宇都宮徹壱ウェブマガジン

【無料公開】「タイガーマスクは意識していなかったです」 ティガーマスク(ヴァンラーレ八戸サポーター)<2/2>

「ヴァンラーレ」という名前へのこだわり

——そろそろまとめに入りたいと思います。ティガーさんは青森にJクラブができることで、何が変わっていくと思いますか?

ティガー 自分の中では、サッカーに対する関心度が上がるんじゃないのかなって思います。今はJFLで戦っていますが、それまでは社会人サッカーで東北リーグが精いっぱいだったので、これがJリーグとなればかなり変わってくると思います。もうひとつは子供たちですよね。これまでは青森山田ばかりが強いんですけども、今後はヴァンラーレの育成チームが受け皿になってくるので、さらにいい選手が出てくるんじゃないかと。

——現時点では、ヴァンラーレの育成年代はどうなっているんですか?

ティガー 今はユース、U-15、U-12というカテゴリーがあります。もともとヴァンラーレって、トップチームよりもそっちがメインだったんで。

——そこはむしろ将来のJリーグ加入に向けたアピールポイントになりそうですね。あとはスタジアムが予定通りに完成すれば、J3入りはかなり現実的な話になっていくと思いますが。

ティガー そうなんですけど、自分の中で心配しているのはむしろ観客の動員数ですね。J3を目指すのであれば、(平均入場者数は)2000人くらいほしいところですが、現状では700~800人くらいなので。ただし、自分がマスクを被って応援し始めた時代で400~500人くらいでしたから、JFLに上がってからはかなり増えたと言えますね。

——地元の皆さんは、サッカーに関心がないというわけではなくて、単に知らないだけなんじゃないですかね。

ティガー そうだと思うんですよ。単に知らないんですよね、きっと。だからもっともっとプロモーションをしていく必要があると思います。

——さすがにJFLだと、地元局での応援番組はまだないですか?

ティガー いちおう青森放送で『ヴァンラーレTV』っていう5分間番組があるんですけどね。毎週金曜日の10時50分くらい、『金曜ロードショー』の後に試合結果とか試合告知とかを流しています。あとインターネットでは『vanraureTV』というのが、毎週水曜日にアップされています。

——あらためて、ディガーさんのヴァンラーレへの想いの源にあるものを教えていただけますでしょうか?

ティガー 自分がこのヴァンラーレを応援する一番の理由というのは、クラブの名前にこめられているんですよ。ヴァンラーレっていう語源が「南郷」という意味なんですが、実はそこが自分の生まれ故郷なんです。八戸市と合併して、もう10年以上経つんですけど。

——そうだったんですか。今はもう地名として残っていない?

ティガー いちおう残ることになりました。ただ、いずれ自分たちの世代が死んでも「ヴァンラーレ」っていう名前が残ることで、ずっとずっと南郷が残っていってほしいなと。もともと町おこしで始まったのが南郷FCです。カテゴリーが上がっていくことも確かに重要なんですけど、それ以上に大事なことは、八戸の地域の人たちにヴァンラーレを好きになってもらって、ホームゲームには毎回5000人くらい集まってお祭り騒ぎできればいいなと。それが実現したら、僕はティガーマスクを引退してもいいかなと思っています。

——私もこのカテゴリーの取材を10年続けていますけど、今、Jクラブとして頑張っている松本山雅もV・ファーレン長崎もカマタマーレ讃岐も、少し前までは地域リーグのクラブでしたからね。そう考えれば、ヴァンラーレも10年後は今とはまったく違った姿になっている可能性は十分にあると思いますよ。

ティガー そうなるといいんですが。

——それでは最後に、八戸で試合を観に行く人のために、地元のアピールをしていただけますでしょうか?

ティガー ヴァンラーレのゴール裏には、自称「世界一の大漁旗」があるんですが(笑)、八戸って港町で魚がとても美味しいんです。八戸にいらしたときには、ぜひとも『みろく横丁』という屋台村を訪れていただければ、美味しい魚も酒もあります。特に『八仙』という、ヴァンラーレの胸スポンサーになっている酒蔵のお酒は、ぜひとも楽しんでいただきたいと思います。

——さりげなくスポンサーをアピールするところはさすがですね(笑)。私も八戸を訪れた際は、ぜひともみろく横丁を訪れたいと思います。今日はありがとうございました!

<この稿、了>

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