん(範宏)と都築さん(龍太)が争っていた。でも最近はほかのチームを見てもあんまりないよね。ウチのGKはみんなすごいと思うよ。(飯倉)大樹やロク(六反勇治)、今はけがをしているけど(鈴木)椋大も。ほかのチームのことはあまり知らないけど、GKはどうしても二番手や三番手の心が折れて、それぞれの差が開いてしまうもの。でもウチにはそれがない。シゲさん(松永成立GKコーチ)がみんなのモチベーションを保ってくれているのが大きいし、選手自身もしっかり取り組んでいるからだと思う」

――近年は飯倉が試合に出ることも多かった。榎本哲也にとって飯倉大樹はどんな存在?

「学ぶことがたくさんある。年下だけど試合にたくさん出ているし、刺激的な存在だよね。オレはアイツの良さを知っているよ」

――では、飯倉の良さとは?

「大樹のすごさは、やっぱり“勇気”じゃないかな。足元の技術やフィードなんかは明らかに大樹が一番上手いし、それはJリーグ全体を見ても一番だと思う。でも、それよりも気持ちの部分かな。いい意味で恐れを知らないというか。オレはもっと事前に防ぎたいタイプなんだけど、大樹は『来いよ!』ってオーラを出して、飛び込んでいける感じ。それはGKに必要な能力かもしれない。端から見ると同じようなタイプに分類されるみたいだけど、オレはそういうタイプではなくなってきたから」

――昔の自分はもっとテンションが高いタイプだったと思う?

「昔は何も考えていなかったから(苦笑)。今みたいにサッカーの流れは見えていないし『全部オレが止めるからいいよ』って思っていた。でも今は違う」

――全部は止められない、という考えになった?

「というよりも、GKはシュートを打たれないことが一番だから。メディアもサポーターも、シュートを止めることがいいGKだと思っているけど、オレはそう思わない。例えば、この前の清水戦が一番いいスタイル

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tags: 松永成立 榎本哲也

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