「川崎フットボールアディクト」

エウシーニョの涙【コラム】

エウシーニョがチームを去ることになった。

公式で発表されたあとのフロンターレサポーターの動揺は凄まじかったが、こればかりは契約の世界だから如何ともし難いものがある。

代理人を介しての交渉は厳しいものになったようだが、その裏でエウシーニョ自身、移籍することになったことについて何度か「残念です」と述べており、残留できればそれが一番だとの思いもあったようだ。

そうしたエウシーニョのフロンターレへの深い思いは5日のお別れ会の挨拶の時にはっきりした。エウシーニョはフロンターレやサポーターへの感謝の言葉を口にする中、感情を抑えきれず泣き出してしまった。

この涙の理由についてエウシーニョは「単純にみなさんが、こんなにたくさんの人たちが来てくれたということに感動した瞬間でした」と話す。と同時に、2015年の加入以来「この4年間、自分が過ごしてきたこと、色々なことを思い出して、つらい時、楽しい時、嬉しい時。どんなときでもサポーターの人たちが自分を支えてくれたことを思い出しながら感情がこみ上げてきました」と説明する。また、エウシーニョの家族をサポートしてくれていた人たちも居たようで、そうした人たちへの思いが溢れ出て、それが涙になったということらしい。

泣くくらいなら出て行くとか言わないでほしい、とも思ってしまうが、彼には家族がいて前に進まないといけない。中山通訳が言うには極端に物欲がなく、全くブランド品などに対する興味もないストイックな性格だったようだが、家族との生活を考えると、新天地への移籍はやむを得なかったのだろう。

ちなみにエウシーニョのフロンターレ在籍4年間のベストマッチは、2017年9月30日の第28節C大阪戦。5-1で勝利した試合で、エウシーニョは共に芸術的な2ゴールを決めている。

また4年間のエウシーニョ自身のベストゴールは2015年6月7日の1stステージ第15節の湘南戦。1-1で迎えた後半ATの90+4分の決勝点だと話していた。

フロンターレ在籍中の4年間のゴール数は32点。年間平均8点を叩き出しており、そう考えるとやはり稀有なサイドバックだったということが言える。印象に残るゴールの数々を残してくれたことに感謝しつつ、新天地での活躍を祈っている。

なおエウシーニョはフロンターレでのプレーについて「自分が日本でプレーする扉を空けてくれたクラブなので、とても感謝しています」と述べており、引き続き日本でプレーすることになりそう。

噂されているあのチームになるのかどうかはわからないが、もしJリーグに残るのであればぜひその活躍を見せてもらいたいと思う。もちろん、フロンターレ戦以外で、ということになるのだが(笑)

(取材・文・写真/江藤高志)

これは[川崎フロンターレ Advent Calendar 2018]の参加記事となります。

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