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デイリーホーリーホック

「農業ブランド『GRASS ROOTS FARM』始動!農業参入で地域課題の解決、収益の柱へ」【HHレポート】※無料記事」

【写真 米村優子】

9月14日、水戸ホーリーホックが城里町上古内にある国登録有形文化財「島家住宅」で記者会見を行い、新ブランド「GRASS ROOTS FARM」を設立し、ニンニクの栽培、城里町産の米を使った甘酒の製造・販売などで農業参入に挑戦することを発表しました。

構想から2ヶ月、新たに誕生した農業ブランド「GRASS ROOTS FARM」は、クラブのブランドプロミス「新しい原風景をこの街に」にちなんだもので、「原風景は人の原点、農業は自然と共に生きていく人の原点」との意味が込められています。
ロゴマークにはサッカーと農業に勤しむ若者が描かれ、高く蹴り上げられたボールは世界に向かう水戸ホーリーホックがイメージされています。

【写真 米村優子】

ニンニクを栽培するのは、「島家住宅」から徒歩数分、県道51号線沿いの約1000㎡の畑。
城里町地域おこし協力隊の坂本裕二さんのコーディネートによって借用した元そば畑です。
ニンニクは日本一の生産を誇る青森県から取り寄せた「ホワイト六片」。
この品種はその名の通り、皮も実も白く、1片の粒が大きめで濃厚な甘みと栄養豊富なのが特徴です。
今年9月下旬から栽培をスタートさせ、来年の6月に収穫を予定しています。
順調に育てば、800kg~1tの収穫が見込めるとのことです。

ちなみにニンニクを選んだ理由は、「これから色々な作物に挑戦していく中、有識者に『ニンニクは難易度が高い』と言われ、せっかくやるのであれば難しいものからスタートしました」と西村卓朗GM。
クラブ内に農業経験者がいないため、担当スタッフの佐野元則さんや西村GMが他の圃場の視察やオンラインでの農業スクールを通じて一から学び、農家や有識者など多方面から指導やアドバイスを受けながら栽培を進めていきます。

基本的には佐野さんがメインで農作業を行いますが、種植え、追肥、草刈り、収穫など人手が必要な場合、選手もメンバーに含めた「GRASS ROOTS FARM」のLINEグループで応援を呼びかけ、スケジュールが空いているスタッフや選手らが自由に参加する形で運営していきます。
既にアツマーレに種となるニンニク160kgが到着し、「農作業を手伝いたい」と興味を示している選手もいるそうで、近日中に畑仕事で汗を流す姿が見られるかもしれません。

【写真 米村優子】

9月26日ホーム金沢戦でステッカーなど一部グッズの販売も開始され、10月からは城里町のブランド米「ななかいの里コシヒカリ」を使った甘酒プロジェクトも始動。
実は甘酒は、ジョイフル本田つくばFCの冨田大介監督が水戸ホーリーホックCRC時代に提案していたアイデア。
西村GMが乳酸菌や腸内環境改善に関心があったことも後押しして、このほど地域のブランド食材を活用した加工品の製造に取り組みます。

ニンニクや甘酒などは、スタジアム、地域のイベント、道の駅、オンラインなどで販売される他、アカデミー生やスクール生への販売、パートナー企業の飲食店での提供も予定しており、様々なシーンで堪能することが出来そうです。
西村GMは「ニンニクなどの栽培で『productsを作る』、甘酒のように既にある地域の農産物を活用して『productsを支援する』、そして、『JAと共に地域を発展させる』。地域農業のプロモーションや課題を一緒に考えていきたいです」と力を込めていました。

【写真 米村優子】

サッカークラブである水戸ホーリーホックが農業に参入する理由は、主に3つあります。
まず、地域課題の解決への貢献です。
茨城県は農業経営体数が全国1位、農業産出額が全国3位の農業大国。一方で、農業従事者の高齢化や後継者不足、耕作放棄地が全国でもトップクラスである課題があります。
広報、販路、ブランディングといった出口戦略が弱いとされる農業を、熱狂的なファン・サポーターや地域の繋がりがあるサッカークラブの力で地域課題の解決に取り組もうとしています。
小島耕社長は「農業のウィークポイントとサッカークラブのストロングポイントをかけ合わせて農業の新しい価値を生み出したいです」と語っていました。

そして、サッカー×農業=ブランディング。
水戸ホーリーホックの農業は、籾殻を発酵させて製造した有機堆肥「もみがらぼかし農法」などを採用した有機栽培にこだわり、高品質な農作物を追求するだけでなく、トップ選手をはじめ、アカデミー選手らも農作業に参加します。
また、スクール生、サポーターらにも農業体験を楽しんで貰いながら、圃場も交流の場や子どもたちへの情操教育の場となるオープンな参加型農業となる見込みです。
それらによって、唯一無二のブランドストーリーを持ち、付加価値の高い収益性を持った農作物となります。
また、常にSNSで発信をすることで、クラブ一丸となってゼロから農業に奮闘する姿を通じて、生産者の顔が見える安心安全の農作物の提供を目指しています。

3つ目は、収益増加のためです。
JクラブはJリーグからの分配金、スポンサー、入場料、物販、アカデミー収入といった5つの収益の柱がありますが、コロナ禍で先行き不透明な状況が続いています。
クラブとして事業の多角化で有事に備えたリスクヘッジを図り、将来的には今回スタートする農業事業を全収益の10%程度に成長させ、6つ目の柱にしたいとの考えを示していました。
現在のJリーグは全部で57クラブ。その約3分の2は地方に拠点を置き、少子高齢化、耕作放棄地の増加など共通課題も多くあります。
西村GMは「人の資本となるのは身体。そしてそれを作るのは食。サッカーはエンターテイメントであって、人の暮らしになくてもいいものですが、なくてはならないものも挑戦していきたい。クラブのミッションである『人が育ち、クラブが育ち、街が育つ』を体現する意味でも一つの取り組みになるのではないかと思います。農業参入で一定の形が作れた時に、各地域のJクラブに広がる可能性があります。そして、子供への情操教育など、色々な効果も期待しながら進めていきたいです」と意欲を示していました。

今後、圃場を更に増やし、ニンニク以外の野菜の栽培にも挑戦していく「GRASS ROOTS FARM」。
ファン・サポーターはクラブが丹精込めて育てた有機野菜や加工品を購入して味わうだけでなく、緑豊かな城里町で農作業を体験できるチャンスもありそうです。
クラブと共に茨城の農業を盛り上げ、美味しい大地の恵みを堪能しましょう!

【写真 米村優子】

(米村優子)

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