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佐々宜央AC「間違いなく前進したシーズンだった」インタビュー後編【無料記事】

宇都宮ブレックス 佐々宜央AC

 

前回に引き続き、佐々宜央AC(アシスタントコーチ)インタビュー後編をお届けします。取材の際もそうでしたが、今こうして読み返していても、いろんな感情が湧き上がってくる内容になりました。ぜひ多くの方に読んでいただきたいです。(文・藤井洋子/写真・山田壮司)

 

どんな状況もモチベーションに変えて

―ファイナルの数日後に数人の選手に話を聞いたのですが、それぞれに悩みながらのシーズンだったことも分かりました。特にテーブス海選手は、ブレックスに入って間もないですし、いろんな意味で悩んだシーズンだったのかなと思います。

海は、「日本代表の選手になりたい」と言いますが、今、代表には八村塁くんや渡邊雄太くんがいて、彼らがチームの中心になっているので、彼らに合わせられる選手が必要になります。

ブレックスでも同じで、比江島慎や遠藤祐亮がいて、この2人に合う選手が必要になります。チームの核になるには、それなりの実力を見せなければいけないけれど、テーブスにはまだ足りない部分があります。となると、やっぱり中心となる選手に合わせていくしかありません。

 

―一方で、経験も実力もある比江島選手も、このファイナルではまた違う部分で悔しい思いをされたと思います。

比江島はちょっと特殊ですね。僕は彼とは代表でも一緒でしたし、このチームで1シーズン通して一緒にやっていく中で、さらに見えた部分もありました。

これはプロ選手としての宿命でもあるけれど、敢えて言わせてもらうと、このファイナルについては、メディアが比江島に良い影響を与えていなかったと思っています。

Bリーグ然り、その周辺のメディアの期待感ある映像やSNSの言葉…。比江島は、そういうことも気になってしまうので、それに対するメンタリティーを、まずは比江島自身が克服しなければいけません。

 

―メディアの煽りを気にしないメンタルが必要ということですか。

気にしない、なんてことは無理なので、むしろ、それを利用するぐらいじゃないと、と思います。

もし僕が比江島の立場だったら、注目して取り上げてくれることに対して「なんでこんなに馬鹿にされているんだ」と、逆にマイナスな方に捉えて自分に言い聞かせます。「これだけ僕ができてないから、周りが “できるぞ” と盛り上げているんだな」と。

そういう物語を自分で作ってしまい、いい意味で勝手にメディアを敵にして、「悔しい」というモチベーションに持っていきます。

 

どんな状況でもモチベーションに変えてしまうことが大切です。

「期待されているし、勝たなきゃ、やらなきゃ」という感情になると、“やらされている状況” になってしまい、本来の力なんて出せませんよね。

そこを、自分から先に「くっそ~、見てろよ」と言えるメンタリティーが必要なんだと思います。

ですから比江島には、そういう部分で成長してほしいなと思う反面、僕らコーチ陣も、比江島に対してもうちょっと違ったアプローチができたんじゃないかなという思いはあります。

 

―案外「気楽にやろう」という方がいい場合もあったりしますしね。

お気楽パターンでもいいかもしれないですね。もういいじゃん何でも、適当にやればと。そっちの方が合っている気はしますよね。

比江島は、真面目なんですよ。真面目だし、気にしいだし、もうちょっと好きにやってほしいなという思いもあります。ですから本人の脱皮も必要ですが、今回は試合までの設定が彼を苦しませたのかなと思いますし、周りが難しい環境にしちゃってるなと感じました。

あとは、やっぱりスイッチですよね。どこかで自信が付くとそういうモードに入っていくものですが、比江島に関してはそのスイッチを入れるところまで持っていけませんでした。

それは、海に関しても同じことを感じています。

 

 

 

 

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