川本梅花 フットボールタクティクス

【コラム】ボローニャ戦術分析アシスタントコーチによる5つのフェーズ(前編)【無料記事】「footballista」(2021年5月号)

【おいしい活字】ボローニャ戦術分析アシスタントコーチによる5つのフェーズ(前編)「フットボリスタ」(2021年5月)

この号の特集は、[プロ目線のサッカー観戦術 最先端の「分析」とは何か]です。

その中で、ボローニャ戦術分析アシスタントコーチのレナート・バルディ氏がセリエAで実際に使われているゲームモデル基準のマッチアナリシスを述べていきます。聞き手は、イタリア在住のサッカージャーナリスト片野道郎氏です。彼ら2人のコンビで以下の本が出版されています。シリーズ3まで進んでいるようです。『モダンサッカーの教科書』のタイトル通り、現代サッカーの最先端と言える戦術書です。わかりやすい内容なので興味がある読者は一度手によってみてはいかがでしょうか。

『モダンサッカーの教科書 イタリア新世代コーチが教える未来のサッカー』(footballista)

『モダンサッカーの教科書II セリエA新世代コーチの現場で進む「知られざる革命」』(footballista)

『モダンサッカーの教科書III ポジション進化論』(footballista)

著書と同じように2人の対談形式で話が進む形式を雑誌もとっています。元々、対談形式を本にした経緯からなのでしょうが、長文で書かれるよりも対話形式の方が読みやすいと思います。

バルディ氏は、マッチアナリストの具体的なプロセスとして、「5つのフェーズ」から成り立っていると話します。「5つのフェーズ」は以下のようになっています。

1)ビデオとデーターによる対戦相手分析

2)試合の戦略とゲームプランの策定

3)選手への提示とコミュニケーション

4)試合中のリアルタイム分析

5)試合後のパフォーマンス分析

注目したいのは、1)の「ビデオとデーターによる対戦相手分析」のフェーズです。最初の作業として、試合の序盤における「ボール保持時の配置」と「非ボール保持時の配置」をチェックする。その目的を、バルディ氏は以下のように述べます。

相手の配置との関係においてどういう振る舞いを取るのかを把握することが目的です。(中略)20試合あっても最初の10分をざっと流し見すればわかりますから。試合ごとに、ボール非保持時はプレッシングと組織的守備、ボール保持時はビルドアップとポジショナルな攻撃、4つのフェーズとそれぞれにおける配置、そしてトランジション時の振る舞いを(…)。

「ボール保持時の配置」と「非ボール保持時の配置」は、「相手の配置との関係」を知るためだと述べます。ここで、ある図を使ってバルディ氏の理論を解説していきます。その図とは、1日1回読むだけで身につくサッカーの見方の基礎知識】で用いてるものです。

この図に照らし合わせながら、バルディ氏の理論を説明していきます。

川本梅花

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