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松沢呉一のビバノン・ライフ

元校長の女湯のぞきは考えにくい-出歯亀と冤罪-(松沢呉一) -4,571文字-

元校長の女湯のぞき事件

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このところ、また頭が遊廓のことで支配されているため、タイムリーな情報に興味が抱けなくなっているのですが、銭湯好きの私としては、このニュースには一言言っておかねばなるまい。

 

 

ジャンプして女湯をのぞき見したとして、中学校の元校長の男が逮捕されました。

逮捕されたのは、石川県教育委員会の非常勤職員で元校長の●●●●容疑者(62)です。警察によりますと、●●容疑者は22日午後5時ごろ、石川県白山市の入浴施設で、男性用の浴場でジャンプして壁越しに女性用の浴場をのぞき見した疑いが持たれています。●●容疑者は「女風呂の構造がどうなっているか見たくてのぞいた」などと容疑を一部否認しています。

テレ朝ニュース」より

 

名前を消したのは、私はこれを冤罪だと見ているためです。銭湯の構造や客層は少しずつ違いますから、詳しいことはこの銭湯を調べないとなんとも言えないのですけど、私の知る限りの銭湯で言えば、高い確率で冤罪だと思われます。

 

 

誰がこの時間帯に女湯を見たいと思うのか

vivanon_sentenceまず時間帯。平日の午後5時はわりと暇な時間帯です。

午後4時からスタートの銭湯だと、口開けラッシュの流れで、まだそこそこ人がいますけど、早い時間からやっている銭湯だと、夕方はもっとも暇になります。6時台になると、近隣の商店で、店じまいが早いところの人たちが来ますが、それまでは人が少ない。人がいても2人か3人かといった程度です。

現在、白山市では、組合加盟の銭湯は三軒のみ営業しているようで、いずれも午前中からやっています。午後5時は暇なんじゃなかろうか。

銭湯の客の多くはご老人ですが、とくに早い時間はほとんどがご老人で、たいていの場合、50代の私が最年少。

普通の勤め人や商売をやっている人は仕事中ですから、この時間に来ているのは退職した世代の人たちです。

一部、無職の人、仕事が早く終わった人、仕事の途中の人たちがいます。肉体労働でも、日によっては早朝からの仕事がありますし、ネクタイをした人が来ていることがあります。営業の人が汗をかいて、社に戻る前に一風呂浴びるのでしょう。

中学生、高校生、大学生を見かけることもあります。風呂がない家は今もあり、学校から帰る途中で風呂に入る。また、体育会系の学生で、練習のあと風呂に入る習慣のあるのがいます。しかし、そういう世代に出くわすのは稀です。

「若い女子が入っていくところを入口で見て気になった」ということもなくはないでしょうが、そういった当てもないのに、そもそも人が少ないこの時間帯の女湯を覗こうとするのはいませんて。「どうしてもばあさんの裸が見たい」という人もいるかもしれないので、これだけではなんとも言えないとしても。

 

 

裸を見たくても見えない

vivanon_sentence仮に見たいと思ったところで、ジャンプして女湯が一望できるような銭湯はまずありません。洗い場にせよ、脱衣場にせよ、壁は低いところで180センチ台、高いところでは天井ギリギリ。もちろん、天井まで壁になっているところもあります。

あんまりいい写真が見つからなかったのですが、右の脱衣場は壁が低めですね。人がいない時間に、許可をもらって手を上げて撮ったため、実際以上に低く見えますが、ドアの高さよりも壁が少し低い。

それでも、裸は見られない。相当に身長が高く、ジャンプ力のある人なら別として、170センチから180センチ程度の身長の人が頑張ってジャンプしても、女湯にいる人の頭部が少し見えるだけだと思います。

ここに写真を出した2軒の銭湯はいずれも古い。古い銭湯の方が壁が低い傾向があります。

昔は壁越しに「そろそろ出るぞ」「まだ髪を洗っているので、あと10分待って」なんて会話をしたわけです。しかし、今は家族で、あるいはカップルで銭湯に行くこと自体がなくなっています。

また、昔は「石鹸を忘れたので投げてくれ」なんてこともありましたが、今はボディソープを備え付けている銭湯が多いので、そういうこともなくなっています。

そのため、今は壁が高くなってきていて、壁の上が抜けていない銭湯も増えてます。

白山市の銭湯はどれも新しそうなので、壁は高いのではなかろうか。

ちなみに韓国の銭湯では、この隙間がなく(天井がもともと低いですし)、日本の銭湯では、女湯からの声が聞こえてくることに驚く人が多いそうです。

※銭湯の中の写真をどうして撮れるのかと言えば、夕方は人がいないためです。人がまったくいない時間帯だと写真を撮らせてくれます。

 

 

女湯が気になることはある

vivanon_sentence「女風呂の構造がどうなっているか見たくてのぞいた」という容疑者の言葉はうそ臭く感じられる人もいるでしょうが、こういうことってあるんですよ。

銭湯によっては複雑な構造になっていて、「サウナが女湯側に出っ張っているってことは女湯側のサウナはどうなっているんだろう」と気になることが私にもあります。ジャンプして確認したいとまでは思わないにせよ。

もうひとつ私が気になるのは絵です。上の写真のペンキ絵は男湯と女湯の間に富士山がありますが、男湯に富士山がある場合は、私も女湯側の壁を見ます。全部は見えないですが、ジャンプしなくても上部は見えます。富士山の裾野しか女湯にない場合もあれば、絵がつながっているのに、女湯には日本アルプスが描かれていることもあります。

私はペンキ絵よりタイル絵が好きでして、男湯と女湯がつながってひとつの絵になっていることもあれば、まったく別の絵になっていることもあって、いい図柄だったり、きれいな色使いだったりすると、女湯が気になります。ネットで公開されていることもあるので、気になる時はうちに帰ってから確認します。そのくらい気になるのは事実。

※写真はこの件に関係がないですが、最近行った銭湯でもっとも気に入った深川の常盤湯です。キンタマを出したまま、ここで涼めます。

 

 

なぜこんな騒ぎになったのか

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では、どうして逮捕まで至ったのかを推測してみましょう。

女湯がどうなっているのか気になって繰り返しジャンプをしたところ、女湯から頭が壁の上から飛び出すのが見えて、「キャー、出歯亀だ」と騒ぎ出したのがいて、すぐに女湯にいた人の中で携帯で110番したのがいたのではなかろうか。

今は番台がなく、脱衣場の外に受付がある方式が多いですし、番台があっても、洗い場や脱衣場が見えなくなっている銭湯が多くなっています。白山市の銭湯はどこも新しいみたいですから、フロント方式だろうと思います。

そのため、銭湯の人も何があったのかわからないまま、警察が来てしまったのではなかろうか。

今どきの警官で銭湯に行くのはまずいないですから、「繰り返しジャンプしてノゾキをした」という証言を鵜呑みにし、「女湯の構造が気になった」という言葉は言い訳にしか聞こえずに逮捕に至り、報道の人たちも銭湯のことを知っている人がおらず、誰も疑問を抱かなかったのではないか。

現場で取材するほどの金はないので、あくまで推測ですけど、午後5時の銭湯で、ジャンプしてノゾキをすることはあまりに不自然であることを指摘しておきます。

※写真は板橋区西台の功泉湯。ここも各種浴槽が揃っていて、いい銭湯でした。

 

 

池田亀太郎の犯罪

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さて、出歯亀といえば明治時代の実在の人物。ただのノゾキではなく、殺人犯です(強姦殺人としてあるものもありますが、強姦未遂殺人とすべきでしょう)。このオリジナル出歯亀も冤罪の可能性があります。

 

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