赤鯱新報

【若鯱通信】第11回:プレミア参入戦直前インタビューその1 髙田哲也U-18監督「相手より気持ちで上回り、相手より走って、相手より闘う」

14勝1敗3分の首位でプリンスリーグ東海を勝ち抜いた名古屋グランパスU-18が、いよいよ今季の正念場を迎えようとしている。
1年でのプレミアリーグ昇格を唯一最大の目標としてきたチームにとって、12月15日から始まる参入戦はトップチームの昇格プレーオフさながらの大一番となる。
10日に契約満了が発表された髙田哲也アカデミーダイレクター兼U-18監督にとっては、最後の仕事となるこの一戦へ向け、その心境を語ってもらった。

「この舞台でどれだけのことをやってくれるか。その期待の方が大きい」

Q:いよいよ始まるプレミア参入戦は今季の第一目標でした。いざ目の前にした今の心境は?
まずはプレミア参入戦に勝つことが今年のミッションでしたから、そのためにプリンスリーグ東海で優勝して、良い形でそこに入っていきましょうということを選手たちには春先から言っていました。途中、リーグに慣れてしまったところがあって中だるみとまではいかないまでも、そういう感じの時期もありましたが、基本的には滞りなく戦ってこられたと思っています。プリンスでは一つしか負けていません。一つたりとも負けてはいけなかったのかもしれないけど、それを気を引き締めるための薬にできたところもありました。すべて順当といえば順当で、予想通りでもあり、想定内でもありました。Jユースカップが間に入ったりもして、そこも良かったです。

チームの状態としても最初が良くて少し下がってきたところもあったんですが、ここにきてまた上がってきた感じも出てきました。負傷者も戻ってきたことで、戦力としてのベストメンバーは組むことができそうです。負傷明けの選手もフルでは使えませんが、逆に彼らを勝負所で使うことでまた違う味が出せるかなとも思います。あとは私の腕次第です(笑)。トップチームと同じように、U-18も自分たちのやりたいことをこの舞台でもどれだけやれるかですからね。

Q:選手たちの成長具合も、期待していたものになりましたか。
杉浦文哉、杉田将宏のキャプテン2人を中心にやってきて、杉浦はまだ負傷中ですが、2年生も経験と自覚をもって成長してきてくれています。来年に向けても良い流れを作れるんじゃないかと思いますね。

杉浦文哉選手と杉田将宏選手(2017年3月撮影)

Q:最終学年ということで、3年生の奮起するところも見えてきていたりしますか。
うーん…高体連のチームとは違って、今年は試合に出ている3年生がそれほど多くはないのでね。でも、みんな黙々と頑張っている。面と向かって意見を伝えるのはキャプテンぐらいだけど、その分は2年生が後押ししてくれてもいますね。今年の2年生はパワーがあるので。そういう良いバランスにはなっていますよ。そこで1、2年生も良くなってきているので、そこが楽しみなところでもあります。

Q:今年はダブルキャプテンということで杉浦選手と杉田選手にチームを任せましたが、彼らについては?
杉田は1年を通して変わることなく高いレベルでプレーしてくれましたし、そんなに口数が多い方ではないんですが、プレーで引っ張れる選手ですからね。頑張れるので、他の選手もその背中を見てついていくところがありました。杉浦はプレースタイルとして自分から仕掛ける選手なので、ピッチに立っている時は存在感は抜群です。でもそれ以外ではどうだったかといえば、まだまだでしたね。だからこそキャプテンをやらせたところもあったんです。まあ、難しいです。負傷したことで自分がうまくいっていないから、人のことに構っていられないところもあっただろうしね。代表のこともあったけど、だからこそもっとやらないといけなかったとは思います。今季はトップ昇格できなかったり、代表に入ったり、ケガをしたり。プレーも良い時と悪い時の差が激しいので、彼は大学で一度鍛え直して、4年後に出てきてくれたらいいなと思いますね。

Q:プレミア参入戦の試合については何か想定されていることはありますか。
守っていくとか、そういうことは一切考えていません。トップチームもそうだけど、おそらく相手もリスペクトしてくるし、そうなればいかにチャンスを決めるかということ。そしてここ、という時の勝負強さを発揮しないとこの2試合は勝ちきれないと思っています。きちんと先制点を奪い、中押し、ダメ押しとしていきたい。その展開に持ち込めればそうやられることはないと思っています。怖いのは自分たちのミスからカウンターを受けたり、下らないミスで失点したりとか。試合には独特の雰囲気があると思うので、バタバタしてしまうような気もしています。先制点ですね、まずは。失点をゼロに抑えることもそうですが、この2つを考えていけば、そうそうガチャガチャとした試合にはならないと思います。

相手も負けたくないからセーフティにもなるでしょうしね。1回戦の長崎総合科学大学附属高は特に、そこで蹴ってくるかもしれないですが、ウチは冷静にそれを拾って空中戦にせず、地上戦でしっかり戦う。そこで自信を持ってできるかです。

まあ、あまりネガティブなことを考えても仕方ないですし、泣いても笑ってもこの2試合だけです。自分たちの今までやってきたことを、攻撃でも守備でも出せばそれでいいです。ここで監督がいろいろ要求しても選手は困っちゃいますからね。相手より気持ちで上回り、相手より走って、相手より闘うこと。そっちの方が大事かもしれません。

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