「GELマガ」鹿島アントラーズ番記者・田中滋WEBマガジン

【コメント】トニーニョ・セレーゾ「セットプレーへの対応には手を打ったが、選手たちは非常にうまくやってくれた」/明治安田生命J1リーグ1stステージ第11節 FC東京戦(2015.05.11)

■トニーニョ・セレーゾ監督(鹿島)

――後半相手を押し戻したことについて

どうしてもアウェイの試合で、4万人ものサポーターが入ればホームチームの後押しになる。前半1-0で我々がリードして終わった時点で、後半は押し込まれるということが予想されました。前半は非常に素晴らしい内容でしたし、自分たちがやるべきことをしっかりやっていたということで、ハーフタイムに「それを持続できるかが課題であって、後半もしっかりとやろう」と送り出しました。後半の頭から相手はシステムを変え、また前田選手を入れて来ました。体格もあってヘディングもポストプレーもできる選手です。相手は前半は自分たちが抱えている選手のスピードを生かそうとして裏に蹴ってきました。それに対するケアと言うものを事前に言ってありました。また左サイドからの攻撃頻度についてのケアと、左利きの選手なのでそのケア、さらにはクロスの精度も昨季よりも高まっているので左足でクロスやフィードさせないことを求めました。そういった対応が90分できたかと言えばできません。ときおりそういった形からやられてしまいました。特に後半に関しては、うちのサイドハーフ、カイオと遠藤が、ときおりボールウォッチャーになってしまい、自分がサイドバックの背後に入ってカバーリングするのですが、その大外に入ってきてる選手のケアを怠って何度か危ない場面をつくられてしまったことが、サイドチェンジや一番大外の選手へのケアを怠ってやられそうになったところに繋がりました。

後半はどちらかというと守備にまわった時間が多かったかな、と思います。もうちょっと落ち着いてやれる場面があったにも関わらず自分たちからロストしてしまい、守備にまわることになりました。そこで交代せざるを得ないところもあったかと思います。

――後半、太田宏介のセットプレーを確実にチャンスに繋げられたが?

失点数を分析していくとセットプレーで失点している割合が非常に高い。当然、指揮官としてなにか手を打たなければならないので、そこで守備の形を変えました。そのとき、2日間で完成するかと言えばそうではないし、そのなかで20番の選手が間違っていなければおそらく3回くらいニアのゾーンで触られています。ニアのゾーンが一番危ないと言っていたし、そこに人数の配置をしたわけなのでちょっと細かいことは帰ってからの分析になりますが、その配置をずらさなければいけないか、手前の人をもう少し後ろにするなど細かいところは調整が必要だと思います。ただ、2日間でやったなかでは上出来と言えます。実際の練習よりも口頭で伝えることが多かったので、そこは選手が良くやったと思います。流れの中から相手がうちのゴールに迫ることはそうなかったし、ほとんどセットプレーからしかありませんでした。それに耐え抜いたということ、いきなり守り方を変えて、2日間しか練習できない時間のなかでできたこと、それを評価した方がいいと思います。

あれだけセットプレーから失点しているので、なにか改善したり、変化させなければなりません。前半で赤﨑選手がニアのゾーンに入っているのですが、1回ボールが来るのを待っていたら相手に前に入られて触られました。後半の途中から高崎選手になって2回くらいボールを待ってしまって相手に触られてしまっている。そこは、慣れていないことをやっているのでなかなか難しいところもあるんですけど、僕のセンスで言うと蹴られた時点でどこが落下点なのかを読めるはずなんです。ただ、やっていない人にはそれを掴むのが難しいことです。蹴った瞬間のボールの軌道を見れば、だいたいこの辺だろうな、と予測できるし、人によっては滞空時間、浮いているボールの、あるいはバウンドしたボールをどの辺でコントロールした方がいいのかは、もともと小さいころから培うことで掴みやすい人もいます。必ずしも大きい人がヘディングで勝てるとか、強いということではなく、タイミングを持っていたり経験を持っている人の方が活きることもあります。

基礎的な話になりますが、例えばボールが来ているとき、自分の胸のあたりでコントロールするイメージで行けば、当然ながら位置的には自分の胸より頭の方が上にあるので、頭が前に出て、ボールを前でとらえて高い位置でヘディングすることができます。時代と共にボールが改良されて速くなったり軌道が変化するようになり、選手の技術やミート力、パワーが練習で培ったものが僕の時代とは違ってきているところもあります。ただ、それに加えて相手と競り合いをしなければいけない、滞空時間を読めるから勝てるわけではなく、相手との競り合い、空間領域を確保できる能力も必要になるので、細かなところが求められます。自分の腕を開いて領域を確保しておけば、相手が腕にぶつかってヘディングできる領域を確保できます。言葉では簡単に聞こえますよね。練習ではできるかもしれませんが試合のときに自分で判断してプレーで実践することは簡単なことではありません。でも、必要な技術です。前半は非常に良いサッカーをやりましたし、逆にハーフタイムは何を言えばいいのかともうくらい良いサッカーをしました。後半は守備をする時間が多かったので、その分自分たちが苦しんだと思います。僕は半分イタリア人なので守る方が得意かもしれませんが。まあ、これは冗談ですが(笑)

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