「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

選手が出揃った状況でのポジション争いは、過去に見たことのないほどに激しい [J19節 清水戦プレビュー]

 

 

中断期間を経て、どう仕上がっているかがポイントだ。

先週は5泊6日で十日町キャンプを実施した。真新しいトレーニングがあったわけではなく、横浜で行っている練習を二部練習などボリュームアップさせて繰り返す。フィジカル向上に主眼を置いた練習で、選手たちは自分たちを追い込んだ。

 補強でパワーアップを志すチームは当然ある。一方で、マリノスは出場機会に恵まれなかった中島賢星をFC岐阜へ、そして仲川輝人をアビスパ福岡へ期限付き移籍で放出。新加入選手はなく、キャンプなどに練習参加していた選手の正式契約といった情報も聞こえてこない。

つまり、当たり前の話だが「最低でも前半戦以上のクオリティを発揮しなければいけない」(エリク・モンバエルツ監督)。新たな選手力を加える補強がないのならば、現有戦力でチーム力を上げるしかない。厳しいトレーニングによるフィジカル向上が方法論の一つであり、仕上がりが楽しみだ。

 

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ただし今週に入ってからもトレーニング量が多く、選手は心身ともに疲労を抱えている可能性がある。あるいはフィジカルが充実していても、メンタル面にストレスがあるかもしれない。フレッシュな状態でリーグ再開初戦を迎えられているか。こればかりは蓋を開けてみなければわからない。今の時点では前向きに考えることも、不安を煽ることもできる。

もっとも「疲労が溜まっていると思うが、それも必要なこと」という指揮官の言葉額面通りに受け取るならば、チームは好循環で進んでいるのだろう。たとえば、けが人がほとんどいないこと。伊藤翔がキャンプ中に合流し、今週に入ってからはほぼフルメニューを消化した。栗原勇蔵も一昨日の木曜日から部分合流し、完全復活までもう少し。別メニュー選手は皆無である。それぞれの事情で日本を離れていた外国籍選手も無事に顔を揃えている。

 選手が出揃った状況でのポジション争いは、過去に見たことのないほどに激しい。ほとんどのポジションに複数の選択肢があり、替えが利かない選手は中澤佑二くらいだろう。さまざまな組み合わせやパターンがあり、それが指揮官の頭を悩ませているのはポジティブな材料といえる。

結果として中断前から大きくメンバーが変わることはなさそうだが、好調だったパク・ジョンスからミロシュ・デゲネクに戻ることがどう出るか。パク・ジョンスは守備だけでなく攻撃面でも絶大な効果を発揮しており、どんな場面でも慌てずボールをつなぐ技術の高さで安定をもたらしていた。リーグ戦では第14節・川崎フロンターレ戦(2○0)以来、久しぶりの先発となるミロシュ・デゲネクのパフォーマンスに注目が集まる。

中断前終盤は5連勝を含む7試合負けなしで駆け抜け、順位を押し上げた。しかし上位陣がそうそう取りこぼすはずもなく、まだ足りない。明日の清水エスパルス、次節のアルビレックス新潟、そして次々節のコンサドーレ札幌と下位グループとの対戦が続く。本気で何かを勝ち取りたいのならば、この3試合で勝ち点9獲得は至上命令だ。Jリーグに簡単な試合など存在しないことは百も承知だが、ならば接戦を制する地力の高さを証明しなければならない。

 

 

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