「ゼルビアTimes」郡司聡

【★無料公開】J2第20節・横浜FC戦/横浜FC・中田仁司監督、大久保哲哉選手、町田・相馬直樹監督コメント(3,979文字)

■明治安田生命J2リーグ第20節・6月26日(日)18:00キックオフ
ニッパツ三ツ沢球技場/6,871人
横浜FC 1-0 FC町田ゼルビア
【得点者】横浜FC/68分 大久保哲哉

 

■中田 仁司監督(横浜FC)
——まずは試合の総括をお願いいたします。
「私が監督に就任して2試合目で勝ててうれしい。選手たちも一生懸命戦ってくれたし、トレーニングから一つひとつの課題に取り組み、町田戦に臨み勝てたことはコーチングスタッフを含めて大きな勝利になったと思う。町田の戦い方はスモールフィールドでコンパクトに戦ってくるので、そこに引っかからないように、展開力を使ったり、ディフェンスラインの裏を狙って、攻撃の糸口をつかもうという狙いがあった。前半はなかなかそこを突くことができず、相手のコンパクトな布陣に引っかかっていたが、何度か攻める形を作れてはいた。その回数を3回、4回ではなく、前半だけでも7、8回とやりたかった。

後半に入って、ハーフタイムで修正はするけれども、同じことをやろうと。その中でミスを減らせば、確率が上がると話しているので、焦れずにやろうとも話してきた。その中で糸口がつかめなかったので、メンバーチェンジをして方向性を変えた。前節は良い流れの中で変えられなかったので、良くなかったのですが、交代するときにも良い波が来ているときに勢いをもたらしたかった。その中で大久保とイバを入れるタイミングを見極めてきた。大久保が入って戦い方も分かりやすくなったと思うし、津田も警告を受けていたので、ここでイバに代えようと。いつ入れるか、というタイミングの問題はあったが、もう早い段階でイメージチェンジをしようという方向で考えて投入した。結果的に大久保が自分の特徴であるヘディングの強さで点を取ってくれて良かった。そのあとは狙いどおりだけど、田所選手の退場で残り時間は15分近くあったが、そこは冷静になって、メンバーチェンジをして永田選手を入れて、大久保選手に中盤でプレーしてもらった。大久保が中盤でプレーするようなことはなかなかないと思うけど、彼は彼なりに踏ん張ってくれた。彼のメンタリティーの強さを再認識した。今日の勝利は選手、コーチングスタッフを含めて準備した結果だと思うし、それで結果が出て本当に良かったと思っている」

ーー大久保投入で流れが変わったが、ゲームプランどおりでしょうか?
「本当にゲームプランどおりにいったと思う。三浦知良選手には(前線に)構えてくれと。ポストプレーができれば、そこで相手が引っ張られて裏が空くので、そこを津田知宏、小野瀬康介、野村直輝に狙わせようと。しかし、相手にコンパクトフィールドでプレッシャーをかけられて、それがなかなかできなかったと思う」

ーー久々の先発出場となった南雄太選手、中里崇宏選手への評価は?
「ベテランですから。僕たちが一番期待したのは後ろからのコーチング。最終ラインを統率してほしいと。渋谷飛翔選手もそれはやっていたが、ちょっと流れが良くなかったもので(代えた)。そこはベテランの力を借りて、踏ん張ってもらおうと。それは狙いどおりにいったと思う。彼も久しぶりのゲームで緊張しているのかなと思ったが、さすがだった。中里に関しては、シンプルに彼に任せた。彼の持ち味である展開力は、この町田戦には生きると思った。ちょっとミスもあったが、それをやろうというトライはしてくれた。あとは後半に中里崇宏選手のポジションを微妙に変えたことが良かったかなと。まあ、7月からはインカムが使えないのですが(笑)、上から見るコーチングスタッフとのやりとりで代えた。それが先ほど言った、『コーチングスタッフが本当に頑張ってくれた』という話に行き着く。そういうことが成功したと思う」

ーー後半最初の10分くらいをしのぎ切ったことが大きかったのでしょうか? 我慢比べのような展開でしたが。
「そうですね。中里のポジションを修正したことで、ああなるという狙いを持っていた。(中里のポジションを動かしたことで)向こうが焦れてくれた。ベンチでニヤッと笑っていましたよ(笑)」

ーーホームで4カ月ぶりの勝利となりました。
「チーム事情で、監督代行や入れ替わりがあったものですから、(勝利を)待たせてしまった。それでも勝たなければいけなかったが、なんとか今日勝てて良かった。次の(アウェイでの)札幌戦から戻ってきて、この雰囲気をまた一緒に味わいたいと思う。本当にありがたかった」

ーーカズと津田の2トップで前半に相手を動かしたことにより、後半の一刺しにつながったのでしょうか?
「あまり多くを言いたくはないが、そのとおりですよね。三浦知良と津田知宏の役割があって、そこに大久保、イバを入れるという次なる作戦があった。ウチにはそういう特徴のある選手がいるから、そこをコントロールしながら戦った。とにかく隙を見せるな、隙を突けということを言っている。本当にそれを実行してくれたことが良かった。『やったぜ』という気持ちですよ。退場者が出たときはどうしようという気持ちにもなったが、そこは冷静に考えて、今回はあれで正解だったかなと。イバを代えようとも思ったが、そうすると相手も大柄な選手を出してきた。良い駒がたくさんいるというのは、指揮官としては助かりますね」

 

■FW 39 大久保 哲哉(横浜FC)
結果を残せたことはFW冥利に尽きる
「これで満足することなく戦っていきたい。最初から出たいのが本音だけど、監督が思い描いたプランの中で起用されて、結果を残せたことはFW冥利に尽きると思う。すごく気分の良い試合だったし、これからもこういう試合を増やしていきたい。(ホームで4カ月ぶりの勝利です)ようやくホーム2勝目。次の札幌戦は首位で難しいと言われているけど、勝ち点3を取れるようにしたい。勝ち点3を取っていかないと浮上できないぐらいの順位にいるので、それはふがいない。悔しい思いしかないので、なんとか点を取って勝てるようにしたい。クロスボールは来た瞬間に『もらった』と思いました。チンとは目が合いましたし、イバが真ん中にいてくれたので相手をつれると思った。あの位置でクロスボールに二人が入っていれば、ニアで相手に引っかかったりしなければ、相手にはかなり脅威を与えられると思う。あのような場面でどちらかが入っていないことがないような状況はなくさないといけない。二人が入っていければ相手にとっては相当イヤだったと思う」

 

■相馬 直樹監督(町田)
——まずは試合の総括をお願いいたします。
「まずは隣街のここ横浜までたくさんのサポーターの方々に来ていただきました。われわれを後押しするエネルギーをすごく伝えて一緒に戦っていただきましたが、結果として勝利の喜びを味わうことができませんでした。非常に申し訳ないなと思っていますし、次も勝利を目指して一緒に戦っていただければと思います。ゲームのほうは18時キックオフで蒸し暑い天候の中、重苦しい時間帯も長かったかなと思っています。その中でどちらかというとわれわれのほうがゴールに向かう時間は長かったかなと思っていますし、特に後半の立ち上がりの時間帯でゴールに迫る時間を作れていたんじゃないかと思います。そういう時間帯で点を取るのか、点を取れないのか。それは重要なことですし、そのあとは攻めが落ち着いて、横浜FCさんが大久保選手、イバ選手を入れた中で、次第に向こうの時間が増えていった中、一発でやられてしまったと思っています。当然、昨年まで戦っていたJ3での舞台と違い、カテゴリーが上がった中で、その一発で勝負が決まることはあらためて痛感した部分でもあります。自分たちの時間帯の中で一つ攻め切る、その時間帯で点を取れなかったときにもう一つ我慢をすることがわれわれに必要なことかなと思っています。選手たちは前節、ふがいない戦いをした部分がありましたので、それを払拭するような戦いをしよう、ということで最初から最後までよくファイトしてくれていましたし、そのことには感謝をしたいと思います。最後勝利に導けずに心苦しい部分はありますが、正直顔を下げても仕方がありません。次に向けて、顔を上げて、選手たちと前を向いて戦っていきたいと思っています」

——けがから復帰した深津(康太)選手のどんなことに期待して起用しましたか?
「今週はわれわれらしく戦えるように、球際の部分など、原点ともいうべきことを、チームとしてできるように、彼がディフェンスラインに入ることで声の部分や、後ろにいることでの安心感、そういったものを引き出してほしいと思った中で起用しました。試合の間隔が開いていましたので、思うに任せない時間帯もある中で、自分が戻ってきたことにより負けたことを悔しいと思っていると思いますが、そのエネルギーを次につなげてほしいと思っています。もちろん、ほかにも良い選手がいますので、競争した中でチームに誰がエネルギーを与えてくれるのか、見極めていきたいと思っています。(もちろん深津自身も)顔を上げてやってくれると思っています」

——原点の部分をチームとしてどの程度表現できたとお考えでしょうか?
「90分の中で考えたときに、結果として失点の時間帯はコントロールし切れなかった部分があると感じています。攻撃の部分、守備の部分で、われわれのチームとして機能的にプレーする、その距離感の中でプレーすることができていた時間帯もあったかなと思っています。ただこれも、勝負のところとは違う次元ですので、もう一段上に上げなければならない、それだけではダメだと言われているようなものだと思っていますから、これからも上に引き上げられるようにやっていきたいと思います」

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