長崎サッカーマガジン「ViSta」

【アカデミーレポート】 日本クラブユースで2勝をあげるも突破できなかったGS。V・V長崎U-18の現在地とこれから。

【日本クラブユースはGSで惜しくも敗退】

7月28日、群馬県で行われている『第45回 日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会』に参加しているV・ファーレン長崎U-18は、グループステージを戦い、2勝を上げたものの、得失点差と当該チーム同士の対戦結果のため、勝ち点で並びながらもリーグを3位で終了。惜しくもノックアウトステージ進出はならなかった。

V・ファーレン長崎グループステージ(B)結果。
(1日目)ジェフユナイテッド千葉戦 ●0-1
(2日目)ブラウブリッツ秋田戦 ○1-0
(3日目)ヴィッセル神戸戦 ○1-0

「全ては初戦にかかっているかなと。グループステージは3試合しかないので、そこでの戦い方が次につながってくると思います。そこで変な負け方をしないようにしなければ・・。大事なのはそこでしょうね」

大会前に原田武男U-18監督が語っていたとおり、初戦のジェフ戦での敗戦がグループステージ突破の障害となった。決して勝てない試合ではなかった中で初戦を落としただけに、悔やみきれない結果と言っていいだろう。だが続く秋田戦で相手の粘り強い守備を破って勝利し、最終戦も首位の神戸を破るなど盛り返してみせた大会でもあった。「今やっていることが全国でどれだけ通用するかを確認したい」と話していた原田監督にとっても、チームの現在地を確認できたという意味で収穫とはなったろう。

【組織で戦えるチームと、1・2年生の台頭】

トップの試合にも出場する阿部大晴。U-18ではまだムラのあるプレーが多い

「例年に比べて3年生の力的には少し劣るかもしれない。でもチームとして組織で戦える」
原田監督は現在のU-18をそう評価する。GKに首藤光翼、CBに中平優太、サイドバックに小西龍馬と長塚陽、ボランチに姫野晃竜、左サイドハーフに鍋島暖歩、前線に中島聖翔。確かに各ポジションに3年生のレギュラーは揃っているが、CBの古田東矢、ボランチの安部大晴・右サイドハーフ大山晃生らは2年生で、前線では七牟禮蒼杜と池田誉の1年生がポジションを争っている。現状のレギュラークラス半数が2年生以下という状態だ。

プリンスリーグでチャンスをつかみ年代別代表候補にも選ばれた七牟禮蒼杜

このあたりは、ここ数年最強と言われたV・ファーレン長崎U-15から多くの選手が昇格したこと、新チーム最初の公式大会で、クラブチームの新人戦と位置付けられる第30回九州クラブユースU-17が「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」のため中止となった影響が大きい。準備の時間が増えたことに加えて、COVID-19禍のために対外試合が行なえず、紅白戦が多く組まれたことで競争しやすい雰囲気が生まれたのだ。

池田誉は県内の同年代では間違いなく屈指のタレント

その上、九州クラブユースU-17の中止で最初の大きな公式戦となったプリンスリーグ九州の初戦を、相手に2本しかシュートを打たせなかったにもかかわらず、0-2で敗戦した悔しさも影響した。シーズン最初の本格的な公式戦で、勝てるはずのゲームを落としたことは、チームに「勝てるチーム作り」を強く意識させるには十分だった。

その後、プリンス2戦目となるサガン鳥栖2ndに3対0で勝利し流れをつかんだことで、消化試合の関係で暫定ながらも首位に立つ快進撃を披露するのだが、このあたりは原田監督の下に、齋藤直幸コーチ・飛石孝行GKコーチといった2017年の県1部リーグ無敗優勝、プリンスリーグ優勝時のスタッフが揃い、新任の徳永登大コーチがしっかりと馴染んだ影響もあったろう。

今回、日本クラブユース(U-18)のグループステージで敗れたV・V長崎U-18 だが、チームの現状は明確になったはずだ。敵を知り、己を知れば・・という言葉ではないが、COVID-19禍のために、チームが己を知るための機会(試合)は、COVID-19禍前よりも頻度が下がっている。今回、全国のレベルを感じたことでチームは、また変わると思う。

「(レギュラーを争える)1・2年生が増えてきているので、ここから競争があるだろうし、伸びしろはあると思います」

原田監督がそう語るチームが、これからどう変わり、プリンスリーグ九州、JリーグユースU-18で生かしていくかを注目したい。

reported by 藤原裕久

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