「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

勝てば視界が大きく開ける [2nd13節川崎戦プレビュー]

これ以上ないパフォーマンスと引き換えに、大きな代償を払うことになるかもしれない。

 22日の天皇杯3回戦・東京ヴェルディ戦で約2ヵ月ぶりに公式戦復帰した中村俊輔だが、その試合の後半に左ひざを負傷してしまった。交代することなく試合終了までプレーできたことからも、たとえば今季絶望というようなけがではないだろう。だが、中2日で迎える川崎フロンターレ戦の出場は難しいかもしれない。試合終了直後の表情は曇りがちだった。もっとも出場可否については試合当日までわからない。試合前日の24日は非公開練習だったため、現在の状態を知ることはできない。

仮に出場できる状態だとしても、フロンターレ戦の先発は微妙だった。東京V戦ではリーグ戦で2試合連続ゴール中の兵藤慎剛に“有給休暇”を与えていた。中村や天野純を起用すると同時に、リーグ戦を見据えたマネジメントであろう。公式戦3試合連続ゴール中の中町公祐とともに中盤の一角を担うはずだ。そして、こちらも東京V戦では途中出場となったパク・ジョンスも守備的なタスクを与えられることが予想される。

そのとき中盤の形はどうなるか。兵藤と中町をインサイドハーフに置き、パクをアンカーに配する[4-1-4-1]か、あるいはダブルボランチの[4-2-3-1]に戻す可能性もある。フロンターレ戦でのすう勢を決める大きな決断となる。相手の中盤には中村憲剛と大島僚太という、隙あらば縦パスを狙ってくる“レジスタ”が二人もいる。彼らにプレッシャーをかけられず、さらにバイタルエリアにスペースを与えれば苦戦は避けられない。

 

 

下バナー

 

 大久保嘉人とエドゥアルド・ネットが出場停止になるのは追い風だ。しかし、だからといってフロンターレの性質が大きく変わることはない。大久保がいなくても小林悠がいる。エドゥアルド・ネットが不在になることで中村憲剛がボランチに入れば、マリノスはマークしにくくなるかもしれない。相手にしてみれば『災い転じて福となす』可能性だって十分に考えられる。

1stステージは0-2の敗戦だったが、スコア以上の完敗を喫した。ほかのどのチームと対戦するよりも力の差を見せつけられたゲームだ。リベンジを果たすのは簡単ではない。おそらく自陣で耐える時間が長くなるだろう。チャンスの数もそれほど多くならない。しかも中村が欠場すれば、セットプレーという最大の武器を失う。齋藤学にかかる期待と負担はおのずと大きくなる。

勝てば視界が大きく開ける。負ければ今季のリーグ戦は終わる。ぎりぎりの攻防を制し、マリノスのプライドを示せるか。

 

※非公開練習となったため、今回は選手コメントはありません。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ