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三菱重工名古屋が夏季キャンプ 佐久市出身・引木、地元で2年目の決意語る

【レポート・山﨑竣】
佐久市出身の引木翼投手(20・小諸商業高出身)が所属する三菱重工名古屋(名古屋市)が7月13日~17日、佐久総合運動公園野球場で夏季キャンプを行った。三菱重工名古屋は系列会社のチーム再編によって、今シーズン限りでの廃部が決まっている。地元でのキャンプに参加した引木に、現チームで戦う最後のシーズンへの思いや社会人2年目の課題を聞いた。

↑ 地元の佐久で〝凱旋登板〟した引木

引木は、小諸商高で1年生秋から控え投手としてベンチ入りし、1年秋、2年春には北信越大会へ出場。140キロを超えるストレートを武器に3年夏には20イニング無失点の快投を見せ、同校の2年連続8強進出に貢献した。

卒業後、質の良い直球と将来性が評価され三菱重工名古屋へ入社し硬式野球部に入部。同チームは、引木が高校3年生だった2018年に日本選手権で初優勝。そのときの主戦投手がドラフトで指名されたこともあり、プロ志望の引木は強豪チームの扉をたたいた。

1年目の昨年は、夏頃にわずかにタイミングが狂い、リリースが安定せずに制球を乱した。フォームのバランスも崩れ、ボール自体を投げられない日々を送った。  ルーキーイヤーは公式戦の登板なかったが、「技術面だけではなく、考え方や精神面でも大きく成長できた」と前向きに振り返る。

2年目の春季キャンプに入った3月。三菱重工グループが、21年から横浜、名古屋、神戸・高砂、広島にある硬式野球部4チームを、横浜と神戸・高砂の2拠点(2チーム)に集約、再編することを発表した。

名古屋、広島の選手が現役を続ける場合は2拠点のどちらかに移籍となる予定。従って引木が所属する名古屋は事実上の廃部。シーズン入り直後の発表に、引木もチームメートも驚きを隠せなかった。しかし、その翌日には「今年に懸けよう」とチームがまとまり、引木も前を向いた。

だが、新型コロナの影響で春先は公式戦が中止に。今シーズンの全国につながる大会は12月開催の都市対抗野球のみとなった。

「昨年はチームとして結果が出せなかった(都市対抗、日本選手権ともに東海予選敗退)。今シーズンで引退を決めた先輩、応援してくださる方々、たくさんの人の思いを背負って、今年は日本一を目指したい」と引木。名古屋のユニホームを着て戦うラストシーズンへ気持ちが高まる。

その上で「自分がマウンドに立ってチームを勝たせたい」と引木。現在、オープン戦では主にリリーフでの登板が続いている。与えられた役割でアピールを続け、公式戦のマウンドでチームに勝利をもたらすのが目標だ。

そのために課題になっているのが変化球。最速145㌔の直球で空振りを取れるのが持ち味だが、球威を生かすために変化球の精度向上に励んでいる。

シーズン終了後に希望する選手は横浜、神戸・高砂のどちらかに移籍となる。引木も現役続行を希望し、移籍先で来年はプロ入りを目指す。現チームで挑むラストシーズン、プロへの挑戦。引木はさまざまな思いを胸に腕を振る。

↑ 一回り体が大きくなった引木。シーズン後半の飛躍を誓う

<ひきぎ つばさ>
2000年5月6日、佐久市生まれの20歳。佐久東中(野球部)-小諸商高。2年秋からエースナンバーを背負う。小諸商では2年夏、3年夏に県8強。19年から三菱重工名古屋でプレー。球種はスライダー、カーブ、フォーク、チェンジアップ。背番号11。179㌢、82㌔。左投左打。兄・拓己は2014夏に佐久長聖高で甲子園出場。現在、ハナマウイ硬式野球部(千葉県)でプレー。

 

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