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松沢呉一のビバノン・ライフ

フェミニストに異議を唱えるフェミニストたち—共感できるフェミニスト・共感できないフェミニスト 3-(松沢呉一) -2,983文字-

属性でしか判断できない人たち

 

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前回書いたように、自分の意見と合致しないと、「男だから」と納得しようとしてしまう方がいらっしゃるようです。属性でしか判断できない人たち。

飛ぶのが怖い (新潮文庫 赤 157-1A)それが自称フェミニストだったりするので、ビックリします。こういう人たちは、自分の考えと合致するものがフェミニズムだと錯覚しているのではなかろうか。「私」を肯定してくれるものがフェミニズムだと。

「おっぱい募金」批判をする自称フェミニストが、「自分の娘にはさせたくない」などと絵に描いたような典型的パターナリズムを展開する男の弁護士に共感していたのがいい例です。

これがこの国の「市井のフェミニスト」の惨状です。道徳観を共有しているために、糞フェミは糞パターナリズムに共振してしまうとしか思えない。仲良しさん。

内面化した道徳やセックスフォビア肯定してくれないフェミニズムの動きには興味がなく、歴史も学ぼうとしない。エロライターの私ほどにも、この国の婦人運動史や海外の動きに関心を抱くこともなく、パターナリズムさえもフェミニズムだと思えてしまうのだろうと推測します。まさにバカフェミ。

こういうタイプの人たちが属性で他者を判断する傾向については意味があると思っています。次回以降説明していきます。

※下のリストに出ているようにエリカ・ジョングも表現規制反対派

 

マック・ドウォーキン主義に反対する女たち

 

vivanon_sentenceこのことの間違いを『ポルノグラフィ防衛論』から確認しておきます。

マック−ドウォーキン派の人々は、フェミニストならば、皆彼らの考えに同調するものと思い込んでいるようだが、多くの女性フェミニストは、マック−ドウォーキン派の性的表現への執拗な批判に対して、反対の立場をとっており、検閲を要求する彼らの主張に対しても拒絶の態度を示している。(略)多くのフェミニストが、フェミニストとしての観点から性的な表現への検閲に反対しているのである。わたしたちは、検閲は女性の権利を向上させるものではなく、逆に女性の権利を侵害するものであると考えており、そのような考えに則してみると、フェミニストが主張する反ポルノグラフィ法案には二つの欠点があることがわかる。つまり反ポルノグラフィを謳う法律は、言論の自由と平等権の双方に害を及ぼすことになるのである。

(略)

Beyond Gender: The New Politics of Work and Family検閲反対派フェミニストには、あらゆる分野の著名な活動家、芸術家、心理学者、学者、女流(および男性)作家などがいる。その中でも有名なのは、〝全米女性機構〈the National Organization for Women, NOW〉〟の創立者であり代表者でもあるベティ・フリーダン、 〝米国家族計画連盟〈Planned Parenthood 〉〟において長年にわたり代表を務めてきたフェイ・ワットルトン、またNOWの元代表者カレン・デクロウ、作家のアン・ベルネイ、ジュディ・ブルーム、 バーバラ・エレンライヒ、ノーラ・エフロン、ナンシー・フライデー、メアリー・ゴードン、スーザン・アイザックス、モリー・イヴァンズ、エリカ・ジョング、ジャマイカ・キンケイド、ケイト・ミレット、カタ・ポリット、アン・ライス、アドリエンヌ・リッチ、アリックス・ケイツ・シュルマン、ウェンディ・ ワッサーシュタインなどだ。

※内容が古くなっていて、ベティ・フリーダンは2006年死去。他にも亡くなっている人はいるかも。

 

マック・ドウォーキン主義とは?

 

vivanon_sentence「マック・ドウォーキン派」「マック・ドウォーキン主義」といった用語がこの本にはよく出てきますが、日本でも翻訳書が出ているキャサリン・マッキノンアンドレア・ドウォーキンに追従するような人たちとその思想のことです。

性の政治学 おそらくドウォーキンが死去して以降、フェミニズムの中での勢力は相当に弱まっていると思いますが、なお消え去ってはいない。道徳派ですから、そう簡単にはいなくならない。

日本でもマック・ドウォーキン主義者がいて、マッキノンやドウォーキンを読んだこともないまま、こういう考えに同調している人たちもいます。私でさえ読んでいるのに。「こんなもんがどうしてラディカル・フェミニズムと言われているのか」「ドウォーキンがどう変節したのか」についても次回以降説明します。

マック・ドウォーキン主義者たちは、ポルノを規制する法律を要求しています。これは、憲法修正第一条「表現の自由」を譲らない米最高裁に対抗して、「表現する内容」あるいは「表現する場」を極端に制限しようとする道徳側からの反撃に他ならない。そこまで意図しているわけではない人たちであっても、そういう勢力に確実に利用されるし、現に利用されています。

※念のために書いておきますが、上のリストは、あくまでポルノを含めた表現規制に反対する人たちであり、セックスワークの評価はまた別。とは言え、こっちの勢力から、セックスワーク肯定のフェミニストたちが出てきたことは間違いないでしょう。ケイト・ミレットの『性の政治学』は若いころに読んでいて、売春についても語られてましたが、どういう立場だったかすっかり忘れました。この書影は1985年の新装版で、うちのどっかにあるのは1973年版。

 

表現規制に対抗するセクシュアルマイノリティ

 

vivanon_sentence米国でも「セクハラ」の拡大解釈を筆頭に、宗教右派や道徳派フェミニストらは新たな装いによって性表現潰しを進行していくのですが、これに反対する勢力はリベラル派フェミニストたちだけではなく、セクシュアルマイノリティの団体も含まれます。こっちは連携しています。

 

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