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「川崎フットボールアディクト」

「10年前の恩とそれに対するアンサー」ユアスタに掲出された横断幕【#オフログ】

ユアテックスタジアムに掲出されたフロンターレの横断幕について、仙台側の事情をお伝えしておく。

なお、はじめに断っておくが、仙台サポーターとしては「スタジアムで起きたことがすべて。その一つひとつについて問い合わせは受けていない」というスタンスのため、詳しい話は聞けなかった。ただし仙台サポーターと親交が深く、今回の件についてフロンターレ側の窓口になっていたコールリーダー・カイト氏から、改めて仙台サポーター側の事情を聞けたのでお知らせする。

仙台のサポーターとして意識していたのは「10年前のアンサー」だったという。言うまでもなく2011年4月23日の等々力での話だ。

2011年3月11日に東日本大震災が発災しJリーグは中断。1ヶ月半ほどの中断の後、リーグ戦が再開される。被災地で活動するチームとして、仙台の再開試合は俄然注目を集めた。それが、2011年4月23日の等々力でのフロンターレ戦だった。選手たち自身も被災者となっていた仙台との試合は、一種独特な雰囲気が充満する試合となった。

降りしきる雨の中、被災地から集まった仙台サポーターを、フロンターレサポーターは暖かく迎える。フロンターレサポーターは、仙台を応援する歌を唄い、そしてこの日のために作られたForzaSendaiの横断幕をサポーターエリアに掲出する。


「2011.4.23の前座試合の後の映像」


「2011.4.23の選手紹介時に放映されたVTR」

試合結果に関わらず、そうやって自分たちを迎えてくれたその出来事に恩義を感じ、その恩を返したいと仙台サポーターは思ってきたのだという。その思いはクラブも同じで、それを形にしたのが、試合会場で放映された返礼映像だった。


「2021.3.6の試合に合わせ、仙台側が制作した返礼映像」

では、仙台サポーターとして何ができるのか。今回、緊急事態宣言下で急遽ビジター席が無くなる中、続いた議論の結論がForzaKawasakiの横断幕だった。カイト氏への電話の中で、彼と親交の深い仙台サポーターが伝えたのは「ForzaKawasakiの幕を貸してほしい」という言葉だったという。

フロンターレサポーターが入れないスタジアムに、仙台サポーターの手で「ForzaKawasaki」の横断幕を掲出する。それが自分たちからのアンサーではないのかとの総意に至った仙台サポーターは、その思いをカイト氏に連絡。カイト氏はこの申し出を二つ返事で快諾したという。

他チームのサポーターに自チームの横断幕を託すということは通常ではありえないことで、それだけのことが10年前に起きたということでもある。

結局のところ10年前の等々力の世界観、空気感は何があってももう絶対に再現できない。当時あの等々力に居た人ですらその空気感を説明するのは困難だ。だから当時その場に居なかった人は理解することも難しいかもしれない。それでも今回、お礼の形を一つこうして示せたということについては、仙台サポーター側は良かったのではないかと話しているのだという。

フロンターレサポーターと仙台サポーターは、応援のスタンスが全く違う。そんな両クラブのサポーターがこれだけ仲良く切磋琢磨しているのはJリーグの中でも奇跡的な出来事なのだろう。これからもこの関係が続くことを願いたい。

最後に余談になるがメッセージ付きのニュータンタンのカップ麺について仙台サポーターは「みんな喜んだと思いますよ。でも、ぼくらまたお返し考えないといけないから頭が痛い」と苦笑いしていたという。

(取材・文・写真/江藤高志)

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