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無料記事【戦記】特別寄稿 ザスパ草津チャレンジャーズ tonanサテに堂々の逆転勝利!県リーグ制覇確実

【戦記】ザスパ草津チャレンジャーズ

tonanサテに堂々の逆転勝利!県リーグ制覇確実

 

絶望的な状況を跳ね返したチャレンジャーズ

諦めないハートで関東への道を切り開く

 

 

 

 

 

【結果】

ザスパ草津チャレンジャーズ 4-2 tonan前橋サテライト

 

前半(0−0)

後半(4−2)

 

【得点】

53分:tonanサテ

70分:増尾汰一(チャレ、PK)

73分:操 将真(チャレ)

80分:大澤靖信(チャレ)

85分:増尾汰一(チャレ、PK)

90分:tonanサテ

 

 

 

 

10月7日、県リーグ1部ザスパ草津チャレンジャーズの最終戦が行われた。勝利以外に終わった場合、県リーグの優勝を逃し関東社会人サッカー大会出場への道が閉ざされてしまう状況。ザスパ草津チャレンジャーズの県リーグ最終戦は、今シーズンをまさに「凝縮」したような、劇的な展開を見せた。

 

 

崩せないtonanの壁

 

強風に煽られまくり、どちらのエンドを取っても有利・不利の判別がつきにくい状況の中で迎えた群馬県リーグ1部の大一番は、チャレンジャーズペースで幕を開けた。左サイドの仙葉秀一と坂本健太が序盤から高い位置を取り、相手ゴールに迫っていく。だがしかし、引き分けでも優勝に近づくtonanサテは、[4-4-2]の形でしっかりブロックを敷いて、ボールを持たれてもフィニッシュまで行かせない粘り強い対応をみせる。

 

ボールこそ持てているものの、「自分たちのペースではない」と感じさせるイヤな展開の中で、チャレンジャーズはカウンターからピンチを招く場面も増えだし、30分には相手FWが抜け出し、GK小林紘大と1対1の場面を迎える。たがここは、小林のファインセーブでなんとか凌ぎきることができたが、木村直樹監督は悪い流れを断ち切るために、前半で早くも2枚のカードを切って先手を打っていく。

 

しかしこのイヤな展開は、前回、前々回の関東社会人サッカー大会・準決勝の時に近いものを感じさせた。あの時も、試合の入りこそ相手を圧倒したものの、相手にしっかり守備を固められてチャレンジャーズが無理に前へ出ていったところでカウンターから失点した。あの忘れたくても忘れられないイヤな流れだ。

 

そして53分、感じていた不安がついに的中してしまう。マイボールを高い位置で奪われると、素早く右サイドに展開され、あっという間にシュートまで持ち込まれ、与えてはいけない先制点を奪われてしまった。

 

 

気持ちばかり焦る中で、相手の術中にハマってしまったチャレンジャーズに対し、tonanサテは俄然有利な状況となり、カウンターでチャンスを作っても、無理せず時間を使う展開を見せ、逃げ切りの準備すら始めていた。

 

 

そしてこの試合でキーマンとして期待されたトップから期限付き移籍中の志村駿太だが、相手の厳しいマークもあり、自分の持ち味を出せないままでいたが、その裏側には「彼を知る人物」がいるからこそでもあった。今シーズン、tonanサテをまとめるのは、昨年までザスパのフィジカルコーチだったエルシオ氏であり、当然、志村がどういうプレーをするかを事前に把握しており、しっかり対策を練ってきていたのだ。

 

 

壁を崩した強い意志

 

 

キーマンの一人が封じられ、攻めても相手ブロックに跳ね返され続ける展開が続き、焦りの色が見え始めていたチャレンジャーズ。しかし、「帰ってきた快速ドリブラー」は、まったく諦めていなかったし、「繋ぎでダメなら、自分がなんとかこじ開ける」という強い意志を見せ、ブロックを敷いて守っていたtonan守備陣に対し、鋭い突破を仕掛けていく。そして69分、左サイドでボールを受けた吹田諒は、一人交わしてから一気にスピードを上げ、ペナルティエリアに侵入。そして後ろから来た相手DFの競り合う中で倒されると、主審は迷わずペナルティスポットを指差した。

 

 

2016年のシーズン終了後、トップチームへの昇格は叶わなかった。しかし、ザスパOBである、堺陽二・栃木ウーヴァ監督の招きもあり、日本の4部リーグにあたるJFLにステップアップできた吹田。だが、そこで過ごした時間は、決して楽しいことだけではなかったし、体調不良にも悩まされ、大好きなサッカーをやりたくても出来ないもどかしい時間も過ごした。だが、彼の「第二の故郷」ともいえる草津町と、チャレンジャーズいう存在があったからこそ、サッカー選手として、再びピッチに立つことが出来た。だからこそ、このチームで勝ちたい、この町でもっとサッカーをしたいという強い気持ちが、あの突破を生んだのである。

 

 

そしてペナルティスポットに立ったのは、PKを獲得した吹田ではなく、エースの操将真でもなく、チームキャプテンの増尾汰一だった。本来であれば、エースの操が蹴る役目を担うのだが、前々節のFC JOBU戦で外していたこともあり、本人が迷ったことと、増尾自身が「俺が決める」という強い決意を見せたからであった。

 

今シーズンもキャプテンとしてチームをまとめる増尾にとって、この場面はいろんな思いが詰まっていた。当然、操が前回外していることもあったが、ここまでの3年間の努力を無駄にしないためにも…というのが一番強かったはず。2016年に中京大学を卒業してチャレンジャーズにやってきた彼は、群馬県太田市出身の「ご当地選手」でもある。ただ、在籍初年度は選手層も厚かったこともあり、レギュラーの座を掴めないままでいたが、2年目の2017年は中心選手としてチームを引っ張る存在に成長したが、この年の関東社会人では、またも準決勝の壁に跳ね返されてしまっていた。だからこそ、絶対に自分の力であの舞台に絶対に再び立ち、そして必ず;結果を勝ち取りたい!という強い決意をもって、あの場所に立っていた。

 

ペナルティスポットに立った増尾は、数秒間目を閉じて気持ちを落ち着かせて右足を振りぬいた… そしてこれが決まって、ついに同点に追いついたチャレンジャーズ。

 

そしてこの同点ゴールを皮切りに、試合は大きく流れが変わっていく。それまで、相手の守備に手を焼いていたのが嘘だったかのように躍動を見せて、相手ゴール迫っていく。すると直後の73分、またも左サイドを崩して中へクロスを入れると、これに操が頭で合わせてついに逆転。あれだけしっかり守備を固めていたtonanサテだが、吹田の突破の際に与えてしまったPKから、組織的な守備が完全に崩壊。さらに80分のCKでは大澤が頭で合わせ、85分には再び増尾がPKを決め、わずか15分間で4点を奪い、勝敗の行方を完全に決定づけた。

 

しかし、tonanサテも意地を見せ、90分にCKから1点を返して4-2としたが、このままタイムアップ。一時は首位に勝ち点差7をつけられていたザスパ草津チャレンジャーズが、「見事な逆転劇」を見せ、限りなく優勝に近づいた形で、今年の県リーグ公式戦・全日程を終えることとなった。

 

 

事実上の優勝決定ではあるが…

この勝利により1位チャレンジャーズと、2tonan前橋サテライトのリーグ戦成績はこのようになった。

 

1位

チャレンジャーズ:11勝1分2敗

勝ち点34、得点47、失点11、得失点差+36

2

tonanサテ:1012

勝ち点31、得点32、失点11、得失点差+21

 

tonan前橋サテライトは、14日にリーグ最終戦(vs 群馬教員)を残しているため、チャレンジャーズの優勝はまだ決まってはいないが、勝ち点差3、得失点差16と、大きく離していることもあり、チャレンジャーズ有利という状況に変わりはない。そして、tonanサテが逆転優勝できるケースは、最終戦で「16点差以上で勝利した場合のみ」となっている。同試合終了後、チャレンジャーズ優勝の吉報が届くことになるだろう。

 

(2018.10.09)

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