宇都宮徹壱ウェブマガジン

【無料公開】森保監督「ゼロで終わる試合ではなかった」コロンビア戦会見(2019年3月22日@横浜)

<登壇者>

日本代表 森保一監督

 まずは日産スタジアムに多くのサポーターの皆さんが駆けつけてくれて、メディアの皆さんを通して多くの皆さんが日本代表を応援してくださった中、ホームでの戦いで勝利を届けられなかったことを残念に思います。

 試合は前半立ち上がりでピンチがありましたが、選手たちがアグレッシブに相手のボールホルダーにプレッシャーをかける、そこで粘り強くボールを奪ったり、いい守備からいい攻撃をしたりというところで、プレッシャーをかける、粘り強い守備をする。そしてチャンスを作れたところで得点できなかった部分は、ゼロで終わる試合ではなかったと思います。前半のうちに1点を奪えればと思っています。

 後半になって相手が前半よりのプレッシャーをかけてきて、そこでボールを上手く動かすことができなかった、あるいは前半のプレス回避の部分で全員一線での起点を作る、あるいは前線でバトルしてこぼれ球を拾っていく、相手に攻撃をさせないという部分で、後半は前線であまり起点が作れず、相手にボールを握られて守備の時間が長くなって失点につながったのかなと思っています。

 そういった意味では試合を通して、前半のインテンシティをチームとしてできればと思っています。しかしながら後半は相手に押し込まれる中、代わった選手たちがいい準備をしてくれて、流れを引き戻して相手ゴールに迫って行けました。そこの部分では、結果や勝利にこだわるとともに、いろんな選手を試合の中で起用しながらというところで、結果はついてきませんでしたが、相手に圧力をかけたことで選手は最後まで戦い抜いてくれたと思います。

──これまで呼べなかった選手を使ってベースアップを試みたが、チームに新たなものをもたらした、あるいは手応えが得られた選手はいたか?

 後半に交代で入ってくれた選手、今日は起用できなかったですが、練習の中でいいプレーを見せてくれた選手は、この短い期間のトレーニングの中でも起用したい選手はいました。実際に試合を通して、後半の流れがなかなかつかめない中で引き戻してくれた選手は、やはり力があるなと思います。結果にこだわって戦うことを忘れてはいけないと思います。

 ただこれまで、私がA代表の監督になって活動してきた中で、もっと多くの選手に代表の戦力として計算できるという部分、選手層を厚くしてチームとしてベースアップを図っていかなければ、ここからのアジア予選、将来の日本代表の強化という部分では、今日の途中から出てくれた選手は可能性を見せてくれたと思いますし、代表の活動の中で十分に力を見せてくれたと思っています。

──前半に1点取るべきだったということだが、いいシュートのすべてがペナルティーエリアの外だった。相手を崩しきってのシュートはほとんどなかったが、その点はあまり気になってないか?

 崩してペナルティーエリアに入れなかったという部分は、おっしゃるとおりだと思います。そこはより確実に得点チャンスを演出できるようにというのは、チームとしてレベルアップしていかないといけないと思います。

 コロンビアの中央の守備は非常に固かったと思いますので、クロスからというところ、得点チャンスにもっとつながっていいような、相手にとってピンチとなるシーン。われわれにとっては決定的なチャンスというところは、サイドからの攻撃のところでクロスがどこに入るかという部分でやっていければ、ペナルティーエリアの中でのシュートにもっていけたと思います。

 中央からの突破も含めて、サイドからの突破ができたところで、しっかり中で合わせられる、チームとしての共通理解ができればと思います。

──後半はコロンビアが圧力をかけてきて、1対1で難しい場面が多くなったが、守備の課題は?

 守備の課題という意味で、攻守にわたってインテンシティを前半のように高くするようにという部分は、試合を通して守備につなげられればと思います。

 守備の部分で、相手に対して対応するのはもちろんですけど、われわれがボールをロストして守備をしなければならない局面が増えたという部分では、前線に人数をかけてプレッシャーに来ているということは、どこかにスペースがあるわけです。そういうところに予測と運動量をもって素早くポジショニングを取る、ボールを動かしていけるということは、これからのチーム強化でやっていかないといけないと思っています。

 先ほどの「ペナルティーエリアの中になかなか入っていけない」という部分では、今日は(中島)翔哉や(堂安)律がシュートを打った中で、ペナルティーエリアから5メートルとか10メートルは、世界のサッカーを見渡してみてもシュートエリアだと思います。そこは日本の選手が狙って打てるようになっている部分は、ポジティブにとらえていきたいと思います。シュートレンジが広げられることによって、また中に入っていける。(南野)拓実がターンしてシュートが打てるとか、そういった局面も作っていけると思います。

 ミドルシュート決められるようになれば、相手も出てくるとので、日本の選手の個の突破や連携や連動が生きてくると思います。(崩しもミドルも)両方とも上げていければと思います。

──層を厚くする段階の中で課題と収穫があったと思うが、ロッカールームで選手にはどのような声をかけたのか?

 まずは結果としてホームで勝てなかったこと。勝利にこだわることができなかったことは、勝利を得られるように、内容がどうであれ戦っていかないといけないと選手に伝えました。あとは、今お話したことを伝えました。

 前半の戦い方という部分でのインテンシティを後半も保つこと。相手がプレッシャーをかけてくる中で、プレス回避をする部分。それができなかったので、守備で押し込まれる部分が多くなり、難しい守備の対応をしなければならなくなったので、守備自体はもちろん相手がプレスをかけてきた中でどう回避するか、やっていけるようにしようと言いました。

 今日は01で負けたということで、世界のトップトップの強豪国を相手に無失点で戦えれば、それはそれで目標として試合に臨まなければならないですが、なかなかそこは難しいと。最小失点で抑えながら、攻撃の部分で得点できなかったという試合ではなかったと思います。その意味では、1点を奪っていけるようなクオリティをもって、次の試合を戦っていこうと言いました。

──スタメンで出場していた選手、つまり鈴木武蔵についての評価は?

 彼に対しての評価ですが、非常に前半よくチャンスに絡んでくれたと思いますし、ボールを握る部分で難しい時にも前線で身体を張ってくれてマイボールにしたり、あるいは相手を自由させなかったり、ということやってくれたと思います。

 前半にかなり飛ばしていたので、後半になって少しプレーの部分で運動量とクオリティで落ちたところがあったと思います。そこは今後、上げていってもらいたいところではありますけど、今日出場した中で決定的なチャンスを迎えて、スピードでもフィジカルでも相手に嫌がられる存在であることは十分示してくれていたと思います。今後さらに、今日の経験を踏まえてパワーアップ、レベルアップしてくれればと思います。

<この稿、了>

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ