赤鯱新報

【岐阜vs名古屋】試合プレビュー:見るべきは攻撃陣の連係と構築。開幕戦へ向けての“中間発表”の内容やいかに。(1627文字)

■メ~テレスポーツスペシャル
「FC岐阜×名古屋グランパス」プレシーズンマッチ
2月22日(日)(13:30KICKOFF/長良川)
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※赤鯱新報では試合後コメント、レビュー(試合レポート)をお届けする予定です。
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開幕へのカウントダウンが、いよいよ始まる。タイでの一次キャンプ、沖縄での二次キャンプを終え、まずまずの仕上がりを見せている名古屋グランパスが“準公式戦”と言えるプレシーズンマッチに臨む。相手は隣県のJ2・FC岐阜。2009年以来となる「名岐ダービー」である。

「本気モード、戦闘モードで入って行きたい」と西野朗監督は語った。3月7日へ向けた週末はあと2回。今回の岐阜戦、そして次週には開幕戦の会場である豊田スタジアムでJ2・磐田との非公開試合を予定している。1週間の過ごし方、西野語録で言うところの「ルーティーン」はここからシーズンモードに突入するということだ。その中でこのプレシーズンマッチは観客がおり、試合前の演出もされるという部分で本番を想定したものになり、磐田戦は会場入りから始まる開幕戦でのチームの動きを確認する意味を持つ。まずは久々となる興行としての試合を体感することで、意識を本番仕様に変えていきたいところだ。
だが、チームそのものの仕上がり具合を確かめるには懸念材料もある。田中マルクス闘莉王だ。キャンプもフルメニューをこなし、オフ明けの練習もすべてをこなしたものの、右太ももに抱える違和感はまだ癒えていない。20日のトレーニングでは試合用のスパイクとは違うタイプのものを履いていたが、これは普段のことながら「足のことを考えてもいる」と状態については慎重な模様。「まだ無理をする時期じゃない。公式戦なら出ているけど、今は磐田戦にきちんと出られたらいい」と岐阜戦の欠場をほのめかした。起用は西野朗監督の判断に委ねられるが、長良川で背番号4の姿を見られる確率は低そうだ。

さて、この一戦で注目したいのは、攻撃陣の連係に尽きる。昨季後半戦で見せた質実剛健なカウンターアタックは現在のチームカラーとなっているが、常に自陣に引きこもっての弱気なサッカーをしているわけではない。攻撃から守備に局面が変わった瞬間、永井謙佑や川又堅碁、矢田旭らが精力的にフォアチェックを繰り返し、相手の出足をくじいてからの堅守速攻がベースである。そこに新加入のノヴァコヴィッチと負傷から復帰のレアンドロドミンゲスが加わった際に、同じ流れが作れるか。もっとも指揮官は「彼らにシーズンを通してハードワークを求めるのは難しい」と、ベテランたちの守備力に多くを期待してはいない様子だが、昨季からほぼ固定の残り9選手たちは同じイメージでプレーするために齟齬が生じる。そのギャップをどのような形で埋めていくのかは、来る開幕戦へ向けて調整すべき最優先事項と言えるだろう。

また指揮官は攻撃陣のメンテナンスとともに、オプションを増やすことも今季のテーマに掲げている。

「速攻だけではない形やノヴァやレアンドロに旭が入ってのプレー、そこに違うオプションが取れる感覚を得られれば。遅攻の中での攻撃のオプションは増やしていきたい。今はまだノヴァにボールが供給できていない。そこ(最前線)が最初の目的で、順にパスの選択肢が落ちていく。まだまだつながなきゃ、というところで近いポジションやラインでのポゼッションが多い。リスクを負うのではなく、でもチャレンジするボールを増やす。それが少ないから今はノヴァにもフラストレーションがたまっている」

ポゼッションへの方針転換ではなく、昨季作り上げたカウンターとの併用である。「固定メンバーで戦うことは考えていない」と常々語る西野監督は、相手や戦況に応じたメンバー選びができるハイレベルなチームを目指している。その第一歩として、今回の岐阜戦ではカウンターにならなかった場合の攻撃は貴重なテストケースになる。岐阜が引き気味に構えてくるならば、なおのこと遅攻の構築は重要性を増してくる。

開幕戦を前にひとまず披露される2015年版名古屋グランパスは、攻撃陣の出来にフォーカスする。昨年の今頃を思えば、格段の進歩だ。明確な意図のもとに進められているチーム強化の“中間発表”を、楽しみに観察したい。

reported by 今井雄一朗

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