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「ゼルビアTimes」郡司聡

【元町田戦士の現在地③】田中貴大選手(ブリオベッカ浦安)『もう一度、這い上がるために』

▼浦安加入の決め手

「ウチのチームに来てほしい」

その声の主は、ユース時代の恩師だった。

ジュニア時代から在籍していた東京ヴェルディと2014シーズン限りで契約満了となった田中貴大の下に、関東1部リーグ所属のブリオベッカ浦安・齋藤芳行監督と都並敏史テクニカルディレクターから熱烈なラブコールが届いた。

「オレはお前を育てたい」

東京Vの育成普及アドバイザーのころから目をかけてもらった都並TDによるその言葉が、特に心の琴線に触れた。

「齋藤監督と都並さん。この2人が浦安にいたことが決め手となった。カテゴリーに戸惑いはあったけど、イチからやり直してそこから這い上がっていったほうが、またJリーグの舞台に戻ったときに活躍できると思う。迷ったけど、いまは入って良かったなと思っている」

貴大は逡巡しながらも、浦安のユニフォームに袖を通す決心がついた。

 

▼古巣との対峙

関東1部リーグの開幕を約1週間後に控えた3月30日、貴大はかつての練習場・小野路グラウンドにいた。開幕前、現在のチーム力を測るトレーニングマッチの相手は、FC町田ゼルビア。2013シーズンに期限付き移籍で1年間在籍したチームだった。45分×2本のゲームで右SBのポジションに入った貴大は、1本目の24分に右サイドを駆け上がり、ファウルを受けて直接FKを獲得。そのチャンスからチームメートがヘディングシュートを放ったものの、惜しくもクロスバーを叩いた。

その後も上下動を繰り返し、2本目の5分にはバイタルエリアに侵入してミドルシュート。続く7分には正確なクロスボールで味方のヘディングシュートを演出した。ピッチを退いたのは、2本目の16分。約60分間の出番を終えた貴大は「チームとしても、ゼルビア相手に通用する部分と通用しない部分があった。個人としても、まだまだだなと思ったし、もっともっと成長しなくては」と、自身の立ち位置をあらためて認識していた。

浦安移籍1年目。自らに課したことがある。それは「とにかく結果にこだわること。チームの勝利のために、アシストやゴールで貢献すること」。将来的なJリーグ入会を目指す浦安とともに、再びJリーグの舞台へ戻るために――。Jリーグ誕生の年に生まれた21歳の青年の腹は、もう決まっている。

 

▼かつての仲間、手荒い歓迎

「おい、貴大! 元気にやってるのか?」

取材を受ける貴大にかつての仲間が声をかける。鈴木孝司、大竹隆人。先輩たちの手荒い歓迎が何よりもうれしかった。たとえ頭をクシャクシャにされても、屈託のない笑顔が、はじけた。

「ゼルビアの結果は毎回チェックしているし、特に一緒にやっていた選手のことは気にしている。孝司くん、隆人くん、(深津)康太さん……。彼らの活躍を見て自分も刺激にしているんです」

関東1部リーグという未知なるカテゴリーに挑戦する2015シーズン。「(関東リーグは)僕も未知なので分からないし、想像もつかないけど、ラクな相手はいないと思う。常に上のステージを意識しながらプレーしていきたい」と、貴大は今シーズンの決意に力を込めた。恩義を感じている浦安での新たなるチャレンジは4月4日、ジョイフル本田つくばFCとのオープニングマッチで戦いの幕が開く。

 

【プロフィール】
田中 貴大(たなか・たかひろ/ブリオベッカ浦安所属)
1993年11月22日生まれ、21歳。東京都出身。170cm/63kg。UNO八王子FC→ヴェルディジュニア→東京ヴェルディジュニアユース→東京ヴェルディユース→東京ヴェルディ→FC町田ゼルビア→東京ヴェルディを経て、2015シーズンからブリオベッカ浦安に加入。2013シーズンに在籍した町田では主にウイングバックやSBのポジションで起用された。J2通算10試合出場(2015年4月3日現在)。

 

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