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宇都宮徹壱ウェブマガジン

【無料公開】あの日、あの取材をあの場所で(2016年9月6日 タイ代表vs日本代表@バンコク)

 9月に入ってからも、取材現場から遠ざかる日々が続いている。依然としてJリーグの超厳戒態勢は続いており、こちらも11月発売予定の書籍の準備が続いているので、不要不急の取材は控えるようにしている。もっとも、天皇杯が始まるタイミングで地方取材を再開する予定なので、それまでは粛々と執筆に集中する所存だ。

 そんな中、Facebookは何年か前の「あの日」の写真を、ユーザーにこっそり教えてくれる。シェアボタンを押せば友だちにも共有できるのだが、個人的な思い出をわざわざ共有することには、いささかの抵抗を感じていた。シェアするだけの価値があるとすれば、それは取材現場に関するものだろう。とりわけ試合であれば、他の誰かも観戦していて、思い出の共有も可能だからだ。

 そんなわけで、過去の取材現場での「あの日」を、WMの無料コンテンツとしてシェアする企画を思い立った。題して『あの日、あの取材をあの場所で』。第1回は4年前の2016年9月6日、バンコクのラジャマンガラで行われたワールドカップ・アジア最終予選、タイ代表vs日本代表の思い出を振り返ることにしたい。まずは、当時の日記から引用しよう。

 昼ごろ、カオサンで昼食を摂ってシャワーを浴び、15時にラジャマンガラに出発。タクシーで30分くらいの距離なので、余裕を見て受付開始の1時間前にホテルを出たのだが、バンコクの渋滞を甘く見ていた。結局、現場到着に1時間20分もかかってしまったのだが、料金は幸い200バーツ(約600円)で済んだ。

 キックオフ2時間半前の時点で、スタジアム周辺は青いレプリカを着た地元サポーターたちでごった返し、何やら発煙筒を焚いているグループもいたので撮影する。以前、取材させていただいた、タイのプロクラブで指導している神戸清雄さんにばったり再会。「どっちを応援するか迷っているんですよね(笑)」って、そんなにタイにどっぷりなんですか? と思わず突っ込みたくなった。

 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督率いる日本代表は、ロシアに向けた最終予選の初戦、ホームでUAEに1-2で敗れるという失態を犯してしまう。日本が組み込まれたのは、UAEやタイの他に、サウジアラビア、オーストラリア、イラクもいる、比較的タフなグループ。よって、アウェーのタイ戦も「絶対に負けられない」試合となった。

 結果は、原口元気と浅野拓磨のゴールで、日本が2-0で勝利。「収穫は勝ち点3のみ」という試合内容だったが、とにかく勝ち点3を持ち帰れることに深い安堵感を覚えた。試合終了後はスコールに見舞われ、ラジャマンガラの周辺は洪水のように道が雨水で溢れていたことを思い出す。現地のねっとりした湿気、そして甘辛い匂いは今でも鮮明だ。

 あれからちょうど4年。コロナ禍がなければ、今頃はワールドカップ最終予選が始まっているはずだった。しかし現状は、アジア2次予選は4節分を残したまま中断。最終予選がいつから、どのような形で開催されるのか、こちらも見通しは立っていない。そうして考えると、4年前のあの日の思い出は、さらに重みを増したものに感じられる。

<この稿、了>

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