【勝手に蹴りやがれ】「今シーズン」
■限られた時間の中で
アルベルト・プッチ・オルトネダ監督を新たに迎え、2020年のシーズンが始まります。今年も日々のトレーニングを取材し、週末の試合を取材して、みなさんにお伝えしてまいります。
今シーズンは、僕にとって新潟最後の1年になります。生まれ故郷の愛媛に帰り、80を越える両親の近くで暮らすと決めたからです。
僕には4つ上の兄がいましたが、昨年春に急逝しました。兄と最後のお別れをするとき、僕は、すっかり丸く、小さくなった母の背中に手を添えて、後ろから支えていました。だから、表情をうかがうことはできませんでしたが、ぼたぼたと母が落とす大粒の涙はよく見えて、そして、これはやりたい仕事、やりがいのある仕事という以前の話だと理解しました。
4月に監督が交代したとき、自分も新潟を去ることを考えました。しかし、考え直しました。なぜなら、選手たちは、やり続けるのだから。
11月。ビッグスワンで最終節の取材を終え、ミックスゾーンから記者室に戻りながら、僕は、『1年後、どんな気持ちで見上げるんだろう』と、バックスタンド2層目のNIIGATAという文字を見ていました。
2004年、サッカーマガジンのチーム担当としてアルビレックスと出会い、2009年、フリーになって新潟に移り住んで、今年で12年目。やがて新潟主語で原稿を書かなくなるということに、今はまだ、まるで現実感がありません。
ビッグスワン、アウェイ、そして聖籠。最後のシーズン、時間が限られる中で、ピッチ上のパフォーマンスに、より専心します。「しょうがない。ラスト1年、大中に付き合ってやるか」と、これまで通り、温かくニイガタフットボールプレスを見守っていただければ幸いです。
僕はきっと、新潟の夕焼けを、オレンジと群青が交じり合う広い空を、いつか懐かしく思い出すでしょう。
できる限り良い仕事が残せますように。がんばります。
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