ベトナムフットボールダイジェスト+

ハー・ティ・トゥイ18歳、女子サッカー選手になる夢を叶えるため、タイグエンで奮闘中

北中部タインホア出身バートゥオック郡で生まれ育ったハー・ティ・トゥイはサッカー選手になる夢を叶えるため、森林の街タイグエンにやってきた。彼女が育った街は、女子サッカーとは無縁の場所だったが、テレビで観たサッカーに魅せられて中学生になった頃から友達とサッカーに興じるようになった。

サッカーへの情熱が日増しに高まる中、17歳のトゥイは女子サッカーの名門フォンフー・ハナムで入団テストを受けることを決意。しかし、結果は不合格だった。別のクラブに行くよう勧められたが、行く先々の殆どのクラブでも同じ回答を受けた。優先されるのは若い選手たちで、トゥイのように遅くからサッカーを始めた選手を獲得してくれるクラブはなかった。

それでもトゥイは諦めなかった。捨てる神あれば、拾う神あり。タイグエンT&Tでは、ベテラン選手たちの引退・退団が相次いでいたため、トゥイでもセレクションで合格することが出来た。入団し女子プロサッカーの世界に身を置いて既に丸1年が過ぎた。

Photo:Bongda+

タイグエンT&Tのドアン・ベト・チエウ監督は、「トゥイが入団した当初はかなり心配していたが、彼女の情熱を目の当たりにして、チャンスを与えることにした。なかなか出場機会が巡ってこない中でも真面目に練習を続けているので、1~2年後にチームに必要な人材になってくれると思う」と語った。

18歳になったトゥイは、毎日の厳しい練習のおかげでフィジカルが強化された。165cmの長身を持ち、筋肉が増えて体重も52kgになった。全体的に小柄な選手が多いベトナムで、この上背は大きな武器になる。

トゥイの両親は、娘の意思を尊重してサッカー選手になることを反対しなかった。「自分の決心に後悔しないためにも、サッカー選手として成功して、それなりのお金を稼ぎ、両親と家族を助けたいです」と彼女は語る。

Photo:Bongda+

長身が武器のトゥイは現在、守備的なポジションを任されている。左利きではないが、主に左サイドバックで起用されている。その理由は人手不足によるものだ。このポジションでプレーできる選手が少なく、最初はぎこちないプレーだったが、徐々に適応していった。今では左足でもそん色なくボールを蹴ることが出来る。

トゥイがタイグエンT&Tの選手として迎える2シーズン目は既にスタートを切っている。タイグエンT&Tは開幕戦で優勝候補の一角であるフォンフー・ハナムとアウェイで3-3で引き分けるなど、若い選手たちからは成長がうかがえた。まだまだ上位陣の牙城を崩すのは難しいだろうが、今シーズンのタイグエンは面白い存在になりそうだ。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ