川本梅花 フットボールタクティクス

【サッカー観戦術/監督采配】監督が選手交代をしないのには理由があります

【サッカー観戦術/監督采配】

監督が選手交代をしないのには理由があります

試合を見ていて、「なぜ監督は動かないの?」と疑問に思うときがありませんか? 試合で負けているのに、積極的に選手を交代させないで、静観している指揮官。あるいは、試合が0-0のイーブンで後半30分になっても動かない監督。見ていて歯がゆい思いをしたサポーターの方は、意外といるのではないかと思われます。

ここで考えて欲しいのは、動かないのには何らかの理由がある、と言うことです。無策でお手上げ状態なので、動かない監督がいたとすれば、すぐに辞職をした方がいい。おそらく、プロフェッショナルな資格を持つ監督で、そうした考えの人はいないでしょうし、いないと信じたいです。

試合が膠着状態で、選手を交代することによって、試合の流れを引き寄せることはあります。もちろん、監督にとって選手交代は、ゲームを引き寄せるための有効な手段ではあります。しかし、「動けばいい」と言うわけではないのです。「動くこと」でチームのバランスを壊してしまうケースもありますから、監督は慎重になってしまいます。0-0で試合が進む中で、まったくチャンスがない状況ではない。もし、逆転を狙って攻撃的な選手を投入したことで、チームのバランスが壊れて、失点してしまったら、取り返しのつかない選択になってしまいます。

Jリーグでは、試合に勝てば勝ち点が3で、引き分けても1点もらえるわけです。この勝ち点1が、昇格争いや優勝争いに後々大きく影響してくるものなのです。だから、「動かない」だけの理由で、監督を責めるのは難しいかもしれません。それに、究極の理想を考えた時に、監督が決めたスターティングメンバーの11人だけで、試合に勝っていく方が「理想」ではあります。

それに「動かない」のには、ベンチにいるサブメンバーの顔ぶれも考慮に入れないといけません。けが人を多く抱えているチームは、交代したくても交代するコマがいない場合もあるからです。「なぜ動かない」と思った時は、試合のリズムとサブメンバーに誰がいるのかに注視すると、監督の考えがわかるかもしれません。

「動くとき」にははっきりと動く監督がいます。怪我でもないのに、その選手を前半でベンチに引っ込める選択をする監督です。個人の性格にもよるのでしょうが、「動かない監督」も「動く監督」も、勝負どころを見据えての采配だと、思うのが一番の正解かもしれません。

川本梅花

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ