J2終盤戦展望スペシャルLIVE(J論)

宇都宮徹壱ウェブマガジン

【無料公開】なぜ福山シティFCは「第4世代」なのか? その答えは『フットボール風土記』を読めばわかります

 12月26日、阿佐ヶ谷ロフトAで開催された『燃えろ!J2党』にゲスト出演させていただいた。今年は2月のマスコットイベント以降、まったく人前に出る機会がなかっただけに、サッカー仲間の皆さんとの久々の交流は実に楽しいひとときであった。また当日は『フットボール風土記』の販売とサイン会の場もいただき、多くの方々にお買い上げいただいた。この場を借りて、御礼を申し上げたい。

 さて今回のイベントでは、新著のテーマである「土地とフットボール」を枕にして、日本サッカーのピラミッドの中腹を取材することで見えるものについて、40分ほどお話させていただいた。その中で特に観客の反応が良かったのが「コロナ禍と『第4世代』の登場」について。いわゆる「Jを目指すクラブ」について、私は第1世代から第3世代までを定義づけしているのだが、今般のコロナ禍によって新たに第4世代が登場した──というのが私の見立てである。

 第1世代は、2002年のワールドカップが契機となって生まれた、アルビレックス新潟と大分トリニータである(このビッグイベントがなければ、20世紀のうちに新潟と大分にJクラブが誕生することはなかっただろう)。第2世代は、新潟や大分の成功事例に触発されて「わが県にもJクラブを!」と立ち上がったクラブ。松本山雅FCやV・ファーレン長崎やファジアーノ岡山FCなどが代表例で、こうしたムーブメントは2005年前後から全国で同時多発的に起こっている。

 それから10年近くが経ち、全国津々浦々でJクラブが誕生する中で、今度は「県内に新たなJクラブがあってもいいじゃないか」という機運が生まれる。作るからには、より明確な存在意義が求められる。結果として、スポーツによる「地方創生」や「地域の課題解決」が語られるようになり、FC今治やいわきFCが第3世代として注目されるようになった(クラブのリブランディングで注目を集めた、奈良クラブもここに加えてよいだろう)。

 実は『フットボール風土記』をまとめるにあたり、当初はこの第3世代を中心に組み立てようと考えていた。そこにコロナ禍が直撃。そのダメージはJリーグのみならず、アンダーカテゴリーにも多大な影響を及ぼしたが、一方で思わぬ副産物をもたらすこととなった。それが、第4世代の登場。本書でも章を設けた福山シティFCやクリアソン新宿は、まさに第4世代の騎手であり、コロナ禍の時代ゆえに光を放つ存在として注目に値する。

 このうち福山については、広島県1部ながら天皇杯の準々決勝に進出。ブラウブリッツ秋田に1-3で敗れたものの、カテゴリーが3つ上のJ3王者に対して「ジャイキリ」を予感させる戦いを見せていた。メディアの関心は22歳の青年監督ばかりに向けられていたが、クラブが新世代の指導者を重用している理由について言及した記事は、私が知る限りひとつもなかった(実はそこにこそ、福山が第4世代の騎手たる所以があるのだが)。

 今回の天皇杯で、福山シティFCの存在を初めて知った人。あるいは、3つのJクラブで活躍した小林祐三が、プロ生活を終えて加入するクリアソン新宿のことが気になる人。あなた方は間違いなく、本書の読者だ。これら第4世代のクラブについて、初めて詳細にレポートした本書を、ぜひとも手にとっていただきたい。書店で見つからない場合は、私が店主を務めるECサイト『徹壱堂』でもお求めいただくことができる。お買い上げいただいた皆さんには、もれなく著者の直筆サイン入りでお届けする。年末年始のひとときを、本書でお楽しみいただければ幸いである。

 

第1章 かくも厳しき全国リーグへの道

全国地域サッカーチャンピオンズリーグ(2016年)

第2章 親会社の都合に翻弄されて

三菱水島FC(2017年)

第3章 県1部からJリーグに「否」を叫ぶ

いわきFC(2017年)

第4章 女川町にJFLクラブがある理由

コバルトーレ女川(2018年)

第5章 ワールドカップとJFLをつなぐもの

FC今治(2018年)

第6章 世界で最も過酷なトーナメント

全国社会人サッカー選手権大会(2018年)

第7章 サッカーを変える、人を変える、奈良を変える

奈良クラブ(2018年)

第8章 アマチュア最高峰であり続けるために

FCマルヤス岡崎(2019年)

第9章 最大の「Jリーグ空白県」でのダービーマッチ

ホンダロックSC & テゲバジャーロ宮崎(2019年)

第10章 なぜ「71番目のクラブ」は注目されるのか?

鈴鹿アンリミテッドFC(2019年)

第11章 北信越の「Fの悲劇」はなぜ回避されたのか?

福井ユナイテッドFC(2019年)

第12章 クラブ経営の「属人化」をめぐる物語

北海道十勝スカイアース(2019年)

第13章 令和最初のJFL昇格を懸けた戦い

全国地域サッカーチャンピオンズリーグ(2019年)

第14章 蝙蝠と薔薇の街で胎動する「令和的戦略」

福山シティフットボールクラブ(2020年)

第15章 多様性の街で「世界一のクラブ」を目指す理由

クリアソン新宿(2020年)

<この稿、了>

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ