nines WEB

【社会人野球レポート】 上田硬式野球倶楽部が創部 誰もが野球を楽しめるチームを目指して②

【レポート】 ライター山﨑竣

上田硬式野球倶楽部の公式戦用ユニホームが4月上旬に完成し、選手の下に届いた。赤を基調としたユニホームは、チームの拠点である上田市ゆかりの武将・真田幸村の赤備えをほうふつとさせる。出来上がったばかりのユニホームを身にまとい、5月には初の公式戦に臨むはずだった。

しかし、新型コロナウイルスの影響で出場予定だった大会は中止、さらにチーム全体の活動も自粛となった。いきなりの試練に立たされたが、ナインは各自にトレーニングを重ね、活動再開に備えている。

出来上がった公式戦用のユニホーム

 

チーム代表で会社員の中島健内野手(23・篠ノ井高-長野大出)は、平日の仕事終わりに会員制のスポーツジムでトレーニング。しかし新型コロナの影響でジムに通うことも難しくなり、自宅でのトレーニングに移行した。新たにバーベルやプレートなどのウエイトトレーニング器材を購入。仕事の後や休日は自宅を中心にトレーニングに励んでいる。

「やりたい練習が全てできるわけではないので、厳しい面もある。しかし、大学のころから自主練習メインでやってきているので、自分が取り組むべき練習をやれています」と中島選手。大学時代の自主性を尊重するチームでの経験が生きている。

屋外での練習は、人がいない時間を見て、ランメニューやテニスボールを使った打撃練習を行う。「(自粛期間)当初はモチベーションの管理が難しかった。SNSで取り組んでいる内容を発信し、なりたい選手像を日々確認することで迷いがなくなった。気持ちを切り替えて、身体作りの期間だと思って取り組んでいる」と今やるべきことを明確にし、さらなるレベルアップのために時間を費やす。


中島選手が購入したトレーニング機材。右は中島選手

「(職場内で)身近にコロナを感じているので危機感はあるが、早く試合ができる日が来ることを祈っています」と、電話で取材に応じてくれたのは、チーム副代表で総合病院職員の田中魁捕手(24・帝京第三高-杏林大出)。

田中選手もトレーニングを継続しているが、素振りを特に大切にして毎日行っているという。相手投手、球場、球種など様々なシチュエーションをイメージし、バットが体の一部になって動く感覚を追い求めて、普段からバットを振り込む。

春先のオープン戦では7試合に出場し、25打数16安打で打率6割4分と好結果を残した。「少し出来過ぎ。継続してきたことが少し形に表れてくれた。この調子が再開したときまで維持できるように」と試合の映像などもチェックしながら自主練習に励んでいる。
「変化することも大切だが、僕は継続することが大切だと思っている」と田中選手。普段と変わらない調整方法を貫き、グラウンドで野球ができる日に備えている。

チーム全体で活動できない期間が続くが、田中選手は「チームに対しての不安や焦りはない。まずは自分たちがやるべきことやらないといけない。解禁されたときに思いっきり野球ができることを楽しみにして、今はおのおのが課題と向き合ってくれていると思う」とチームメートに厚い信頼を寄せる。

捕手を務める田中選手

6月末までのJABA公式大会が中止となり、オープン戦も白紙の状況。中島選手は通話アプリ・LINEを通して「成果を出す機会は遠くなりましたが、やることは変わらない。選手おのおのがなりたい選手像に向かって練習に取り組み、都市対抗野球の1次予選を楽しみに頑張っていきましょう」と発信し、チームを鼓舞した。

「日本の野球の変革」というチームコンセプトの下、選手それぞれが理想の選手像を追い求めるチームスタイルの真価が、シーズン早々に試されている。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ