【サッカー人気3位】【山雅探報】J2残留へ!元川悦子が松本…

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なぜ勝ち点3は「しれっと」奪われてしまったのか 罰則だけでは解決しない「エントリー不備」の問題

「それまで2位だったのが、いきなり6位ですよ。それだけ、勝ち点3には重みがある、ということなんです。そもそも順位に関係なく、勝つというのは大変なことですよ。同じ懲罰でも0−3になるのではなく、罰金のほうがまだよかったですね。まあ、ウチはそんなに裕福ではないですけど(苦笑)」

 オンラインの画面の向こう側で語るのは、福島ユナイテッドFCの竹鼻快GMである。竹鼻さんには、今年の6月に当WMにご登場いただいたばかり(参照)。今回、再び取材させていただいたのは、竹鼻さんが「エントリー不備」問題の当事者となってしまったからだ。この問題については浦和レッズが、Jリーグ出場の登録で必要となる新型コロナウイルスの指定公式検査を受けていない選手を出場させ、結果として没収試合となっていた。浦和は8月19日、CAS(スポーツ仲裁裁判所)に提訴。その前日、今度は福島が没収試合のペナルティを受けている。

 浦和の場合、2−3で敗れた湘南ベルマーレ戦が0−3となってしまったが、福島は2−0で勝利した試合が没収試合となっている。今季のJ3は、上位チームが混戦模様。懲罰が決定する以前、福島は首位のカターレ富山と同勝ち点(26)の2位だった。それが勝ち点で3、得失点で5、それぞれ引かれることになり、当然ながら順位にも変動をきたすこととなった。Jリーグが開幕して今年で28年だが、事実上の「勝ち点剥奪」が行われ、それが順位にまで影響を及ぼすというのは前代未聞のことである。

 2014年の「JAPANESE ONLY」事件の際、浦和に課せられたペナルティは勝ち点剥奪ではなく無観客試合。この処分は当該クラブのみならず、懲罰を課したJリーグにもトラウマを残すこととなり、コロナの中断明けの無観客試合には「リモートマッチ」の名称が与えられることとなった。ところが今回、それよりもはるかに重い罰が下されたのに、そのことに対する深刻さがまるで伝わってこない。言葉は悪いが、勝ち点3が「しれっと」奪われてしまったようにさえ見えてしまう。そこに、重大な危機を覚えずにはいられなかった。 

 あらためて、問題の経緯について振り返ることにしたい。福島の公式サイトに記載されたものを集約すると、以下のとおり(文中の「本件選手」とは、出場資格がなかったにもかかわらず、公式試合への不正出場があったと認められた選手のことである)。

・4月21日、クラブ内で新型コロナのクラスターが発生。多くの選手が感染、もしくは濃厚接触者に認定されて隔離される。

・4月29日、Jリーグの指定公式検査が実施されるも、本件選手は隔離中のため同検査を受検することができず。

・4月30日、検査結果が反映されたエントリー可能者リストが更新される(この時、本件選手は記載されず)。

・5月14日(試合2日前)までに、本件選手にPCR検査及び抗原検査が実施され、いずれも陰性判定を得た(ただしJリーグの指定公式検査ではない)。 

 ここまでが試合前の経緯。ここからは5月16日の試合当日(vsヴァンラーレ八戸@郡山西部サッカー場)における経緯である。

・試合前、福島の運営担当者に対してMC(マッチコミッショナー)から、本件選手がエントリー可能者リストに記載がないとの指摘があった。

・さらにMCから、本件選手について「エントリー可能者リストに記載がなくても、陰性判定証明ができれば試合に出場することができる」との説明があった。

・そこで運営担当者はMCに対し、本件選手の抗原検査における陰性判定の結果を提出。MCは本件選手が出場可能であることを認め、Jリーグメンバー提出用紙に署名。

・本件選手は試合にエントリーし、スターティングメンバーとして出場。

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