「ゼルビアTimes」郡司聡

【無料公開・小野路便り】福島サポーターが掲げた横断幕の“後日談”。リ・ハンジェ主将の決意「福島さんの思いをくんで目標に向かって戦う」

20151101-155358-0©FC町田ゼルビア

▼共同の署名活動に対する感謝の意も込めて

 

前節・福島ユナイテッドFC戦。1-0で勝ち切った試合後、福島サポーターが陣取るゴール裏に一枚の横断幕が掲げられた。

『勝て! 天皇杯 行こうぜ J2』

試合後にスタジアムを一周する中で、福島サポーターの掲げた横断幕に気付いたFC町田ゼルビアの選手たちは、誰彼ともなく「横断幕が出ていますけど、どうします?」と声を掛け合っていた。集団の先頭を歩くチーム主将のリ・ハンジェは、チームの勝利を祝福する町田サポーターが陣取るスタンドに向かって「先に福島サポーターのほうに挨拶をしてきます」と伝えた。

こうして福島サポーターの下へ向かった“ゼルビア・ブルー”の戦士たち。主将のリ・ハンジェは「試合ではしのぎを削って戦うけど、あの横断幕はスポーツマンシップにのっとった行動だったと思う。本当にありがたかったし、あらためてスポーツっていいな」と感じていたという。

試合前には福島サポーターと町田サポーターが共同で「福島市にサッカー専用スタジアムを作ろう!!」という署名活動を展開。その感謝の意も込めて、福島サポーターはこの横断幕を事前に準備していたという。その横断幕を目にしたディフェンスリーダーの深津康太は「素直にうれしい。あの横断幕は相手をリスペクトして、僕たちがチャレンジャーとして戦ってきた結果だと思う。僕たちがやってきたことは間違いではなかった」との思いを強くした。

約15年にも及ぶプロ生活の中で、対戦相手のサポーターから激励を受けるような横断幕を掲げられた経験がないというリ・ハンジェは、こう言って強い決意をにじませた。

「いろいろなことを考えさせられたし、感謝という言葉しかない。福島さんの気持ち・思いをくんで、J2昇格という目標に向かって戦っていきたい」

Text by 郡司 聡(Satoshi GUNJI)

GNJ_9757photo:Satoshi GUNJI

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