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宇都宮徹壱ウェブマガジン

私がWM(ウェブマガジン)で執筆する理由

■あなたが最後に雑誌を購入したのはいつですか?

本題に入る前に、このページに辿り着いた皆さんにいくつか質問をしてみたいと思う。

(1)あなたが最後に雑誌を購入したのはいつですか?
(2)あなたは最近のサッカー雑誌を面白いと思いますか?
(3)知り合いのライターがSNSなどで「●●●(雑誌名)でXXXの記事を書きました。ぜひ読んでください!」と発信したとき、あなたは雑誌を購入して読みますか?
(4)気になっているライターが新著を出したら、あなたは購入しますか?

いちおう、私自身の回答を書いておこう。

(1)については、1年前に某週刊誌を資料として買ったのが最後だ。よほど気になる特集とか、資料として必要でないと買おうとは思わない(当然、定期購読もしていない)。

(2)については、献本をいただいているのでいちおう目を通しているが、申し訳ないけれど昔のようなワクワク感はなくなってしまった。もちろん、それぞれに興味深い記事はあるけれど、雑誌全体に対して満足することは、最近はほとんどなくなった。

(3)については、SNSで見かけたときは「読んでみようかな」と思うものの、忘れていることのほうが多い。覚えていたら、書店やコンビニで立ち読みすることもあるが、それでも雑誌そのものを購入することはない。

(4)については、面白そうな内容だったらネットですぐに購入する。さらに、読んでみて「これはお勧め!」と思ったら、SNSで言及もするしWMで著者インタビューも検討する。

■書き手として生き残るための方法は大きく3つ

以上が私の回答である。献本をいただくとか、個人メディアを持っているといった仕事上の特殊性を差し引いても、皆さんの回答とさほど大きな違いはないと思う。

つまり、(1)最近は雑誌をほとんど買っていなくて、(2)サッカー雑誌もかつてほど読まなくなり、(3)どうしても読みたい記事は立ち読みで済ませ、(4)けれども面白い本があったら購入する──。少なくとも、ここのページまで辿り着いた方のほとんどは、こうした傾向を共有していると思う(逆に現状の専門誌に満足している方なら、このページを読むことはないだろう)。

雑誌が読まれなくなった理由は、さまざまな複合的な理由が考えられる。が、2000年代半ばから顕著になったネットメディアの伸長、そして2010年代からのスマートフォンの普及が大きく影響していることは間違いない。多くの記事が無料で手軽に、しかもスピーディーに読めるのだから、既存の雑誌が太刀打ちできるはずもない。一方で書籍に関しては、電子版が主流となっているのはビジネス書などの一部のジャンルにとどまっており、まだまだ紙で買って読みたいという読者は根強く存在する。

そうした中、書き手の立ち位置というものも、この5~6年の間で大きく変化している。サッカーに限定して言えば、紙媒体での発表の場がどんどん失われ、ネットメディアの原稿料は紙に比べて低くめに抑えられている。廃業することなく、書き手として生き残るための方法は大きく3つ。媒体を変えるか、ジャンルを変えるか、そしてメディアを変えるか。以下、具体的に解説する。

■読み応えのあるコンテンツを確実に提供したい

まず、「媒体を変える」。これは要するに、一般週刊誌に売り込んで発表の場を確保することである。専門誌に比べて、週刊誌の原稿料はまだまだ「高止まりしている」と聞く。上手くすれば、取材費も出してもらえるかもしれない。次に、「ジャンルを変える」。これは、野球や体操やフィギュアスケートといった他競技に進出する、あるいはスポーツ以外のルポルタージュに仕事の領域を広げる、という意味である。

私自身、肩書を「サッカーライター」ではなく「ノンフィクションライター」としており、本来であればサッカーだけにこだわる必要はないのかもしれない。とはいえ、専門誌が売れていなくても、面白いサッカー本にはきちんと読者は付いている。それは、アマチュアサッカーというマニアックなジャンルを扱った拙著『サッカーおくのほそ道』が、発売から間もなくして増刷されたことからも明らかだ。

もしも私が、媒体やジャンルを変えることに成功していれば、ノンフィクションライターとして今以上の収入を得られたかもしれない。しかし、それ以上に「自分の書いたものをきちんと読者に届けたい」という思いのほうが、私の場合は強かった。加えて私は、サッカー業界とサッカーファンに対して、少なからぬ恩義を感じている。書き手として日本サッカー界に貢献したいし、専門誌だけでは飽き足らない読者には読み応えのあるコンテンツを確実に提供したい。その上で、最低限のフィーを確保するにはどうすればよいのか。

そこで見つけた第3の道が「メディアを変える」であった。スマートフォンで気軽に読める、課金制のメディア。それがタグマ!による『宇都宮徹壱WM(ウェブマガジン)』である。

■書き手のフロンティアであり「終の棲家」でもあるWM

WMというメディアは、紙メディアやネットメディアとは異なる「新しいメディア」である。が、私はWMに別の可能性を感じている。すなわちWMは、出版業界やサッカー界の浮き沈みに関係なく、書き手が生き残るためのフロンティアとなるのではないか──。そんな仮説をもとに、この新しいメディアをスタートさせた。と同時にWMは、書き手である私にとっての「終の棲家」になるかもしれない、とも考えている。

50歳になった16年、私は紙媒体での連載をすべて失った。当時の危機感は相当なものであった。今のところは『スポーツナビ』や『フットボール批評』といった媒体に発表の場を定期的にいただいているが、10年後も同じ状況が続いている保証はない。自分ではいくら精進しているつもりでも、齢を重ねるたびに書き手としての市場価値が下がっていくことは不可避であろう。

やがて遠からず、メディアで「宇都宮徹壱」の名前を見かけなくなる時が、きっと来るはずだ。最後の砦となるが、この宇都宮徹壱WMというメディアである。すなわち、ここが私にとっての最終ラインであり「終の棲家」でもあるのだ。そして、この「終の棲家」さえも、いよいよ維持できなくなったならば、それは書き手としての私のキャリアの終焉となろう。

当WMは、その利便性をフルに活かして、自分の好きなこと、関心のあること、そして日本サッカー界に必要と思われることを、徹底的に追求する。そして当メディアを支えるのが、会員の皆さんからの月々の購読料である。より多くの皆さんに会員になっていただけるよう、ここに切にお願い申し上げる次第だ。

『宇都宮徹壱WM』編集長兼主筆 宇都宮徹壱 拝

※写真家・ノンフィクションライター、宇都宮徹壱のプロフィールはこちら

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