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【社会人野球レポート】上田硬式野球倶楽部が創部 誰もが野球を楽しめるチームを目指して⑥

上田硬式野球倶楽部は、日本野球連盟(JABA)加盟の最初のシーズンを終えた。いきなり新型コロナの試練に見舞われたが、公式戦で初勝利を上げ、活動への認知も広まった。大きな成果を挙げ、新たな課題も見えた加盟元年を振り返る。

【ライター・山﨑竣】

9月の都市対抗1次予選敗退後は、北信越クラブカップと全日本クラブ選手権の予選に出場。北信越クラブカップでは初戦でロキテクノ富山に1ー5で敗戦。来年の全国大会につながる全日本クラブ選手権予選は1勝2敗で1次予選敗退。苦い結果で加盟最初のシーズンを終えた。

「チームとして様々な経験を得る1年になった。オフは来年度一つでも多く勝てるように個人のレベルアップはもちろん、チーム力の向上を目指したい」と、主将を務めた小林広弥(24・篠ノ井高-桐蔭横浜大出)。

格上の企業やクラブチームとの真剣勝負を通して、チームの結束力や細かい連係プレーの精度など足りないものが見えてきた。

↑ 堅実な守備でチームをけん引する主将の小林

新型コロナで活動自粛を余儀なくされたが、公式戦、オープン戦で年間40試合以上行った。

「活動開始当初は、練習場所の確保すらままならなかった。発足から2年が経ち、ようやく選手たちが野球に集中できる環境が構築できつつある」と中島健代表(24・篠ノ井高-長野大出)。

都市対抗予選終了後、寄付金の募集を始めた。「応援したい」という企業や個人から予想以上の金額が集まり、チームの存在や活動の周知を実感できた。 「チームにとって、寄付によるお金で活動することは初めて。感謝してもしきれない」と中島。寄付金は大会に参加するための費用にも充てた。

また、チームを支援する企業を部員の就職先として紹介できるようになるなど、周辺の環境面は着実に整備されてきた。

↑ 多くの支援を受けて大会に臨んだ上田倶楽部

専任の指導者を置かないスタイルは来年も変わらない。公式戦では、守りのミスから失点するケースが目立っただけに守備面の強化は必須。クラブチームということもあり、全選手が常に全体練習に参加できるわけではない。そのため個々のレベルアップを重点に置きつつ、限られた全体練習で連係プレーなどの精度を上げていく。

投手の数も手薄だ。週末に連戦となる日程を考慮すると、主戦の西内巧真(23・須坂東高-松本大出)に続く投手は不可欠。新加入の選手や野手兼任投手の台頭、高校野球未経験ながら今季公式戦でも登板した山﨑惇平(23・須坂園芸高-長野大出)、古田将大(24・小千谷西高-長野大出)の成長に期待がかかる。

↑ 大学から硬式野球を始めた古田将大。高校時代はバドミントン部

「日本の野球の変革」をモットーに、選手たちが自発的に考え野球に取り組むチーム方針は来季も変わらない。心の底から野球を楽しむスタイルを貫き、勝利でモットーを実証していきたい。

(おわり)

↑ 新たな部員も迎えオフシーズンに入る上田倶楽部

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