「ゼルビアTimes」郡司聡

【マッチレビュー】J2第24節・セレッソ大阪戦/果たした雪辱。守備陣が後方で支えた今季初の逆転勝利


▼決死のブロックの数々

こうした前半の粘りが後半開始早々、最高の形に結実する。47分、鈴木孝司がエースにふさわしい働きで右足のシュートを決めて同点に追い付いた。こうなると、ホームのC大阪はさすがにお尻に火がつき、“桜のタレント集団”はここから前傾姿勢を強めていく。試合前、首位・コンサドーレ札幌、2位・松本山雅FCと勝ち点47で並んでいたC大阪は、他会場で上を行く札幌と松本が直接対決でつぶし合うため、勝利を手にすれば、自動昇格圏に浮上するチャンスだった。

しかし、2位以内を狙うC大阪の前に、守護神を筆頭とした町田守備陣が大きな壁となって立ちはだかった。61分と63分には危険なエリアに侵入してきたソウザと山口蛍に対して、畠中が二度もその行く手を阻む。さらに68分にエースがこの日2点目を奪い、チームが勝ち越したあとに訪れた75分と80分の被決定機の場面では、守護神が決死のファインセーブでC大阪にゴールを許さなかった。

殊勲の2ゴールでチームを勝利に導いたエースが言った。

「後ろの選手たちが我慢して戦っている中で点を取れたことがうれしい」

開幕戦以来、先発出場の試合では負けを知らない畠中は、尻上がりに調子を上げるパフォーマンスでチームの勝利に貢献し、前節・千葉戦での逆転負けに責任を感じていた高原は「自分ができることをやっただけ」と事もなげに語ったものの、試合前、自身に課した責務をしっかりと果たした。もちろん、相棒の畠中をカバーしたヨン・ア・ピンや中央をサポートした両SB、そして91分には体を投げ出し、顔面でシュートをブロックしたリ・ハンジェら、ダブルボランチが最終ラインを適宜サポートしたことも、1失点で食い止めた要因となった。

3得点を奪った攻撃陣に隠れがちだが、水際で相手の反撃を阻止し、勝つ可能性を最後までつなぎ止めた守備陣の奮闘なくして、今季初の逆転勝利は成立しなかった。

Text by 郡司 聡(Satoshi GUNJI)
Photo by ©FC町田ゼルビア/安田 健示

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