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【コラム】ヴェルスパ大分を取材して感じたこと~地方都市の二つ目のJクラブは可能か?~

V・ファーレン長崎から期限付き移籍中の本多琢人と林田隆介がプレーする『ヴェルスパ大分』は、日本フットボールリーグ(JFL)に所属している。JFLは国内サッカーのアマチュア最高峰に位置付けられているリーグで、そこには純粋なアマチュアチームやプロを目指すJクラブ予備軍までが混在している。

2003年に『HOYO FC』として発足したヴェルスパも、JFLに所属しながらJクラブを目指して活動しているチームの一つだ。すでに大分トリニータというJクラブが存在している大分県で、第二のJクラブとなることを目指している。


取材に行った6月初旬、ヴェルスパは『FC今治』をホームに迎えていた。今治は、元日本代表監督の岡田武史氏が代表取締役会長を務め、元日本代表の駒野友一や橋本英郎らが所属する注目クラブだ。そんな今治との対戦は、ヴェルスパにとって集客面でもビッグゲームと言えるだろう。

だが今治戦は、ヴェルスパがメインで使用する大分市の『昭和電工サッカー・ラグビー場』ではなく、大分市街から車で1時間ほど離れた佐伯市の『佐伯市総合運動公園陸上競技場』で行なわれていた。県の高総体サッカーが行なわれる関係もあって、今季初の佐伯市開催として公式戦を行なうのだという。

試合当日はあいにくの雨。会場の佐伯市総合運動公園陸上競技場はメインの中央付近にしか屋根がないことを考えれば、集客にとっては致命的とも言える天候だ。それでも佐伯市でのホームゲームには563人が来場した。決して多いとまでは言えないが、アクセスや天候などを考えれば健闘と言っていい数字だ。

昨年からヴェルスパの監督を務める須藤茂光氏は、プロからアカデミー年代までの幅広い指導実績を持つ。須藤監督はチームの土台となるスタイルを作るために、ボールをつなぐことを指向しているが、一方では勝負所でパワープレーに出る割り切りもあるという。この日のゲームでも個で上回る今治相手に、先制を許しながらも最後まで食らいつく戦いを見せ、終盤にはパワープレーも狙っていた。結果的に今治に敗れてはしまったが、このままスタイルを積み上げていけば、チームが大きく崩れることはないだろうと思わせてくれた。

須藤茂光 ヴェルスパ大分監督

なお、この日のゲームは、長崎県出身で甲府やザスパでもプレーしていた御厨貴文氏が主審を務めていた。長崎県出身の彼はJリーグの公式戦でV・ファーレン長崎の試合を裁くことはないだけに、そのジャッジを目の前で見ることができたのはラッキーだった。彼のようにJリーガーが審判になる例が増えれば、審判の立場もより高まっていくだろう。それだけに頑張ってほしいと心の底から思った。

今治との試合を終えた佐伯市総合運動公園陸上競技場では、選手たちが観客とハイタッチをしながらサポーターの見送りを行なっている。発足時のV・ファーレン長崎でもよく見られた光景だ。カテゴリーが上がるにつれて、こういった機会は減ってくであろうことを思うと、サポーターには今だから味わえるこのムードを存分に味わって欲しいと思う。

 

そんなことを考えていると、隣から声が聞こえた。
「トリニータもヴェルスパも、みんな盛り上がってほしい」
トリニータだけでなくバスケットやラグビーなど、大分のあらゆるスポーツで、スタジアムDJやアリーナMCを務め、ヴェルスパのMCもしている『mc max』さんだった。

ヴェルスパの試合が行なわれる前日、ヴェルスパの関係者とmc maxさんの経営する『Bar Lacitta』にお邪魔させてもらったのだが、そこが、まるで大分スポーツのるつぼのような場所だったことを思い出す。そこではサッカーやバレーのプロ選手や関係者が、そこかしこに座って話をしていた。私が座った隣の席にいたのは、地元強豪高校の野球部部長だという。その隣の席に座る女性はヴェルスパに所属する選手の同級生だったと言っていた。それらの人たちが店内の至るところで話をしている光景に、スポーツが暮らしの中に当然のように存在することが、大分のスポーツを支えているのかもしれないと感じた。

「大分のような地方都市が2つもJクラブを持つのは難しい。」

そういう声もあるかもしれない。だが雨の中で佐伯市に集まったサポーターの表情や、前夜に見た大分スポーツのるつぼのような光景、そしてGMや強化部長といった重要なポストを三〇代が務めるアクティブな空気感・・。そこに大分をホームとするもう一つのJクラブという可能性を感じることができた。地方クラブの今後を考えるためにも、また取材に来てみたいと思う。そのときヴェルスパというクラブが、どんな成長をしているのか楽しみにしたい。

reported by 藤原裕久

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