「栃木フットボールマガジン」鈴木康浩

【無料掲載】エスクデロ競飛王が「諦めない」理由。「僕が栃木SCにどうしても根付いてほしいのは、小さなクラブではないということ」【トピックス】(20.11.19)

▼俺たちはJ1を目指すクラブなんだ

残り試合数が少なくなっていく中で、徳島に負けた、北九州に負けた、という現実を突き付けられると、誰しも現実的なものの見方をして、現実的なスタンスを取ろうとする。

だが、そのなかで「J1昇格を諦めない」という言葉を発し続けてきた選手がいる。エスクデロ競飛王だ。取材現場で、自身のSNS上で「残り9試合全力でJ1を目指す」「クオリティをあげる、残り8試合絶対に諦めない」と発信をつづけてきた。

負けたあとでも、あえて言葉に紡ぎ出すことには理由があるように思えた。ただ単に、可能性がある限りは頑張る、ということではなく、キャリアの経験上からくるものなのではないかと。

18日の練習後の取材で、エスクデロが明かした。

「サッカー選手としての経験からです。2012年に僕がFCソウルに行ったときにはまだ2位でした。1位の全北と勝ち点17差ぐらい離れていたんですが、結果、4か月ぐらいで勝ち点13差で優勝したことがあるんです。僕が行ったときはほぼすべての人間が諦めていたし、優勝はまず不可能と言われている中で、1回か2回引き分けただけで、あとは全部勝って優勝して、そして僕の人生も大きく変わりました。今季は残り8試合で、もちろん計算したらどこがどこと対戦してどこが何勝すればとか負けたらとか、いろいろあると思うんですけど、単純に8連勝したらどうなの? っていうところで、今は諦めている場合じゃないし、『J1は無理だから4位とか5位を狙おう』というタイミングでもないと思っています。残り5試合ホーム、3試合アウェーで、ここからの5連戦、もし5連勝したらどうなるの? と。誰にも分からないというところで、そういう発信をしました」

それを思うだけではなく、言葉に出したり、SNSに書き込んだりすることが大事だという信念に基づいている。

「ファン・サポーターの方は、僕らがどういう思いでサッカーをしているか、もちろん試合を見れば分かるんですけど、発信しなければ分からないと思うので。僕が栃木SCにどうしても根付いてほしいのは、まず、小さなクラブではないということ。この前、カンセキスタジアムに行かせていただいたんですが、グリスタも含めて、J2でやるようなスタジアムではないです。クラブハウスもです。今年はまだ分からないですが、J1昇格が無理だったとしても、栃木は毎年J1を目指さなければいけないクラブだとここに来てみて改めて思ったので、それを発信することで、今ここにいる選手やユースから上がってくる選手、大学から入ってくる選手、サポーターも含めて『俺たちはJ1を目指すクラブなんだ』ということを示していけば、もっと観客やスポンサーも増えるだろうし、現実的にJ1に行けたらどれだけ観客やスポンサーが増えるかということを僕は経験してきたので、そうやってJ1に向かっていく姿勢をできるだけこのチームに取り入れていけたらと思っているんです」

今季のチームの”ムード”あるいは”マインド”を先頭に立って牽引してきたのは間違いなくエスクデロだった。

そんな今季もいよいよ残すは5連戦と3連戦の8試合のみ。北関東ダービー水戸戦に向けた18日のトレーニングでも、エスクデロは誰よりも声を張り上げてチームを引っ張ろうとしていた。

2連敗のあとで今日(18日)練習をしましたが、声もすごく出ていたし、雰囲気も全然悪くありません。僕はビッグマッチに強いタイプなので、チャンスがあれば結果を残せるように、まだ僕自身はゴールを決めていないので貪欲に狙っていきたいです」

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ