デイリーホーリーホック

【HHレポート】ヒューマンストーリー「水戸ホーリーホックユース、ユースOBの写真を撮り続ける松島直子さん」(2012/7/17) ※全文無料公開

森直樹コーチを追いかけてユース選手を撮影

ユースのレギュラー、サブの選手、分け隔てなく全員を撮影するのがポリシー。なかなか出場機会の恵まれないメンバーの勇姿を逃すまいと、練習試合や合宿でもカメラを構える。
撮り貯めた写真は、最後の試合後に3年生全選手へ無償でプレゼントすることが毎年の恒例だ。多い時は一人の選手あたり120枚を超えるL版とベストショットを額装。時には携帯の待ち受け画像に加工したり、トレーディングカード風に仕上げて贈り、選手や保護者から喜ばれ続けている。

普段は水戸市内の会社に勤務する事務員。バレーボールのトップリーグに魅了されて大学時代に一眼レフを始め、カメラ好きの父親に基礎を習った後は、全て独学でテクニックを磨いてきたアマチュアカメラマンだ。


【写真 米村優子】

ユース選手の撮影のきっかけは、水戸ホーリーホックのセンターバック時代からファンである森直樹コーチ。「元水戸の鳥羽俊正選手もそうですけど、『後ろは俺に任せておけ』的な感じで、どっしり守っているDFがそもそも好き。森さんの現役の時のプレー、監督としての采配も好きですし、選手達にも慕われていましたし、見た目も私のドンピシャ」。

2001年にホーリーホックのゲームを初観戦し、「地元のチームを応援したい」と翌年シーズン頭からコンスタントに試合会場へ。プレゼントした写真を選手がテレビやブログで紹介してくれて更に撮影に熱が入っていた中、2006年に森さんがユースコーチに就任したことを機に、一眼レフを片手にユースの練習や試合にも足を運ぶようになった。


【写真 松島直子さん】 ※2006年の森直樹コーチ

レベルアップしていくユース選手、OBを応援する日々

当初は森さんのコーチぶりを見学したり、撮影練習のためのユース通い。しかし、日々成長していく選手達のプレーや人間模様に、次第に魅力を感じていった。
「ちょうど、選手達は青春時代なんですよね。一試合ずつ、目に見える程レベルアップしていくし、年を重ねる毎にかわいい子がどんどんカッコ良く成長していく。泣いている姿などを見ると、つられて一緒に泣いてしまいますよ。サッカーが大好きなんですよね、みんな。その気持ちが伝わってくる」。


【写真 松島直子さん】 ※2005.10.10 Jユースカップ 柏戦 木村純哉(3年)

おのずと写真以外の支援もするようになり、サポーター応援歌の歌詞を入れた約6mの横断幕を全て一人で手縫して作ったり、退団しようと考えている選手を励まそうと手紙を書いたことも。
当然のごとく、ユース出身の飯田優二選手には感慨も一入だ。「優二は最初背も小さくて、細かったけれど、一年生の時から公式戦にも出るほどテクニックがあった。トップの試合から足が遠退いているけれど、優二が出るなら絶対観に行きますよ」。


【写真 松島直子さん】 ※2010.7.11 茨城県U-18リーグ 飯田優二(3年)

2007年からユースOBの観戦も始めた。水戸ユース選手も大勢輩出された道都大学サッカー部の試合観戦のため、北海道へ訪れたのは30回以上。ユースからトップへ昇格した木村純哉選手、大橋直矢選手、石川直人選手が水戸を去った後も、所属する地域リーグ戦などをどこまでも追いかけて行った。
「ボーナスはサッカー観戦の交通費に消えますね(苦笑)。OBになるとみんな気さくに話し掛けてくれたり、『今日は勝てなくてすみませんでした』とかわざわざ言いに来てくれる子もいる。ここ数年、もうそろそろユースやOBを追いかけるのを辞めようと思っているのですが、でも子供達がかわいくて・・・(笑)」。


【写真 松島直子さん】 ※2005.11.20 Jユースカップ 札幌戦 大橋直矢(3年)


【写真 松島直子さん】 ※2007.5.5 クラブユース関東予選 石川直人(3年)

断念出来ないもう一つの理由は、写真を通じて生まれた、選手の保護者との交流。数え切れないお礼の品を貰い、今ではOBの打ち上げにも声が掛かる。中でも、2009年卒業したユース選手の保護者らがプレゼントしてくれた、ネーム入りのネックレスは今でも「一番の宝物」だ。


【写真 米村優子】

休日、ユース選手やOBの背中を追いかけて、振り返れば7年。
「とにかく、『ホーリーでサッカーをやって楽しかった!』と3年生達が卒業してくれたら嬉しい。今年は人数が少ないから、最後にフォトブックにしてプレゼントしようかな!?」。
その表情、口ぶりからまだまだ当分、撮影を辞められないことに違いない。


【写真 松島直子さん】 ※2010.1.6 ユース初蹴り


【写真 松島直子さん】 ※2010.11.23 Jユースカップ FC東京戦 富永恭介(3年)(現トップチームマネージャー)

松島直子さん
1980年茨城県小美玉市生まれ。水戸市在住。茨城大学卒業後、水戸市内の会社で事務員として勤務中。ニコンD80、シグマ製の500mmの望遠レンズを愛用。現在はユースDFの高野賢哉選手に注目している。

(米村優子)

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