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「柏フットボールジャーナル」鈴木潤

拮抗した勝負の中で勝利を手繰り寄せた執念。延長戦の末、柏が愛媛を下す/Jユースカップ2回戦 柏U-18 vs 愛媛U-18【レビュー】-無料記事-

Jユースカップ2回戦

柏U-18 3−1(延長) 愛媛U-18

得点者:6分 森海渡(柏)、10分 柳下将野(愛媛)、103分 正田徳大(柏)、106分 森海渡(柏)

●スタメン

GK小久保玲央ブライアン、DF22藤本隼斗、真家元彦、井出敬大、吉田新、MF杉井颯、山田雄士、小野寺巧、FW細谷真大、森海渡、正田徳大

 

立ち上がりの6分に、杉井颯のフィードからサイドへ抜け出した正田徳大が鋭いクロスを折り返し、ゴール前で森海渡が頭で合わせてネットを揺らす。幸先の良い滑り出しで試合は幕を開けた。

しかし中盤のビルドアップのパスが寄せてきた相手選手に当たり、それが柏のディフェンスラインの背後へ。CBの真家元彦と井出敬大の間に落ちたルーズボールに対し、真っ先に反応したのが愛媛の柳下将野。GKの小久保玲央ブライアンも果敢に飛び出したが、柳下は落ち着いてゴールへ流し込み、柏にとってはやや不運な形で同点に追いつかれてしまう。

愛媛は柏と同じくボールを大切につなぐチームで、柏は彼らのビルドアップに奪いどころを見出せず、前半は防戦一方。38分には小久保のファインセーブで逆転こそ阻止したが、主導権は愛媛が握っていた。

ただ、ハーフタイムに入り「守備とビルドアップの確認をした」と山中真監督が修正を施すと、守備の局面では4−4−2の形を取ることで前からのプレッシングが明確になり、攻撃でも「もう一回原点に帰って、誰がフリーなのかを共有しようと思った」(杉井)と、フリーマンを使いながら相手の寄せを剥がす柏らしいプレーが多く見られるようになった。

前半の劣勢から一転、相手を深くまで押し込み、クリアボールを回収して再度攻撃を仕掛けるサイクルへ持っていけたが、山中監督が「最後の精度は高めなければいけない」と反省の弁を口にしたように、あれだけ長い時間に渡ってボールを支配し、圧力をかけながら足りなかったのは“ネットを揺らす”ということだけだった。

結局、90分間では決着がつかず、10分ハーフの延長戦へ突入。

「最後は『勝ちたい』という気持ちが得点に繋がった」

杉井は103分(延長後半3分)の決勝弾を生んだ要因にチームのメンタリティーを挙げた。

左サイド、五分五分のボールに対し混戦の中で柏がマイボールにすると、左からゴール前へ入ったグラウンダーのボールは森には合わなかったものの、その外側からフリーで入ってきた正田が「気持ちで決めた」という低い弾道のシュートをゴール左下に突き刺し、ようやく均衡が破れた。ピッチ上の選手だけでなく、ベンチにいるサブの選手たちも喜びを爆発させた。

さらにその3分後の106分、田村蒼生がボックス内でドリブルを仕掛け、深い位置まで切れ込んだところでファウルを受け、これによって獲得したPKを森がゴール正面に決めて、大きな追加点を奪った。

最後はうまく時計の針を進め、3−1で逃げ切りに成功。試合後に話を聞いた山中監督によれば、プレミアリーグでは優勝の可能性はなく「タイトルを取れる可能性があるのはこの大会だけなので、その意気込みやメンタリティーが強い」と、選手たちのこの大会に懸ける強い思いがあることを口にしていた。まさしく延長後半の決勝弾は、五分五分のボールを泥臭くマイボールにしたゴールに至るまでの流れを含めて、選手たちの「勝ちたい」という執念が表れた形とも言えた。

ただし、好ゲームは対戦相手のパフォーマンスなくしては生まれない。柏と真っ向からぶつかり合った愛媛も攻守とも、普段からしっかりトレーニングがされていることがうかがえる素晴らしいチームであり、110分間の激闘を戦った彼らの健闘も称えたい。

 

試合終了後の監督・選手コメント

○山中真監督

「前半が思うようにボールを動かせず、攻守ともに思うような展開になりませんでした。その中で大崩れすることなく、辛抱強くプレーした結果、後半のプレーにつながったと思います。ハーフタイムには守備の確認と、ビルドアップをどうするか確認しました。ただ、最後の精度は高めなければいけないですし、最後のところで余裕を持ってプレーをする、最後にクロスを上げるときにどこに上げるのか、ゴロパスがいいのか、浮き球でGKの頭を越すボールがいいのか、そこまでの余裕があると、もっと点を取りやすくなると思いますが、前半と後半でよく修正して立ち直って、自分たちがプレーする時間帯に持っていけたという感じです。延長戦で点を取った正田は3年生ですし、3年生はこの大会に懸ける思いが強いので、僕も彼らとタイトルを取りたいと思いますし、そのタイトルを取れる可能性があるのはこの大会だけなので、その意気込みやメンタリティーは強いと思います。それが彼らの体を動かしたと思います」

 

○杉井颯

「立ち上がりは良かったんですけど、その後事故で失点して、そこの反応が遅かったと思います。そういうところは数十メートルのダッシュで変わると思うので、また練習からややっていって、今度同じ場面が来たときに対応できるようにしたいと思います。ハーフタイムではもっと守備を固めていこうという話もしましたし、その中で攻撃は自分たちの特徴でもあるので、もう一回原点に帰ろうと思って、誰がフリーなのかを共有しようと思いました。後半はボールを取られてもすぐに取り返す良いサイクルでできたと思います。本当は90分で勝負をつけたかったんですけど、愛媛も良いチームで、自分たちが良いサイクルでプレーできたのでゴールを決めることができませんでした。この大会はタイトルを取るんだという気持ちをみんなで共有しましたし、今年は例年になく『勝ちたい』という気持ちが強いチームなので、それがもっとプレーに出ていいと思いますし、それが最後点に繋がって良かったです」

 

○正田徳大

「愛媛も自分たちと同じようにボールを大事にするチームで、一回ボールを持たれるとゴールまで運ばれて、自分たちが守備の回る時間が多くなってしまいました。後半は幅を使った攻撃とSBを高く張らした攻撃で、FWとの関係性や縦と横をうまく使いながら攻撃ができました。ただ点が取れなかったので、バイタルゾーンではもっとゴールを意識したプレーを高めていかなければいけないと思います。延長戦の得点はたまたまです(笑)。あれは気持ちです。やっぱり勝ちたい思いは強かったです。延長はあまり経験がなくて、その中で最後、今回はたまたま自分が決めましたけど、チームとして気持ちで押し込めたのかなと思います。こういう形で勝つことはなかなかないので、ポジティブに捉えて、プレミアリーグでは五分五分の試合を落としていた試合が続いていたので、カップ戦という一発勝負の大会で、五分五分の戦いを延長戦ですけど勝てたのはチームとしてこれから繋がっていくと思います」

Reported by 鈴木潤

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