川本梅花 フットボールタクティクス

【プレビュー】ヴァンラーレ八戸よ、ミラーゲームで勝負しろ!【無料記事】J3第29節 #ガイナーレ鳥取 対 #ヴァンラーレ八戸

【プレビュー】ヴァンラーレ八戸よ、ミラーゲームで勝負しろ!

コラムのタイトルの意味は矛盾している。ミラーゲームは、両チームが同じシステムで戦うことを指す。つまり、一方のチームが「こういうシステムで戦いたい」と望んでも現実不可能なことなのである。したがって、以下の図は、予想フォーメーションというよりも、「こうあればいい」という期待フォーメーションと言った方がいい。

 

ガイナーレ鳥取は、ディフェンスラインを3枚にした3-5-2か3-4-2-1のシステムを組んでくる。ヴァンラーレ八戸も3バックの3-4-2-1か3-5-2のシステムを採用している。数字上同じ3-5-2の場合、両チームの中盤の組み合わせが異なってくる。鳥取はアンカーを置いた逆三角形で、八戸はセンターハーフ(CH)を2人揃えている。つまり、2人のフォワード(FW)の下に2人のミッドフィルダー(MF)を置いた鳥取と、トップ下に1人のMFを起用する八戸ということになる。

鳥取の戦い方は以下のコラムを参照。

【レビュー】守備陣と攻撃陣の役割が明快【会員限定】J3第15節 #ガイナーレ鳥取 1-0 #アスルクラロ沼津

先に述べた期待のフォーメーションとは、両チームとも3-4-2-1の同じシステムでミラーゲームになって欲しいから、以下のようなフォーメーション図を記した。今の八戸のチーム状態を考慮すれば、ミラーゲームになった方が戦いやすいからである。それは次のような理由からである。

ミラーゲームの場合、同じシステム同士の組み合わせなので、相手が何か変化を入れてこない限り、純粋にマッチアップできる。相手と違うシステムになった場合、当然ミスマッチが起こる。システムをマッチアップさせた時に「ズレ」が生まれてくる。この「ズレ」にすぐに順応できないのが、今の八戸の現状だと言える。だから前半に失点して、後半に盛り返すパターンを繰り返している。

ブラウブリッツ秋田がJ3の優勝を決めたことから、J2昇格の残りの椅子は1つになった。昇格の椅子を巡って、上位チームが凄まじい混戦模様を織り成している。11月21日現在、勝ち点49の2位AC長野パルセイロと勝ち点46の7位ロアッソ熊本との差は3つしかない。残りの6試合は、本当に息も吐かせない戦いになるはずだ。

そうした昇格争いの中で、鳥取は、勝ち点47で3位につける。ここ3試合は、しぶとく勝利を納めて3連勝を飾る。「しぶとく」というのは、前節の長野戦では、4分間のアディショナルタイムで、長野に押し込まれても防いで、最後のCKからのこぼれ球を押し込んでの勝利だったからだ。

こうした上昇気流に乗る鳥取を、八戸がどうやって食い止められるのか、に試合の関心が寄せられるだろう。鳥取の残り6試合は、上位対決が組み込まれている。一つでも負ければ、昇格のチャンスは遠のいてしまう。鳥取からすれば、「八戸に足元をすくわれないように」と細心の注意を払って戦ってくるはずだ。

八戸は、5試合勝ち星に恵まれていない。水曜日に試合があったので、両チームが選手を入れ替えてくることは予想される。そんな中で、八戸の今季の強みである両ウイングバック(WB)の國分将と黒石貴哉には、積極的な攻撃参加を期待したい。それと、ここ数試合サブメンバーになっている秋吉泰佑の勝負強さを見てみたい。さらに、フォワードの安藤翼の得点シーンに出会いたい。

前回のコラムの最後にも記したが、「プロフェッショナルとして戦う選手の姿が見たい」のである。

川本梅花

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