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縦に紡ぎし湘南の

【大宮vs湘南】レポート:彼らが示した貴い和

■第96回天皇杯全日本サッカー選手権大会 準々決勝
12月24日(土)大宮 4-2 湘南(16:00KICK OFF/NACK/10,297人)
得点者:32’泉澤仁(大宮)70′ 菊地俊介(湘南)93’藤田祥史(湘南)111′ 菊地光将(大宮)118分 菊地光将(大宮)120分 菊地光将(大宮)
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ゲームの入りは上々だった。前線からの鋭いプレスで相手のミスを誘い、ボールを奪われた際の切り替えも淀みない。常と変わらぬ攻撃的な守備からゴールを目指していく。

湘南の圧倒はしかし、ホームチームの展開力と度重なるシュートにやがて押し返される。右にマテウス、左に泉澤仁を擁する大宮のアタックもまた鋭い。GK梶川裕嗣を中心に水際で食い止めるも、32分、泉澤が左から切れ込み、ファーポストを掠めてネットを揺らす。

たとえば先制点の10分余り前にも泉澤のミドルがポストを叩いたように、大宮の攻勢と好機の数を思えば、前半を最少失点で折り返した展開は悪くなかったといえるだろう。だが後半開始間もない52分、奈良輪雄太に2枚目の警告が提示され、湘南はひとり少ない戦いを余儀なくされる。

前半終盤、3バックにシフトしていた湘南は、10人となり、山田直輝を1トップに置く4-4-1に再びシステムを変えた。幾度か大宮にフィニッシュまで持ち込まれたものの、これを凌ぐと、途中出場の長谷川アーリアジャスールや菊池大介がゴールへの推進力を加速さす。そうして70分、長谷川の縦パスから菊地俊介と石川俊輝を経て、そのままボックスに攻め入った菊地が冷静に仕留めた。

追いついた湘南は高山薫がゴールに迫るなど攻勢を駆り、一方の大宮もクロスの先でコーナーキックを重ねて再び湘南を押し込んだ。それでも90分で決着はつかず、勝負は延長戦に委ねられる。

延長戦をまえに組んだ輪の中心で指揮官は言った。「J2に落ちたけど、おまえらは最高のチームだ。このチームで絶対に決勝まで行こう」。目には光るものを湛えていた。

迎えた延長戦、果たして湘南は先にスコアを動かした。キックオフから間もない93分、アンドレバイアのフリーキックに途中出場の藤田祥史が応え、相手ゴール前で競り勝った。かたや大宮も延長後半の111分、キャプテンの菊地光将のゴールで追いつく。ホームチームのさらなる攻勢に、しかし湘南も粘り強い。アンドレバイアがクロスを跳ね返し、島村毅も空中戦で体を張る。シュートブロックは三竿雄斗だ。石川もこぼれ球に食らいつく。それでも大宮は118分に再び菊地が押し込み、120分にも追加点を挙げ、勝負は2-4で決した。

「いまのメンバーでやれる最後の試合になってしまったので、ほんとに悔しいです」キャプテンの高山はチームの想いを代弁するように語った。
「10人になっても諦めない気持ちがあったから得点に繋がったと思うし、チームのためにみんなが頑張れたと思う。負けてしまったけど、みんなで団結して戦うことができた」

「ここまでいろんな道はありましたけど、苦しいときにこそまたひとつになれた。ほんとうにいいメンバーでした」長谷川は語り、島村も「最高にいいチームでした」と胸を張った。

敗れてなお清しさがチームを包む。元日にはたどり着けなかった。けれど彼らは紛れもなく、グッドルーザーだった。

reported by 隈元大吾

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