「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【無料記事】【練習レポート】キャプテンに井林章を任命(2016/02/09)

■井林との対話の面白さ

今日、午前練の前に行われたミーティングで、今季のキャプテンに井林章、副キャプテンに中後雅喜と南秀仁が任命された。井林は2年連続でキャプテンを務めることになる。

「昨年末、『来年も頼むぞ』と冨樫監督からは言われていました。キャプテンとして2年目、責任を自覚する一方、自分からこうしていきたい、新たに変化を加えたいといった考えは特にないんですよね」(井林)

僕が井林を面白い人だなあと思うのは、こういうところである。メディアとの対話で、予定調和に乗ってこない。暗黙のサイン交換を行い、速球を要求するこちら側のミットに、ふわんとスローボールを投げ込んでくる。大抵の選手だったら「J1昇格の目標を達成するために、自分が成長し、より力強くチームを牽引できるように」とかなんとか、収まりの良さそうな言葉を見つけるものだ。一方で井林は、ときにチームメイトのミスを厳しく指摘するなど、聞いていてドキッとするような突っ込んだ発言をしたりもする。

過日、他クラブから好条件のオファーを受けながら、東京ヴェルディに残留を決めた理由を訊ねたときもそうだった。

「それほど悩まなかったですね。わりとすぐに答えは出ました。ひとつは、新しいチームに移籍し、フラットな状態から積み上げていく、同時に自分の評価も定まらないなかでスタートするのはどうなのかなと思ったこと。選手としては、今年と来年が勝負だと思っています。そこでさらに評価を高められれば上が見える。逆に評価を落とすようではJ2止まりの選手ということです。昨年の好調時は失点が少なく、チームに一体感があった。終盤戦の失速はそこの差。自分たちはチーム力として身につけられていなかった」

じつにクールな回答である。クラブ愛を語るのに絶好の機会を、あっさりスルーしてみせた。続けて、東京での生活が肌に合っているのかと訊いたときはこうだ。

「生まれ育った広島、大学時代を過ごした関西、プロになってからの関東。そのなかでは関西での生活が自分に一番合っている気がします。空気感のようなものが」

東京暮らしが気に入っていると言っておけばいいじゃないですか。民放のアニメのラインナップが充実しているし。でも言わないんだよ、井林は。こういったメディア泣かせの一面が、僕はとてもユニークに感じられる。

「どうなんでしょう。当たり前のことを言ったところであまり意味がないし、きれいごとを言うのも好きではない。この体格でセンターバックをやろうとするのもそう。現代サッカーでは、サイズが足りないことを理由に厳しいと見られる。それならなおさら勝負してやろうと思った。そういう性質なんです」

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