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【無料公開】「タイガーマスクは意識していなかったです」 ティガーマスク(ヴァンラーレ八戸サポーター)<1/2>

本当は猫のマスクが欲しかった

——ここから、ティガーさんご自身のお話をお伺いしたいと思います。もともとサッカーをやられていたんですか?

ティガー そうですね、小学校1年生から。いちおう年齢は非公開なんですけど(笑)、ずっとサッカーばっかりやっていました。

——ちなみにポジションはどこだったんですか?

ティガー FWですね。今はこんな体型ですけど(笑)、いちおう国体にも出て、ジェフ市原の練習生にもなったんです。その当時、城彰二っていうのがいたんですけど。

——え、城と一緒にやっていたんですか?!

ティガー 思い切り年齢がバレてしまいますが(笑)。結局、城は入団が決まっていたんですけども、自分はそこから上に行けなくて。

——いやあ、すごい話ですねえ。世が世なら、リトバルスキーと一緒にプレーしていたかもしれないと。つまり、もともとは生粋のプレーヤーだったティガーさんですが、それがヴァンラーレを応援する側に回ったきっかけは何だったのでしょうか?

ティガー ヴァンラーレ八戸の前身は、南郷FCというチームと八戸工業OBというチームだったんですね。自分は南郷でプレーしていて、06年にヴァンラーレができたんですけど、県リーグに辿り着いたあたりで自分もだんだん動けなくなってきて。

——青森県リーグまではプレーしていたと。

ティガー そうです。でも、さすがに東北リーグになると仕事の都合もあって引退したんですが、そうしているうちにヴァンラーレになったんですよね。自分は仕事で、札幌とか仙台、あとは盛岡とか秋田あたりを回っていたんですけど、震災直前の2010年に八戸に戻ってきて、それで「応援しようかな」と。

——2010年というと、確かまだ東北2部でしたよね?

ティガー 2部です。12年に1部に昇格したんで。実はその当時から、私は『美装good』という会社で働くようになって。今のヴァンラーレのスポンサーなんですけど。

——美装goodというのは、どんな会社なんですか?

ティガー リフォームですね。建築業です。で、私は営業担当だったので、社長から「ヴァンラーレの応援に行ってこい」と言われて。ただ、そのままで応援するのは、他の社員への印象が良くないだろうということで、それでマスクを被って応援するようになって。

——なるほど、そういう事情があったんですね。虎のマスクにした理由はなんですか?

ティガー 私が飼っている猫がいるんですけど、「ティガ」って名前の虎柄なんですね。それで猫のマスクがほしくて、ドンキに行ったら虎のマスクしかなくて(笑)。「まあ、猫みたいだな」っていうことで、このマスクを被るようになったんです。

——それはおもしろい発想ですね。つまり飼い猫のティガちゃんと、ヴァンラーレを応援しているティガーさんは、実は一心同体であったという(笑)。ちなみに、梶原一騎の原作でアニメにもなった『タイガーマスク』については、どれだけ意識されていたんでしょうか?

ティガー いやあ、ぜんぜん眼中になかったですね。後からタイガーマスクって言われて、そういえばそういうのもあったなあという感じで、実はまったく気にしていなかったです(笑)。

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