「ゼルビアTimes」郡司聡

【★無料公開】相馬直樹監督「あの時間帯に1点を取ってくれたこと。その姿勢は必ず次につながる」+松本・反町康治監督、高崎寛之、工藤浩平【監督・選手コメント】

■明治安田生命J2リーグ第30節・8月26日(土)19:00キックオフ
町田市立陸上競技場/4,762人
FC町田ゼルビア 1-2 松本山雅FC
【得点者】町田/90+4分 中島裕希 松本/42分 山本大貴、51分 高崎寛之

 

■相馬 直樹監督(町田)
ーーまずは試合の総括をお願いします。
「今日は夏休み最後の試合でしたが、試合の途中で雨も降る中、多くの方々にご来場いただきありがとうございました。最後に1点を奪うという粘り強さを見せることができたのも、ファン・サポーターのみなさまの応援のおかげだと思っております。ありがとうございました。

立ち上がりから松本さんのパワーに飲み込まれてしまったなという印象です。最近の松本さんがわれわれと似たような攻守ともに前に重心を置いたスタンスで戦っていると感じていましたので、自分たちの土俵で負けたくないと思って試合に臨みました。序盤から押し込まれるような展開の中で無失点で折り返すことができれば良かったのですが、1失点を喫して後半へ折り返す形になりました。

後半は松本さんがあれだけパワーをかけてきたので、運動量が落ちることもあるだろうと思っていましたし、時間を追うごとに重心が下がってくるだろうとは思っていました。0-1の時間帯をもう少し長くできればまた違った展開になったと思いますが、セットプレーの形から追加点を決められてしまいました。

2点を取られた場面を乗り越えられれば、ゲームの流れはだいぶ変わったかなと思います。そう思っている中で松本さんが点を取ったということは松本さんに力があって、われわれには力が足りなかったということだと思います。前半もよく戦ってくれましたが、力に屈して1点を取られて、セットプレーから2点目を取られたことが非常に痛かったです。

ただ2点をリードされるという試合展開の中で、選手たちはバラけることなく、自分たちのサッカーにトライしてくれました。その中で1点を返すことができました。負けたことで完敗も惜敗も同じことなのですが、それでもあの時間帯に1点を取ってくれたこと。その姿勢は必ず次につながると思いますし、あのゴールを次につなげていかなければなりません。

こういう結果になったことは私自身が力不足であることがいろいろな形で表出してしまいました。もう一踏ん張りして、今日の悔しさを忘れずに最後まで粘りを見せてくれた選手たちを信じて次の試合に向けて準備をしていきたいと思います」

ーー前半から相手のパワーに飲み込まれてしまった原因について、監督はどのように感じていらっしゃいますか?
「松本さんの前線で起点となる高崎寛之選手のところを抑え切れずに、そこで起点を作られた上での相手のスピードアップに対応できませんでした。どのチームと試合をしても一緒ですが、ターゲットとなる選手を抑えられるかどうかに懸かっています。今日は相手のパワーを抑えることができなかったと思いますし、前線で起点を作られたことで相手のパワーが加速していくような展開を作られてしまいました。またそれによって、自分たちが前へ出るパワーが失われてしまったというのが正直な印象です。

何回か自分たちが前にポイントを作れるシーンもあったのですが、少し自陣に押し返されてしまうことが前半に続いてしまいました。それによって次第に1対1の場面でも相手のほうが一歩早い、一歩腰が入っている状態でボールを奪っていく。前半はそういうシーンが増えてしまったと思っています」

ーー今日はペナルティーボックス内に入れる機会が少なかった印象です。かなり松本山雅さんに研究されているのかなという印象を受けたのですが、監督はどのようにお考えでしょうか?
「山雅さんは実際にこういう形で戦ってくるチームだと思いますし、ボックスの脇に入る場面で受け手の選手の数も少なかったのかなと思っています。実際にはスローインを含めて、ボックスの脇の位置からもう少しチャンスにできる形もあったと思いますが、正直そこでパワーを使い切れなかったなと思っています。研究されている……。研究されているかどうかはちょっと分からないです」

 

■反町 康治監督(松本)
ーーまずは試合の総括をお願いいたします。
「90分間同じリズムで戦うのは難しいにしても、後半はいろいろな意味で少し集中力を欠いたプレーが多かったかなと思います。前半はかなり攻撃で飛ばしていて、そのときに1点を取れたことは大きかったですね。本当はもう少し点を取れる可能性はあったのですが、そこがサッカーの難しいところです。フィニッシュをできる場面でフィニッシュに持ち込めずに、難しい試合になってしまいました。

あと、最後のやられた場面は残念です。今週はあのための対応の練習をしてきましたし、山形戦に続いて横からのボールで失点をしていますから、試合に勝ったものの喜んで帰るわけにはいきません。ただ、この課題を次は消化できるようにやっていきたいと思います」

ーー今日の試合はサイドからのクロスボールが非常に多かったですが、狙っていた形でしたか?
「お互いの今日のクロスの数を合わせたら、史上最多の試合だったんじゃないでしょうか。ゲームの分析をするにあたって、相手のウィークポイントを突くことはサッカーの一部です。早く真ん中で勝負しないといけないという狙いはありました。

ただ残念なことに、クロスの精度が悪いというか合わないというか……。試合中にも『名古屋だったら合うんだろうな……』とつぶやきながらベンチから見ていました(苦笑)。ボールのルートは良かったのですが、フィニッシュの場面での入り方や詰め方、そして勢いや合わせ方、余裕というか。そういうことが少し足りなかったと思います。それに尽きるのではないでしょうか」

ーーCKのキッカーについて、途中で工藤浩平選手からパウリーニョ選手に代えていました。
「指示をしようと思ったら、選手たちの間で代えていましたね。ちょうど良いタイミングだったと思います。今日は少し合っていなかったですね」

ーー試合の全体的な印象としてはいかがですか?
「前半に関しては町田さんの特長をほとんど出させなかったことは良かったと思います。後半は少しオープンな展開になったことで対応が遅れましたが、ゴール前での対応については、そんなに悪くなかったと思いますよ。最後にやられてしまったので大きな声では言えませんが、ピンチらしいピンチはなかったと思います。

もちろん井上(裕大)や森村(昂太)が良いミドルシュートを決めてくるので気を付けていましたが、途中から長身の戸島(章)を入れてきて右サイドのところをミスマッチで勝負してきました。ただわれわれも精度は高くないですが、町田さんも精度が高くなかったので、イーブンだったのかもしれません(苦笑)」

ーーチームの持ち味である走力や運動量について、今日の評価はいかがですか?
「走力と言ってもいろいろありますが、例えば今日の山本は50〜60回はスプリントをしていたと思います。それはディフェンスのときもそうですし、自分たちがボールを持っているときに町田さんはラインを上げてくるので、戻りオフサイドが多いんです。それはわれわれも課題として、歩いて戻ってオフサイドという場面をなくすように話をしてきました。

実際、今日はほとんどなかったですよね。戻って再び動き直してのアップダウンは、山本や工藤、ヒロ(高崎)も良くできていましたね。それが攻撃の連動性という意味で分断せず、特に前半はやれてきたんだと思います。そこは相手の分析などでこだわってきた部分なので、今日だけでなく今後も続けてやっていきたいです」

 

■FW 9 高崎 寛之(松本)
試合を決定付けるゴールを決められてうれしい
「(1ゴール1アシストで勝利に貢献しました)練習でやっていたことを出せて、勝利に貢献できて良かったです。試合前から総力戦だと思っていましたし、相手のラインが高いということは分析で分かっていたので、そこを狙っていこうと話をしてきました。前半から裏を狙っていて、向こうはラインを上げてくるのでオフサイドに引っかからないようにアップダウンしたことでキツかったですけど、それが勝利に結び付いたんだと思います。

(後半の立ち上がりに、CKから決勝点を挙げました)少し前半はキッカーとの関係からチャンスを作れなかったのですが、後半は1本を決めることができました。良いボールが来たので、自分としては合わせるだけでした。ずっとCKが続いている中で1点を取ることができて、欲しかった追加点でした。結果的に試合を決定付けるゴールを決められたことはうれしいので、これからも狙っていきたいです。前半は1本フリーでクロスバーに当てている場面がありました。そこで決められなかったですが、相手のマークを外すことができたので、後半もうまくマークを外せるかなと思っていました。

最後の失点は印象が悪いですが、全体を通しては悪くなかったと思います。守備に関しては守備陣が修正してくれると思います。リーグを通しての1節ですが、昨年のここで負けている中で結果を残せて良かったです。(8月を振り返って)アウェイが続いてホームが1試合だったことはこの8月でキツかったですが、ホームに戻って勝ち点を積み重ねないと上位に追い付けません。次節は徳島戦ですが、結果を残せるように1週間良い準備をしたいと思います。(上位は)団子状態なので、一戦一戦を戦うしかありません。結果に一喜一憂せずにやっていきたいです」

 

■MF 10 工藤 浩平(松本)
流れの中からゴールを決めたかった
「狙いどおりのプレーはできたと思いますが、欲を言えばセットプレー以外で点を取りたかったです。あとは最後の失点はもったいなかったかなと。

(先制点につながったダイレクトのクロスボールについて)ラインを上げてくるチームだと分かっていましたし、ファーサイドにヒロ(高崎)が見えたのでパスを出した形でした。ヒロもよく折り返してくれましたし、ヤマ(山本)もよく決めてくれました。

(前半の途中からセットプレーのキッカーをスイッチしていました)キックが当たっていなかったので、代わったのですが、代わってくれたパウ(パウリーニョ)がアシストをしてくれて良かったです。(攻撃のイメージについて)もっと間で受けてスルーパスを狙いたかったのですが、相手がコンパクトにして、ラインも高いのでオフサイドにならないように気をつかいながら、スペースを突くことを狙っていました。もう少し流れの中から決めたかったですね。

後半は2点目を早めに取れたので、我慢強く戦いながら裏も一発狙いたかったですが、セカンドボールを拾われ始めました。8月はあまりアウェイで勝てなかったですが、けが人も戻ってきて競争もまた激しくなっています。勝ち点をしっかりと取っていくことは大事です。ホームに戻って連勝したいです。

チームのやるべきことと求められていることを意識しながら自分の色を出しつつ、結果を出したかったですね。直接絡んではいないですが、チームとしての結果を出せて良かったです」

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