デイリーホーリーホック

【シーズンオフ特別企画】茨城大学水戸ホーリーホック応援ネットワーク スタジアム案内人座談会(後編)「スタジアム案内人が選ぶ今季MVPを発表!」(2015/1/10)※全文無料公開

――さて、2014シーズンのホーリーホックを振り返っていただきたいと思います。御三方の目には昨季のチームはどのように映りましたか?

藤縄:後半は「何で闘将の親心がわかんねぇんだよ!」と選手達に思いましたよ。

高橋:富山戦、讃岐戦、栃木戦辺りは特にね。

藤縄:もう泣きそうになりました…。「戦え、水戸!」ってチャントが出ましたからね。言い訳みたいなコメントはいらない。ピッチで結果を出せよ!と。

高橋:点を取れない時期も長かったですしね。

藤縄:だけれども、「すみません、俺の責任です」と(吉田)眞紀人くんに言われると、「いや、君の責任じゃないよ!」となってしまう。ダメな“父親”です…。

高橋:「ライセンスがないから目標がない」と言えば終わってしまう。その点では北九州が意地を見せた。

藤縄:だからエクスキューズにならないですよね。北九州がやってしまったから。悔しかったでしょうね、哲さん。次男って絶対に兄貴(柱谷幸一監督)に対抗意識持っていますから。これを抜けたら絶対に強くなるって言ってたけど、最後まで抜け切れなかったっていうのが残念な終わり方でしたよね。

高橋:磐田戦とか京都戦とか良かったですものね。

藤縄:あの2試合は本当に良かった。その後、コケてしまった。

高橋:勝てそうで勝てない。あと一歩の時期というのが、秋頃に続きましたよね。そこから一歩抜けだして上にという雰囲気があったのに、逆に下のステージの方に行ってしまった。モチベーションも下がっちゃって…。

藤縄:無意味なバックパスとか…。

高橋:ゴール前で縦に行かずに横にはたいちゃうみたいなね。

木村:J2の真ん中ら辺は順位が団子。あと2、3試合勝てば、流れが変わって一桁に行けたのに。そこの一歩がなかなかね。

藤縄:今季のオフはそこを相当意識していると思いますね、哲さんは。

高橋:大旗を作ってそこでいいタイミングでチームが好転していくと、自分達の力も反映されたんじゃないかと我々サポーターは思いますよね。そういういい循環が生まれるような勝ち星の重ね方をしていって貰いたいですね。例え偶然でもね。

藤縄:「俺達のお陰だろう?」みたいなね(笑)

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※高橋修教授
【写真 米村優子】

――昨年、特に注目していた選手、印象に残った選手は?

木村:一昨年から船谷(圭祐)さんが来てくれて、彼を見ていましたね。

藤縄:ビラ配りも来てくれたし、学食も食べて行ったし。

木村:船谷さんはプレーが安定していますね。たまたま行った磐田戦で船谷、石神のボランチコンビがすごく良かった。ちょうどいい感じの距離で、石神が取ったボールを船谷さんがさばく。あの印象がすごくある。華がありますよね。

高橋:観ていて楽しかったですね。

藤縄:スマートで華麗なプレーをしますよね。

高橋:華麗にボールさばける環境ができると特に生きる選手ですね。

木村:そういえば、茨大フラッグにサインをして貰った(本間)幸司さんと、大地震の翌々日の日曜日にスーパーでバッタリ会ったんです。その時、「一緒に頑張りましょう!」と握手を交わしたんですよ。奇跡という以外の何ものでもないタイミングでしたね。

藤縄:幸司さんの存在って大きいですよ。スタジアムに初めて行った時はスコアレスドローだったんだけど、本間幸司のスーパーセーブで0点だったんです。そこで「ナイスセーブ!」って言ったら、彼、ハイタッチしてくれたんですよ!こんな身近な選手なんだとビックリした。やっぱり彼の発する一言一言には重みがありますよ。練習後もケアして遅く出て来るんですけれども、僕らの相手をしてくれるんです。それが楽しい。彼は色々苦労しているから、通り一遍じゃなくて、経験を踏まえた上で返事を返してくれるので、会話していてもすごくためになる。彼は必ず最後に握手して別れるんです。そういう細かい所まで、すごくサポーターを楽しくしてくれる。あと、「大旗振るのに、使い古したGKグローブくれる?」ってお願いしたら、「いいですよ!」って快諾してくれて、あんまり使ってないやつにサインしてくれたの!本間幸司は水戸の至宝ですよ。

高橋:サポーターとの距離の縮め方が上手ですよね。昔、どこかのアウェイ戦の帰り道で、たまたま後ろが本間さんの乗っている車だったんですよ。車にホーリーホックのステッカーを貼ってあったからというのもあるんでしょうが、手を振ったら一生懸命に手を振り返してくれた。そういう距離感って大事ですよね。

藤縄:僕が注目していたのは、(吉田)眞紀人!

高橋:最初からですものね。ユニフォームも開幕戦を観て買ったんですよね。

藤縄:そう。動きが全然違った。去年までの水戸にいない展開力だなと思って。とにかくゴールに向かって打つじゃないですか?あれを見て、「この子が入ると雰囲気が変わるな」と思った。

高橋:開幕戦は負けそうな雰囲気があったのにね。

藤縄:眞紀人が入ると、得点が入りそうなムードになる。だから、もうゾッコン!実は、開幕前のキックオフパーティーの時、最初に話し掛けたのが眞紀人だったの。知り合いがほとんどいなくて、彼すごく緊張していたんですよ。一緒に行っていた次男を「実はコイツは松本サポなんだよ」と紹介したら、すぐに打ち解けた。それでじゃあプレーはどうかなと見たらすごい。すぐにグッズ担当の水戸スタッフに「34番でMAKITOって付けられる?出来るなら、すぐ買う!」と連絡した(笑)だから、何を買うにも水戸スタッフから「眞紀人ですか?」と言われる(笑)

高橋:最後、フットボールカフェにも来てくれましたしね。

藤縄:完全移籍もしてくれましたし、すごく有難いですね。もっといいのは、彼は全然現状に満足していないの。彼のキャリアにしてみれば一番試合にも出たし、活躍した年。多分、存在価値をすごく見出された年だったはず。若い子ならいい気になりますよね?だけれども彼は全くそうじゃない。そこはプロだなと思った。やっぱりもっと高い所に自分の目標を定めている。それに比べたらまだまだだよという見方ができる。来年も眞紀人推しで行きます。

高橋:僕は毎年活躍して欲しいという選手の番号のユニフォームを買うのですが、今年は19番(山村佑樹選手)でした。「今年のチームは誰が活躍してくれると上に行けるかな?」と毎年考えるんですが、裏に抜け出す動きを出来る選手が前線にいた方がいいんじゃないかと思ったんです。常に裏に出る動きができるFWが10点とか15点とか爆発すると、途端に上に行けるんじゃないかって。だから山村選手を応援しようと思っていたのですが、今年は残念でしたね。

藤縄:あれは怪我だからしょうがないけどね。ルーベン(山村佑樹選手)もいい選手。向っ気が強く、裏にパッて抜け出すのは彼の魅力ですよね。

高橋:でもいつもは後ろ目の選手が気になるんですよ。CBやボランチのアンカーだとか、GKだとか。だけど今年は珍しく「FWを応援しようかな」という気になったんです。来季の彼に期待したいですね。

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※藤縄明彦教授
【写真 米村優子】

――それでは最後に昨季のMVPを決めていただきたいと思います。

木村:僕はそこまで観戦していないので、お二人にお任せします。

高橋:(藤縄教授を見ながら)なんかもう決まっているような…(笑)

藤縄:フフフ(笑)。MVPを聞かれれば、眞紀人と言わざるをえない!彼はデイリーホーリーホックアウォーズで既にMVP取っていますし、それは文句なしでしょ。ですが、僕はアバちゃん(笠原昂史選手)かなと思います。

高橋:うん。僕もそう思います。

藤縄:やはり自力であの正捕手の座を勝ち取った。不動の守護神と渡り合って、正捕手を掴み取る所まで伸びていった。まだ本間さんってそんなにコンディション落ちてないでしょ?それにも関わらず、正キーパーの位置を勝ち取った。安定感もあるし、本間さんにはないセーブ力がありますよね。本間さんはしなやかなジャンプ力なんだけど、アバチャンは背の高さとインサイドワークが魅力。その持ち味を出して来た。だから、僕は敢えて笠原かな。だけど、眞紀人が嫌いな訳じゃないからね!実はアバチャンのパパとママはすごく気さくな人。よく試合観に来ているの。ゲーム終わった後にサポと一緒にバス待ちしていたりする。仲良しになって、茨大のフラッグも買って貰っちゃいました(笑)。「アバチャン、来季はどこかに引っ張られちゃうんじゃないの?」とか聞いたら、「私がそうさせませんよ~!」なんて言っていたけれど、どうなるかな~。

高橋:他チームに移籍しないといいなぁ…。

藤縄:あれだけ活躍しているし、いい選手だものね。せめて、もう一年は活躍して欲しい!

――スタジアム案内人が選ぶ2014年シーズンMVPは笠原昂史選手に決定しました!先生方、お忙しい中、本当に有難うございました!

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※木村競教授
【写真 米村優子】

(取材・構成 米村優子)

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