「ゼルビアTimes」郡司聡

【無料公開】J2第5節・東京Vvs町田/東京V・冨樫剛一監督、井林章選手、高木大輔選手、安在和樹選手、楠美圭史選手、町田・相馬直樹監督コメント(6,113文字)

■明治安田生命J2リーグ第5節・3月26日(土)16:00キックオフ
味の素スタジアム/5,166人
東京ヴェルディ 0-1 FC町田ゼルビア
【得点者】町田/90分 鈴木 孝司

 

■冨樫 剛一監督(東京V)
——まずは試合の総括をお願いいたします。
「ホームゲームの東京クラシックという舞台で、自分たちの思いをぶつけて、サポーターとともに戦っていこうと試合に入ったが、コンディションが悪かったのか、自分の戦術が悪かったのか、トレーニングが悪かったのか、良いところを見つけることが難しく、それぞれの仕事量の割合が高い選手と低い選手の差があまりにもある試合だった。われわれはボールを動かしていかなければなかなか良い場面を出せないが、サイドバックやサイドハーフがサイドを追い越していくような動きや、サイドバックにボールが入ったときにボランチに入れてそこから縦へ出て行く動きも90分の中で2回しかなかった。いろいろと試行錯誤をして前半は[4-2-3-1]でミスマッチを作って試合を優位に運ぼうとしたが、逆にミスマッチが生まれたところで相手のサイドハーフにバイタルエリアへ入られたので、前半の途中で[4-4-2]に変えて、相手とシステムを合わせてマッチアップする形にしたが、それもなかなかうまくいかなかった。1年に1回このような試合をしてしまって、自分の力のなさを情けなく思っている。次節はアウェイで強い岡山と戦うので、自分たちは1週間しっかりと自分たちを見つめ直してトレーニングをしていきたいと思う」

——今日は高い位置から相手がプレッシャーをかけてロングボールを蹴らされてボールを失う場面が多かったですが、解決策をどのように考えていますか?
「自分は外から見ていて、そんなにプレッシャーがかかっていると思っていなかったし、高い位置からプレッシャーをかけられているという印象もなかった。自分たちの立ち位置があまりにも悪く、恐がっているように見えた。また、相手のプレッシャーの隙間にサポートに入る反応がすごく悪かったので、(ロングボールを)蹴ることしかできなかったのだと思う。また、映像で振り返ろうと思うが、外から見ていると恐がっているというか、いまのところ受けてしまっていると感じている。自分は外から見ていて立ち位置ひとつで、5メートルでも下がれば、斜めのボールを受けて早いトライアングルを作って、ワンタッチでひっくり返すことができれば、もう少し自分たちが高い位置から自分たちでプレッシャーをかけられたと思っているし、打開する術はあったというふうに感じている」

——押し込まれる展開の中で、選手交代で打開していく策があったと思います。楠美選手を投入した際、高木善朗選手をサイドに出す考え方もあった中で、高木純平選手をサイドに出した意図を教えてください。
「前半からなかなか(ダブルボランチの)フナ(船山)と純平のところでパスをさばくというタイミングがほとんどなかったと思う。そこで後半の頭から高木善朗を(ボランチに)入れて、善朗のところで一つ二つサイドから受けて前を向く形が出てきた。また、(楠美)圭史がセカンドボールに対する反応と予測というところで、ボールを奪えればいいと考えていた。純平を外に出したのは、善朗のほうが中央で受けられたことと、純平のほうが外に出て外から見た中盤のディフェンスのバランスを見られると自分の中で思ったので、外に出した。そこから純平はセカンドボールのところで前に、クロスボールからのこぼれ球に詰める惜しい場面もあったが、ああいう場面で今日は善朗ではなく、純平のほうが前へタイミング良く出て行くようなそういう場面が出てくるのではないかという期待を込めて外に出した」

——サポートの遅れや運動量の低下に関して、受け身になったこと以外に、どんな原因があったと考えていますか?
「ボールを奪いに行っても蹴られてしまうとか、あるいはこぼれ球をうまく拾えないから少し構えようみたいな、自分たちから少し後ろに引っ張られるような原因があったと思います」

——ショックの残る敗戦を監督は理路整然と整理されていて、今日の選手たちは何もできなかったとさえ思っているのかもしれませんが、選手たちを立ち直らせるために次の1週間でどんなことを考えていますか?
「まず自分たちのストロングポイントは何なのかということをもう一度整理していきたい。自分たちにとっては速いパスワークと背後への動き出しを合わせていくことが一番大事だと思っている。それと同時に次のゲームに向けて岡山をしっかりと分析した中で、岡山は非常に手堅い3バックだけれども、どこにウィークポイントがあるのかを分析した中で、自分たちのストロングポイントをしっかりと出していくこと。また先ほども言ったようにチーム全体の仕事量が均一になる形にして、全員がボールにも守備にも攻撃にも関われるような精神状態に持っていきたいと思っている」

 

■DF 3 井林 章(東京V)
攻め手があまりなかった
「今日は内容がなかった。攻め手があまりないような感じで難しい試合だった。町田は基本的にボールを下げなかったのでそれが勢いになっていた。でもそんなに怖いような攻撃パターンはなかったので、しっかり局面で負けなければやられるような感じはしなかった。(事前のゲームプランについて)町田は前にどんどん来るし、ブロックを作ってスライドしてくるチームだったから、なかなか難しい試合になるとは話していたけど、攻め手がなかった。相手がコンパクトでスペースをつぶされていたので、うまく攻撃を展開できずに、その次の策がなく結局はロングボールが多くなってしまった。個で打開できる選手もいなかった。攻め手がなかったことが最後のセットプレーでの失点につながったと思う。相手がスペースに放り込んで攻められる時間が長かったから、こうしようという意見というか、そういうことがあまり出ることはなかった。カウンターで何かできればという考えはあったと思う。次の岡山ともタフな試合になる。相手は昨季の試合を振り返っても、前からプレッシャーをかけに来ると思う。セットプレーの守備の部分も見直していかないといけない」

 

■FW 18 高木 大輔(東京V)
町田はチームとしてまとまった守備をしてきた
「率直にすべてが中途半端に終わってしまったと思う。最後の失点の場面も、自分のマークだった。とにかく悔しい。(試合を通じておとなしかった印象です)単純に向こうの勢いが勝っただけ。試合に対する気持ちが僕たちよりも町田が上だったというだけの話だと思う。今日の結果は良くて0-0だと思う。ただ試合の結果はなるべくしてなったので、試合を見に来てくれたサポーターのブーイングは僕たちも納得できる。サポーターの信頼を取り戻すのも自分たち次第。次のアウェイで勝ってホームに戻ってきて連勝することでサポーターの信頼を取り戻していきたい。(町田のプレッシャーはいかがでしたか?)相手のプレッシャーはそんなにガチャガチャ来る感じではなかったけど、うまくスペースを消してきて、チームとしてまとまって守備をしてきた。それを崩すことが僕たちのスタイルだけど、シュートの本数を見ても全然できなかった。情けないゲームをしてしまった。(その町田の守備を崩すためにどんなことをイメージしていましたか?)自分が個人でどうこうするとか、ワンツーで崩すというよりは、味方のためにスペースを作ったり、最初は平本さんと2トップだったので、平本さんにボールが入ればうまく攻撃に絡めると思っていた。そこに南(秀仁)や(高木)善朗や中盤の選手が絡むことで良い攻撃ができると思っていた。積極的に動きたい気持ちがあったけど、良い形でボールを奪って良い形でボールを持てなかったので、不完全燃焼だった」

 

■DF 6 安在 和樹(東京V)
相手の出足に圧倒されてしまった
「何もできなかった。押されっぱなしだった。相手の出足に圧倒されてしまった。相手のプレッシャーも速かったし、ボールを奪ったあとにすぐボールを奪われることも多かった。リズムをつかめず、セカンドボールも全部相手に拾われてしまった。(事前のゲームプランについて)町田はボールサイドに寄るので、サイドチェンジを使って(反対の人が薄いサイドを使って)いこうとしたけど、サイドへ展開する前に食われることが多かった。全然サイドチェンジもなかった。5試合の中ではワーストだったし、この内容であれば引き分けにしないといけなかった。セットプレーの対策もしていたけど、最後の最後にやられてしまった。相手のほうがすべて上回っているぐらいだったと思う。(サポーターからのブーイングも)この内容ならば妥当だと思う」

 

■MF 28 楠美 圭史(東京V)
自分たちの良くない部分が出てしまった
「自分が入ったときはセカンドボールを拾うことを意識して、中を締めながら攻撃をすることを指示された。セカンドボールを拾う部分は今日もやれたので、次につながると思う。相手に消されたというよりは自分たちの良くない部分が出てしまった。もっとチャレンジが必要だったと思う」

 

■相馬 直樹監督
——まずは試合の総括をお願いいたします。
「4年ぶりの東京クラシックと銘打ったダービーマッチにたくさんの方々に来ていただきました。町田からもたくさんサポート、声援をくれたと思っています。まずはありがとうございましたと、お礼を述べさせてもらいます。いまいる選手たちは、ヴェルディにいたという選手は意外とおらず、サポーターのほうが特別な思いを持っていたと思います。最後、あのような形で勝てたことはサポーターの思いが伝わったと思いますし、力をくれたと思います。ありがとうございました。試合のほうですが、ボールが転がりづらいピッチ状態で、球際のバトルでもちょっとしたところで芝に食われる中でインターセプトが起きるような、特に前半は攻守の入れ替わるケースが多いゲームだなという印象です。ただそういうゲームは、どちらかというとわれわれにとっては得意なゲーム展開になりましたし、その中で主導権を長く握り続けることができるゲームになったと思います。なかなかフィニッシュまで行けずに、その一歩手前で合わなかったりということが続いて、攻めているようで攻め切れていない。決定機に近いシーンでも決め切れないようなイヤな流れはあったと思いますが、先に失点をすることなく、よく耐えたと思います。そして最後90分という時間帯でセットプレーの流れで1点をもぎ取りました。サポーターの力が大きかったとあらためて思っています。前節の金沢戦の中で、先に2点を取って、リードしてから足が前に出なくなってしまった。90分前に出るサッカーをしようと選手たちを送り出しました。それを体現してくれましたし、それを勝ちにするにはリスクがあることですが、勝ちにしてくれたことに感謝したいと思います。われわれはチャレンジャーで、22番目チームであるわれわれが忘れてはいけないことは22番目(のチーム)だということです。今日はそういう姿勢を貫けたから前に出て戦えたと思います。今後も勘違いすることなく、戦えるようにしていきたいと思います」

——カルフィン・ヨン・ア・ピン選手を起用した意図とその成果は?
「トレーニングの中で故障があったりと、正直90分やることには不安がありました。ただ今週のトレーニングの中でエネルギーがあるというか、彼一人がいることで、前向きになるなと感じたことが何度かありました。90分もたないかもしれないし、今回のメンバーと組むのは時間がなかったので、大きなコミュニケーションミスがあるかもしれないと思いましたが、彼のそのポジティブなエネルギーが良いものをチームにもたらしてくれると信じて起用しました。彼はそれに応えてくれて、おつりが来るぐらいのプレーをしてくれました」

——そのポジティブなエネルギーについて、言葉にしていただけますか?
「ベンチからでは聞こえませんが、声がその一つです。彼は日本に来て4年が経っていて、たくさんの日本語を話せるわけではないですが、日本語は理解しています。右、右、前、前という言葉を発することで周りの選手への安心感や前向きな姿勢を出してくれていました。それがどれだけの効果を発揮したのか分かりませんが、そのポジティブなエネルギーは良い影響をもたらすと思って起用しました」

——今季初先発の三鬼海について、今週の練習の中で彼に対して個々のアプローチをしていましたが、試合で良い影響は出ましたか?
「今季、(長崎から)戻ってきたもらった中で、昨季長崎でプレーしていたときとディフェンスのやり方が違う部分があって、後手に回るとか、周りと合わずに自信をなくしている部分がありました。細かく言えば、まだまだ課題はありますが、そこを解消して、本人の中でポジティブにゲームに入ってくれました。ただ僕は欲張りなので、もっとできると思っています。また上を目指すイメージを持ってプレーしてもらえれば」

——試合を見る中で、70分過ぎに足が止まるなと思ったのですが、最後まで続きました。その前へ出て行く姿勢、選手たちの意識を高める働きかけ・アプローチについて、どうされているか、コメントをいただけますか。
「前々節の山口戦はどこか受け身になるようなゲームになりましたし、2点を取って、そのあとは退場者を出して受け身になるような展開になっても勝ち切ることができました。前節の金沢戦では、2点を取るまでは守備でも攻撃でも前へ出て行くプレーがありましたが、2点を取ったあとは、疲れているわけでもないのに、少しずつ足が前へ出なくなってしまいました。僕自身がどう声をかけていくかということもありますが、あらためてチャレンジャーという姿勢を、本当の意味で、選手たちが腹から思わないといけないわけで、そういうチャレンジャーという姿勢を持っていないと、このチームでは認められないのかなという空気は出ています。ただこういうことはちょっとしたことで失くしてしまうこともありますので、僕自身も毎試合そこは勝負だと思っています。ただそれだけではなく、勝つことが大事ですので、我慢しながら勝ちに持って行くことはウチの選手たちが持っていると思います。それを見に来た人が良かったと思える人が今日はいたと思いますし、そういうゲームをしてくれた選手たちに感謝したいです」

——チーム全体の守備面の評価はいかがでしょうか?
「失点ゼロだから満点じゃないでしょうか。ただ守備も攻撃も最終的には一体になってくると思っています。良い攻撃をすれば良い守備もできますし、良い守備をできれば良い攻撃をできると思います。今日は攻守が一体となってプレーできた時間帯が長かったと思います。ボックスの中で点を取ることが必要になってきます。またもう一つ選手たちと磨いていかないといけませんが、ゲーム全体で言うと攻守が一体化した時間帯が長かったかなと思っています」

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