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Vリーグ観戦記、松井大輔加入のサイゴンFC開幕戦に現地日本人が殺到

ベトナム1部Vリーグ1の2021シーズンが開幕し、1月17日にホーチミン市トンニャット・スタジアムでサイゴンFCとホアン・アイン・ザライ(HAGL)の開幕戦が行われた。

サイゴンFCは昨年、FC東京と業務提携して以降、クラブの日本化が進んでおり、今季は新戦力として、元日本代表MF松井大輔、FW高崎寛之、MF禹相皓(ウ・サンホ)、MF苅部隆太郎というJリーグ経験者4人が加入。さらに、シニアダイレクターには前レノファ山口監督の霜田正浩氏が就任した。

Vリーグのクラブにこれだけ多くの日本人選手が所属することは史上初ということで、現地の日本人は大盛り上がり。とりわけ日本屈指のファンタジスタである松井大輔の加入は大きなニュースになった。

開幕戦には、多くの日本人ファンの姿も。高崎寛之と苅部隆太郎はこの日ベンチ外。苅部隆太郎はシーズン前期の登録選手リストに名前がなく、当面は負傷者が出た場合のバックアッパーになるとみられる。ただし、第3節までは外国人選手の登録入れ替えが可能なので、これから国内リーグで出番が巡ってくる可能性もある。

もう10年近くVリーグを観てきたが、こんなにたくさんの日本人をトンニャット・スタジアムで見かけたのは、なでしこジャパンが優勝した2014年のAFC女子アジアカップ以来だ。

開幕戦では、松井大輔と禹相皓がスタメン出場。試合前とハーフタイムには、現地の日系チアスクールの生徒たちによるパフォーマンスもあり、会場を盛り上げた。

対戦相手のHAGLは、“ベトナムのメッシ”ことFWグエン・コン・フオン(元水戸)をはじめ、多数のベトナム代表選手を擁する国民的人気クラブ。元横浜FCのMFグエン・トゥアン・アインと左サイドのレギュラーであるDFグエン・フォン・ホン・ズイが怪我で欠場し、ベストメンバーではなかった。

さらに、今季は元タイ代表のスーパースターで元タイ代表監督であるキャティサック・セーナームアン氏がHAGLの指揮官に約10年ぶりに復帰。“ジーコ”の愛称でお馴染みのキャティサック氏は現役時代にHAGLを2度のリーグ優勝に導いだレジェンドであり、リーグ史上最高の助っ人の一人とされ、今なお絶大なる人気を誇る。

開幕戦は1万4500人の観客を動員。早々にチケット売り切れがアナウンスされたメインスタンドには、スポンサー枠で招待されたとみられる日本人の家族連れの姿が目立ったが、ベトナム人のファンは大半が、ホームのサイゴンFCではなく、アウェイのHAGLの応援で訪れた人々のようであった。

試合は大方の予想通り、HAGLがボールを支配する展開。サイゴンFCは粘り強く守ってボールを奪うと、右サイドのMFフイン・タン・タイと前線で待ち構えるアルゼンチン出身帰化FWドー・メルロを中心にカウンターを狙った。

膠着状態が続く中、サイゴンFCは前半40分、相手のビルドアップのボールを奪ってカウンター。これをドー・メルロが決めて先制し、前半を1-0で折り返す。

後半は攻撃の手を強めたHAGLの猛攻を受ける苦しい展開となったが、最後まで1点を死守して逃げ切り。ホームで見事に開幕白星スタートを飾った。松井大輔は後半74分までプレー。禹相皓はフル出場で勝利に貢献した。

 

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