「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【無料記事】【トピックス】『田村直也が現役引退を発表』(19.10.31)

田村直也は粘り強いディフェンスを身上とし、最終ラインから中盤までどこでもこなすユーティリティプレーヤーだった。

田村直也は粘り強いディフェンスを身上とし、最終ラインから中盤までどこでもこなすユーティリティプレーヤーだった。

■できるだけ多くの人たちに感謝の気持ちを

田村直也が13年間のプロ生活に終止符を打つ。

31日、東京ヴェルディは、田村が今季をもって現役から退くと発表した。東京Vのアカデミーで育ち、中央大を経て、2007年ベガルタ仙台に加入。2014年、東京Vに移籍し、キャプテンを務めるなどピッチ内外でチームを支えてきた。

「今年か、来年が最後だろうという気持ちではいました。自分はこのクラブに拾ってもらった身ですから、ほかのチームにいく考えはなかったです。できれば、最後に何か形になるものを残して去りたかったなと。近頃、プレーヤーとして試合に絡めないことが多くなっていましたが、どんなときでも自分は100%の力を出してきたつもりですから、後悔は少しもないです」

今季、残すところ4試合。この時期に公表してほしいとクラブに願い出たのは田村なりの考えがある。

「少し早めに発表したのは、最終節までの間にできるだけ多くの人たちに感謝の気持ちを伝えたかったので。お世話になった方々はたくさんいます。思えば、人のためにプレーするという意識が高まったのは、ここに帰ってきてからかもしれませんね。仙台時代はそこまで自分の器の大きさがなかった。いろいろな経験を積み、そういう心が芽生えたような気がします」

田村の惜しみない献身的な姿勢が後進に与えた影響は大きいはずだ。

今後については未定。シーズン終了後、セカンドキャリアの進路が見えてくるだろう。

「クラブとも話し合っているところで、もうちょっと考える時間がほしい。あと少し、最後まで100でやりますよ。おれのことを認めてくれる、好きだと言って応援してくれる人はそこを見ているでしょうから」

13年間で積み上げた数字は、現時点でJ1通算86試合1得点、J2通算230試合7得点。東京Vでは苦しい時代に屋台骨を担ってくれたひとりで、その存在は数字以上の重みを持っている。

去りゆく後ろ姿に、めいっぱいの拍手を。稀代のファイターを盛大に送り出したい。

 

練習後、晴ればれとした表情で囲み取材に応じる田村直也。

練習後、晴ればれとした表情で囲み取材に応じる田村直也。

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